表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
3395/3462

3371手間

 手のひらほどの大きさの魔石が三つ、それを騎士たちが丁重に布で包みクリスが引き上げの合図を出す。


「ところで、残ったホブゴブリンからも魔石は採るのかい?」


「いや、小さい方はさしたる大きさではないじゃろうしな。それにこの後の事を考えて、狼どもに味を覚えさせておきたいからの」


 巨大な個体は魔石を取り出すために燃やしたが、残る他のホブゴブリンはそのままだ。 

 本来ならば埋めたりして、狼などの肉食の獣を呼び寄せないようにするのだが、今回は敢えて呼び寄せる為にそのままにする。


「逃げたホブゴブリンをどうにかするために? 確かに肉の味を覚えさせれば、積極的に襲うようにはなるだろうが、早々効果は出ないだろう?」


「その為に、ホブゴブリンどもを弱らせるのじゃよ」


 どうやってと問うクリスに、ホブゴブリンどもが積極的に逃げるように放った殺気で染みついたワシのマナに反応して、爆発するようにした魔晶石で弱らせると言えば、クリスは何故か苦笑いする。


「それは、色々と危ないんじゃないのか?」


「周囲に被害が出ぬように、さしたる威力ではないがの、足をある程度潰すくらいじゃよ」


「それはそれで危ないと思うが、まぁ相手が魔物だしな」


 獣や森に被害が出ないよう、せいぜいうまく走れなくなる程度の威力に留めていると言えば、クリスはそうじゃないんだがと肩をすくめる。

 しかし相手が魔物だから非道も何もないだろうと、肩をすくめる以上は特に何もその方法について聞くことは無かった。

 

「ともかく罠を張ったというならば、僕たちも立ち入らない方がいいかな」


「それは気にする必要はなかろう。仕掛けておるのは森の奥じゃからの、野営地からは歩いて数日くらいじゃ。じゃから引っかかるとか、気にする必要はないのぉ」


 なのでクリスたちが気にする必要はないといえば、クリスは自分たちが引っかかることを心配していたのか、ほっと胸をなでおろす。

 とはいえその心配は正しいかもしれない、たどり着けるかどうかはともかく、反応する条件はワシのマナなので、ワシはもちろんクリスも罠が発動する条件自体は満たしている。

 なので場所云々よりも、近づかないようにした方がよいのは間違いない。


「ま、気が立っておるホブゴブリンが出るやもしれんからの、近づかぬ方が賢明なのは確かじゃ」


「そうか、じゃあ森の奥には近づかないように、後で命を下しておくか」


 そんな風に野営地までの帰路でこれからの事をクリスと話していたが、特に何事もなく疲労困憊といった様子以外は無事野営地へとたどり着くのだった……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ