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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
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3391手間

 色々と考えてやはりこの子たちは世間と関わらせない方が良いだろう。

 その為にも幻術による人除けの結界が完成しない事には、噂を聞いた輩がここにやってきかねない。


「(術自体はもう出来てるから、あとはゆっくり森になじませる)」


「(なじませないと違和感すごい)」


「ふむ、そうなのかえ」


 どのくらいで完成するのか、そう聞けば結界そのものはもう出来ており、後は森になじませるだけと言う。

 確かに獣はすでに姿を見せていないのだから、弱いとはいえ既に効果が出ているので、幻術自体はもう発動していて当然か。

 しかし、一気に効果を強くすると違和感が出て、その違和感に気付かれると気付いた者には効果が極端に弱くなるらしい。

 前の森に残っていた幻術の効果は、結界の中を全く認識できなかったり、結界の内側からの声の出所がおかしくなっているというのに誰もそれに違和感を持っていなかった。

 恐らくホブゴブリンどもが結界の効果を受けにくかったのは、最初から中にいたせいで、結界の外に出た際に何らかの違和感を感じてしまったせいなのだろう。

 その為に見破られた幻術の効果が弱まり、内と外を自由に出入りできるようになってしまったと。

 だがホブゴブリンどもは阿呆なので、弱まった状態でも幻術に引っかかり、再び効果が強く出てしまったとかそういったところか。


「どの程度かかるかは知らぬが、緑の奴らはかなり数を減らしておいたから、しばらくは近づいては来ぬじゃろう。他の者たちも近づけさせはせぬ」


「(よかった)」


「(なじませる途中で逃げなくていいんだ)」


「そういう事もあるのかえ」


「(うん、なじませてる時に変なのいっぱい来ると、術がめちゃくちゃになっちゃう)」


「なるほどのぉ。なればワシはそろそろ戻って、ここに近づかぬよう命じておかなくてはの」


 どの程度近づけば術がめちゃくちゃになるのか分からないが、分からないならば触らない方が良い。

 であれば結界の近くにいる騎士たちも、下がらせた方が良いだろう。


「(もう行っちゃうの?)」


「(ごはん食べてく?)」


「いや、おぬしらの言うピカピカな奴らが近くに沢山いるからの、術に影響が出んようにさっさといなくなってもらった方が良いじゃろう」


「(それは大変)」


「(じゃあ、また来てね)」


「暇になった時にでもの」


 彼女たちの琴線に何が触れたのだろうか、随分とワシは気に入られたらしく、また来てねなんていう彼女たちに見送られ、結界に影響が出ないよう殊更慎重に糸を避けながら、近侍の子らや騎士たちが待つ野営地へと戻るのだった……


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