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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
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3280手間

 一攫千金、実に心躍る言葉だが、掴める者が少ないからこそ一掴みで千の金を手に入れれるだけということを、大抵の者たちは理解していないのだ。

 そして実に残念なことに、彼らが大金だと喜ぶような金は、ワシらからすればはした金でしかなく、そのために身を窶すというのは実に滑稽でもあり腹立たしくもある。

 傭兵のように自らの身の危険と引き換えに、大金を得るというのならば全く何の問題もない。

 まぁ、傭兵と言う家業の関係上、相手が必要になるので金稼ぎの糧になる者たちは、全く以って運がなかったとしか言いようがないが。

 野盗もやっていること自体はほとんど同じだが、相手が無辜の民か、攻撃されるに足る理由を持つ者たちかと言う違いは埋められぬ大きな違いだ。


「さて、下らぬお喋りもここまでとしよう。おぬしらの仲間はここに居る者で全てかの?」


「違うと言ったらどうする? 逃げでもしてくれるか?」


「なるほど、ここに居る者で全てか、僥倖々々」


 ワシの事を知っているという野盗の頭の精一杯の強がりか、口の端を引きつらせながらも、まだまだ仲間は居ると嘯く頭の答えを全く聞いていないようなワシの言葉に、彼は更に口の端を引きつらせる。

 

「して、人質やら攫ってきた者はここに居るかえ」


「そう言うってことは、人の場所をどうやって把握しているかは知らねぇが、誰がいるか迄は把握できてないんだな」


「ほう? 多少は頭が回るようじゃな」


 先のワシの反応をどう思ったか、素直に答えたら危ないと感じたのだろう、それでいてギリギリ答えと関係するような事を聞いてきた。

 

「そうじゃな。ワシはマナを見て、そこに何か居ると判断しておるに過ぎぬ。無論、火を点けるなればそれで十分じゃがの」


「なるほど、じゃあ答えなきゃ動けないってわけか」


「そうじゃな。じゃから答えさせようではないかえ」


「そう言われて、はいそうですかと答える奴がいるか?」


「おぬしはそうじゃろうが、意志の弱そうな者はいくらでもおるじゃろう?」


 口の堅い者の口を割らせることもできるが、そんな面倒なことをするよりも、簡単に口を開くような者に聞く方が面倒も少ない。

 そしてどうやるかと言えば簡単だ、言いたくなる状況に追い込めばいい。


「ほれ、そこの者、攫ってきたりした者がいるかどうか答えるがよい」


「はっ! そう言われて誰が答えるとおも――」


 傍に居た取り巻きを指差し答えるように迫るが、当然と言った様子で反発してきたが、その言葉を最後まで言い切る前に、彼自身の絶叫でその言葉は途中で途切れるのだった……

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