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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
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3426手間

 スゴアルアドの歴史の一端を聞いている内に、固まっていた畑仕事から帰って来た者たちが再び動き出し、やや駆け足気味にこちらへとやってきて、もう少しで手を伸ばせば触れることができる距離に来た当たりでその足を止める。

 

「不躾に近づいてすまない、これ以上近づくと土で汚してしまいそうだからね。なにがしの礼儀があっても容赦して欲しい」


「気遣いに感謝する、ワシもこの子も、そのような事で気を害する類ではないからの、気にするでない」


「そう言ってもらえると助かる」


 本当に下手な騎士よりも礼儀正しい者たちだと苦笑いしながら、彼らの言葉を笑顔で受け入れる。

 

「それにしても、このような場所に来る者が居るとは」


「この子の仲間に、おぬしらのような者が居ると聞いての、山の下とはいえ近くに住んでおるからの」


「なるほど、私たちがどういう者か確かめるために来たという訳か」


「んむ。その通りじゃが、随分と理解が早いのぉ」


「私たちが同じ立場でも、似たような事をするだろうからね。隣人は選ぶことができないのだ、ならば出来る限り良い道を探るは当然だろう?」


「然りじゃな。じゃが、それが出来ぬ者がなんと多いことか」


「ははは」


 明らかに他と拒絶された場所に住んでいるというのに、随分と正鵠を射るような言葉を放つものだ。

 だが、そんな当たり前で実に簡単な道理を弁えぬ者が多いのだとワシが嘆けば、何か思い当たる節があるのだろうか、彼らは苦笑いをする。


「ともかく、こんな場所で立ち話もなんだ、ゆっくりできる場所で話そうじゃないか」


「そうじゃな。お言葉に甘えるとしようかの」


「では、先に私たちは土を落としてくる、彼女たちを案内してくれないか?」


「分かった」


 ゆっくり話をするにしても泥だらけでは不味いだろうと、畑仕事帰りの者たちは、ワシらの案内を最初に出会ったスゴアルアドに任せると、任せられた方も落ち着いて話せる場所というのは共通なのだろうか、特に場所などを聞くこともなく、こっちだとワシらを迷うことなく案内し始めるのだった……

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