表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
3321/3462

3297手間

 夢のある話というものは、そうそう転がっていないからこそ夢があるのであって、簡単に手に入ってしまっては夢などではないだろう。

 とはいえ夢がない夢がないと嘆き続けれるようなものではなく、兵士たちもそれはそれと切り替えて、こんな機会はもうないだろうからとワシへと向き直る。


「ところで、お貴族様って普段はどんな仕事をしてるのですか?」


「ふむ? 基本的にはそうじゃな、兵士らの中にも予算や人事をやり繰りしておる者がおろう?」


「え? はい、事務仕事をする人を雇ってやらせています」


「それの大規模なものを普段はやっておる、無論細かくは身分などにもよるじゃろうが、概ねそんなものと考えておけばよい」


「あれの大規模な……?」


 大抵の兵士たちはピンと来ていないようだったが、一部の者たちはやった事でもあるのか、遠い目をしているか意識が空の彼方に飛んでいるかのような顔をしている。

 まぁ、大体の兵士は頭を使うのが嫌だから兵士になってたりするので、事務仕事なんてものは天敵であろう。


「とはいえ背負う責任はけた違いじゃろう、差配一つで人の命を左右するのも容易い立場じゃからの」


「想像が付きません」


「こればかりは、やってみんことにはの」


「貴族様っていうのは、パーティをしたりしてのんびり過ごしているものだとばかり」


「それも間違いではないがの。とはいえ夜会なぞもただ遊ぶためではなく、仕事の為でもあるがの」


「仕事ですか?」


「仕事の根回しをしたり、将来の為にどこぞと関係を強化したり、家族の結婚相手を見繕ったりの」


「考えるだけで面倒くさいですね」


「であろう? まぁ、じゃからこそ、その分だけ良い暮らしをしてるとも言えるがの」


 平民が貴族という存在に触れたりするのは、大抵が華やかな場面だけだからだろうか、なぜか遊び惚けているだけの存在と思われているのは実に遺憾だ。

 もちろん、平民が想像するような貴族そのままの者も居るにはいるが、殆どの貴族は真面目に仕事をしている。

 わざわざ語る必要もないことだが、貴族の中には貴族とは名ばかりで、殆ど平民と変わらぬ暮らしぶりの者たちもいる。

 いや、数だけを言えばそういった貴族の方が多いやもしれない、数が多い者を実態とするならば、多少裕福な平民、それが貴族の姿とも言えるだろう。

 とはいえ夢のない話だと嘆いていた者たちに、畳みかけるように夢のない話をする必要もないだろうと、彼らには大変な部分と華やかな部分のみを語るに留めるのだった……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ