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ワシが遺跡に入っている間にも、その周辺では何匹かホブゴブリンが確認されており、発見したものに関してはすべて討伐したという。
近侍の子らも数匹倒したというが、やはりまだ周辺には何匹かホブゴブリンが潜んでいるのだろう。
「帰ったところで仲間は一切おらんがの」
「明確な人数差があったのに、私どもを襲う辺り、所詮は魔物は魔物ということでしょう」
「明らかに近侍の方々を狙ってましたので、恐らくはゴブリンと行動原理は一緒でしょう」
近侍の子が言うには、破れかぶれというよりも、嬉々として襲ってきたと言い。
それに付け加えるように、騎士の一人が明らかに近侍の子らを狙ってたというが、それは騎士に比べて弱そうと見たというより、ゴブリンと行動原理がというなれば、そういう意味で狙って襲ったのだろう。
「知恵が回ると思うておったが、まぁ所詮はといったところかえ」
「ところで神子様、巣の中のホブゴブリンはどのような様子でしたか?」
「幻術のせいか襲撃に対して全くの無防備じゃったからの、途中ワシに気付いて積極的に襲い掛かってきたやつらもおるが、脅威ではなかったの」
「魔法を使う個体は居たのでしょうか?」
「それじゃったら、沢山おったのぉ。やつら遺跡の中に長いこと引きこもっておったようじゃからの、恐らくは外に居ったやつらは皆迷子になった集団じゃったのじゃろう」
中には外で見たり聞いた個体より強い魔法を使う奴らばかりだった、それに加えて遺跡やなぜ今になって現れたかの予想を伝える。
「なるほど、何らかの理由で遺跡の中に閉じ込められていたホブゴブリンが、今ようやく外に繋がる道を開通させたと」
「洞窟の壁面の様子を見た限りではじゃがの」
「ですが、彼らが持っていた武器は石斧ばかり、洞窟を掘れるとは思えないのですが」
「それに関してじゃが、持ってきた金属片、あれを使って掘っておったようじゃの。その金属片も壊れた円筒形の魔導具やらの残骸を、利用しておるようじゃった」
「そういった知恵はあるのですね」
「んむ、しかも下っ端は金属片に触れれぬように、倉庫として使っておる場所と下っ端のねぐらの間に、その中間らしき地位のホブゴブリンを配置しておったのじゃ」
「私どもには、ゴブリン程度の知恵しかなさそうに見えましたが……」
「あれらの寿命がどの程度かは知らぬが、外敵どころかまず同族以外を見たことはないせいじゃろうな」
故に外敵に対して本能にのみ従って動いたのだろう、しかし遺跡内部の様子を見るに知恵を得る素地はあるのだから、その知恵を蓄えるよりも前に駆除した方がいいだろうと、しばらくこの周辺では徹底的にホブゴブリンの駆除をした方がいいだろうと結論付けるのだった……




