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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
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3255手間

 温室に植える花を育てる為の温室を、追加でいくつか建てることになったが、敷地自体は余裕があるので問題はなく、本命を建てる前の練習や問題点を洗い出すという意味でも主な温室と同じ構造でそれらを建築することが決まった。

 そして近くにあるのだから当然温室は同じデザインの方が良いということで、追加で建築家に発注すれば彼女は二つ返事で追加の仕事を受けると、短期間で設計図を上げて来た。

 となれば当然直ぐに建築は始まり、現場の視察ということで建築家の彼女と共に現場へとやってきた。

 

「ほう。もう既に結構出来上がっておるのじゃな」


「時間のかかる基礎は、以前に建っていたモノを流用しておりますし、何より前にあったお屋敷なんかが一晩で無くなりましたから……」


 屋敷があったところに新たに温室を建てるのだから、当然その屋敷は取り壊さなくてはならない。

 しかし当然取り壊すとなれば建てるのと同等以上の労力が必要になるので、ワシが一瞬で土台だけを残して消し去って置いたのだ。


「それに石を運ぶ必要がありませんので、その辺りも工期短縮に一役買っているのかと」


「ふむ? 鉄も石も重さはさして変わらんのではないかえ?」


「そうではございますが、鉄のは骨組みだけですので、随分と運ぶのは楽になっております。何より王太子妃殿下のおかげで鉄のネジを大量に使えるので、リベットや鍛接より圧倒的に早く丈夫に建てれるのもありがたいです」


「それはドワーフたちを始めとした鍛冶師たちのおかげじゃな」


 金属同士を繋げるのに、熱したモノを叩いて繋げたり、予め開けた穴に鋲を入れてそれを潰して繋げる方法などいろいろあるが、金属ネジを使った接続が手軽かつ強固に接合できるが、それに使う金属ネジとそれを受ける留め具は一組一組、鍛冶職人が作らねばならないので、非常に手間がかかり高価だ。

 しかし、そこはワシら王族の権力で大量に作らせて使用しているという訳だ。

 とはいえいくら権力でゴリ推したところで一つ一つにかかる手間が変わるわけでもなし、早々に量産は出来ないのだがそこは流石ドワーフというべきか、何やら新しい道具を作って一組一組作るのは変わらないが一組にかかる時間を減らしたおかげで、前よりも随分と早く作れるようになった、らしい。


「それにしても、なるほど、それでご機嫌という訳じゃな」


「最新の技術を潤沢に使えるというのは、私どもとしてはとても楽しい瞬間ですので」


「なるほど? 分からんでもないかの」


 建築家というのはもちろん他の職種もであろうが、限りある予算の中であったり、制限の中で頭を普段から悩ませているが、それがない状態で自分の好きに仕事ができる、これほど楽しい瞬間はないだろうというのは分かる。

 

「してガラスなしに骨組みを組み立てておるが、大丈夫なのかえ?」


「大丈夫かと申しますと?」


「どうやってはめ込むのじゃ?」


「そこはガラスを抑える用の鉄骨がございますので、ガラスを置いてそれえ抑えるようにしますので。これもすべてネジが使えるお陰でございます」


 それもあって工期がかなり短くできるのだと、楽しそうに彼女は今回使われてる新しい技術などを聞いても居ないのに話し始めるのだった……

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