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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
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3377手間

 ワシらの目論見通り、金払いも良く依頼主の身元も確かで、魔物の討伐もすれば追加で討伐報酬も払ってくれると言う美味しい仕事を守る為、依頼にありつけた者たちが積極的に依頼を受けれずに、文句や問題行動を起こす者たちを取り締まっているという。

 そんな風にがんばって食い扶持を確保している彼らには悪いのだが、同規模の騎士たちはもちろん、兵たちよりも貰える金額というのはかなり少ないのだ。

 もちろんそれは様々な支援なども含めた金額を考えればの話であり、冒険者たちと兵士であれば、冒険者たちの方が基本的に僅かに少ないが、場合によっては多くなるかといった具合だ。

 とはいえ定期的に給金が入る兵士とちがって、冒険者たちは積極的に仕事を受けなければ収入はなく不安定だ。

 それでも傭兵もとい冒険者を選ぶのは、兵士とちがって厳格な規則などもなく、自分で仕事を受ける必要があるということは、自分で好きな仕事を選べるということでもあり、その気軽さ故に多少不安定で貧しかろうとも冒険者を選ぶ者も多い。

 けれどもそんな冒険者の中でも仕事に対する姿勢というのは違っており、きっちりと仕事を定期的に計画的に受ける者たちもいれば、気まぐれに仕事を受けては手に入ったお金で管を巻くような連中などだ。


「今回依頼にありつけた者は前者であり、後者は文句を言ったり問題行動をしている者たちだそうです」


「まぁ、そうじゃろうな」


 ワシらが依頼主なので、当然仕事の顛末などは冒険者ギルド側から報告が上がってくるのだが、それを持ってきた文官が仕事は真面目にしないくせに文句ばかり言うのかと、苦い顔をしながらワシに上がってきた報告を伝えてくる。

 

「文句を言っておるようなもんは、要は破落戸とさほど変わりはないからの。じゃが、冒険者としてギルド側がある程度は制限できるだけ、ただの破落戸よりは良いじゃろう」


「それは確かに、その通りでございますね」


 日銭を稼ぎそれをすべて酒などに注ぎ込んでは管を巻く、正しく破落戸の暮らし方であるが、ただの破落戸とちがい他の冒険者やギルドの監視下にあるといって良い。

 奴らが変な事をすれば自分たちの評判が引いては仕事が減るので、これまた勝手にある程度の自治をしてくれるという訳だ。


「して、彼らの仕事で変な物を見つけたりした者はおるかえ?」


「いえ、今のところは、そのような報告はございません。魔物や人を襲う獣の討伐の報告はいくつか上がっておりますが、数がおかしいなどという異常もございません」


「そうかえ、異変が無いのであれば僥倖じゃ、今後も忘れず細かい違和感などでも報告するようにの」


「かしこまりました」


 異変というのは見てわかる物よりも、何度も足を運ぶような者が感じる微かな違和感というモノに出てくる。

 なのでこれから冒険者たちが繰り返し依頼を受けてくれれば、森などの異変を更に速く察知できることだろう。

 その為にも些細な事だからと切り捨てず、子細漏らさず報告するようにと文官たちに釘を刺しておく。


「今後もこの依頼は続けてゆくのでしょうか」


「む? そうじゃな、騎士や兵を増員して同じことをさせるよりも、随分と安く済むからの、続けるのに問題は無かろう」


「かしこまりました」


 彼は一時的なものと思っていたのだろうか、部屋から辞す前に振り返り聞いてきた文官に、身も蓋もない理由ではあるが文官としてもありがたいであろう理由で続けると、軽く伝えるのだった……

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