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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
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3295手間

 冒険者たちのやり方が珍しかったのか、諸々回収を終えた兵士たちも集まり戦利品を分けているところを見学していると、流石に居心地悪くなったのか残ったのは好きにしてくれと、冒険者たちを取りまとめていた男が叫ぶように言って逃げるように離れていった。

 その号令で集まっていた冒険者たちも解散となったのだが、戦果をあげられずに武器を貰えなかった者たちが、ちゃっかりと武器を掴んでこっそり離れていく姿にくすくすと笑う。


「いやはや、何ともちゃっかりしているというか」


「まぁ、残りは好きにしてくれと、あやつらの長が言っておったからの」


 誰に対して好きにしてくれと言ったのかは分からないが、まぁ好きにしてくれとワシだけでなく他の兵士たちも聞いている前で言ったのだ、ちゃっかり持って行った者たちに文句は言えないだろう。

 それと持って行った者たちも、一応分別というか屁理屈であるという自覚でもあるのか、皆一つだけ持って行っているので、ちゃんと戦果としてもらった者たちがどうのということもないだろう。


「ふむ、残りは言われたとおりにおぬしらが持って帰るかえ?」


「そうですね…… 訓練用に持って帰ります」


「んむ」


 ただただ捨てるのも勿体ないと、訓練用の武器として引き取ると兵士たちは残った武器が入った木箱をそのまま回収してゆく。


「しかし、殿下はよろしかったのですか?」


「ワシがアレを手にしたところでのぉ。あの品質では下賜されても迷惑なだけじゃろうて」


 野盗どもが使っていた武器だ、品質に期待できるわけもなく、貰ったところで使い道なぞないし、要らないからと下賜したところで誇れる様な物でもないし、貰った方も只々困るだけだろう。

 

「ですが、我々は押収した金などがありますが、殿下には」


「ワシが手に入れたところで、全ておぬしらに渡すか寄付となるからの、なれば最初からおぬしらで分けておけばよかろう」


 野盗がため込んでいたいた金なぞさしたる量ではない、それを貰って分けてとしたりするのも面倒なれば、最初から彼らだけで分けていた方が面倒が少ない。

 それにこれは彼らに対する報酬の一部なのだ、ワシがそれを横からかすめ取るような真似をするわけがもなし。


「さてと、他に何ぞ奴らがため込んでいたりした物はあるかえ?」


「いえ、装飾品などもなく、すべて換金していたのか、そもそもそういった物を狙っていなかったのかと」


「そんなモノを狙えば自分たちが狙われる側になるだけじゃからの」


 野盗どもは金銀財宝を狙って襲ってくると思っている者も多いが、実際に彼らが襲うのは食料目当てだ。

 貴重品狙いなどしたところで、当然食料をただ運んでいるだけの商人よりも警備は厳重であるし、手に入れたところで換金などの手間がかかるだけで腹が膨れる訳でもない。

 だから基本的に彼らが財宝をため込んでいることはなく、お金があるのは商人を襲った時についでに手に入れただけのおまけだと言えば、今まであまりアジトの掃討などに参加をしたことがなかったであろう兵士たちは感心をするとともに、どんなことを想像していたのか意外と夢がないと呟くのだった……

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