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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
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3246手間

 太古の人々が滅びた理由など長々と語っていて気持ちの良い話題でもなし、話を温室の拡張に変えたところ、それならば丁度よいとクリスは何やら書類の束を取り出してきた。


「それはなんじゃ?」


「土地の権利書だよ」


「ふむ?」


 この地の領主であるクリスが、土地の権利書を持っていること自体は何らおかしくない。

 というよりも、領地の土地はそこに住む者たちに領主が貸していることになっているので、むしろ権利書を持っているのは当たり前だともいえる。


「それがどうしたのじゃ?」


「この屋敷のすぐ近くの土地を手放すと言ってきた者がいてね、その場所の権利書だよ」


「土地を手放すとな?」


 土地を手放す、それ自体は珍しくはあるが別に全くないような話でもない、しかし領主の屋敷の近くという貴族としての名誉ある場所を手放すというのは尋常なことではない。

 

「本家筋の爵位を継ぐことになった上に、その関係で財政が悪化して手放さざるを得ない状況になったようだからね」


「ふむ。話は分かったが、それで何が丁度よいのじゃ?」


「この開いた土地に温室を新たに建てようじゃないか」


「ふぅむ? 権利書を見る限り、それなりの広さのようじゃが? 何より屋敷が建っておるじゃろう」


「もちろん手は入れるが庭はそのままに、屋敷を取り壊してそこに温室を建てようじゃないか」


「随分と大盤振る舞いする予定なのじゃな」


「質の良いガラスが作れるようになったのは良いんだが、存外需要が伸び悩んでいてね。全面ガラス張りの温室を建てれば、技術力の誇示と需要を満たすことの両方が出来るだろう」


「なるほど? してどれほどの大きさの温室を建てるつもりなのじゃ?」


「遠くからも見えるように出来る限り大きくしたいな」


「ふむ、なればそれに見合う木々も入れた方が良いじゃろう」


 ならば皇国から暖かい地域でしか育たない樹を送らせるのも良いかもしれない、ならばさっそくと近侍の子らに育てやすい樹を送らせるように手紙を皇国に出す準備をさせるのだった……

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