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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
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3296手間

 野盗を討伐した場合は、掛かっていれば懸賞金が、そして家紋が入っていたりなどで、持ち主が特定できる物以外は、討伐した者たちが野盗の持ち物を手に入れても良いと決まっている。

 兵士曰くそこで一攫千金という話がよくあるらしく、羽振りが良くなったという者も知っているので、ならばアジトを潰せばどれだけの金銀財宝がと、夢がないと呟いた兵士は期待していたようだった。


「人を襲う所に野盗どもがわざわざ金になりそうな物は持って行かぬじゃろうし、羽振りが良くなった者も商人などから礼としていくらか貰っただけじゃろうな」


 商人などを襲った直後などでもない限り、野盗どもが後生大事に金になりそうな物を抱えている訳もなし、持っていたとしてもはした金だけだろう。

 なにせ野盗どもの大半は食い詰めて、要は貧乏すぎて容易に身を窶した者たちばかりだ、そんな者たちが金目の物を持っているはずもない。


「言われてみれば確かに……」


「全く以って嘆かわしいことじゃ」


 食うに困る者が出るというのは、飢饉や災害、疫病などのどうしようもない場合を除けば為政者の問題であろう。

 もちろんワシもクリスもそういった者たちが出ぬように気を付けてはいるが、他領の小さな村であったりそういった所までは流石に目が届かない。

 だからといって野盗になるのも致し方ないなどと言うことは決してないが。


「しかし、野盗を退治して、大金を手に入れたという話をよく聞くのですが」


「所詮は噂であろう。賞金がかかっている者を仕留めたとて、さほどの額ではないからの」


「そうなのですか」


「それなりの額になっておる者は、大抵の場合徒党を組んで大規模な集まりになっておるからの、そういった者たちは大抵騎士たちがアジトごと潰しておる」


「えっ、それじゃあ懸賞金って手に入らないってことですか」


「いや、そんなことはないぞ、無論確実にという訳ではないがの。難しいからの賞金額じゃ、簡単に捕まるような者が高い額を付けられるわけがなかろう」


「それは…… 確かに」


 捕まえるのが難しいからこその賞金額だ、簡単に捕まる者はそもそも賞金など掛からないだろう。

 難しいからこそその首に高い賞金がかかり、そういった者たちを捕まえれるのは、それ相応に準備をした者であり、当然その準備やかかった期間を考えれば、賞金を手に入れたところで労力に見合った額かは分からない。

 そして大抵それほどの労力を割けるのは元々お金や力を持っている者であり、結局は一攫千金を夢見るような者たちには手が届かない。


「ほ、他に何か夢のあるような話は」


「そうじゃのぉ、賞金首に関する褒賞は、情報提供だけでもある程度貰えるというのは、おぬしらも知っておるじゃろう」」


「はい。ですが些細な額です」


「後はそうじゃのぉ、鉱脈の発見などでも褒賞は出るが」


 鉱脈の発見なぞ野盗の捕縛以上に難しいのは素人でもわかるだろう、とはいえ結構な額の賞金首と同等となると、そのくらい難しいことでしか支払われることはないと言えば、再び兵士たちは夢がないと天を仰いで呟くのだった……

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