3245手間
もともとゴーレムを配属するための許可を得るための披露目だったのだから、それが終わったのならば引き留められる謂れもないと、さっさと街へと戻りクリスに報告をする。
「なるほど。障壁を個人で展開できるゴーレムか、一応話には聞いていて知っていたが、改めて話を聞くとなかなかに厄介そうだな」
「そうかの? 障壁を張ると著しく稼働時間が落ちるらしいからの、適当な攻撃で無駄に障壁を使わせれば、簡単に無効化出来るじゃろうて」
「セルカとしては対処が楽だと?」
「ワシからすればどんな相手じゃろうと対処は容易じゃが、前に戦ったモノよりはまぁ容易になっておるんじゃないかの」
ワシが倒してきたゴーレムは、障壁を持ってはいなかったが戦闘が目的のモノだったので、新型のゴーレムに比べて単純に大きく丈夫だった。
それを普通に倒そうとすれば、装甲や関節を破壊したりする必要があるので、破壊できるモノがない場合は対処のしようがないと言える。
しかし、新型ゴーレムの場合は障壁を起動させることさえできるのならば、勝手に息切れしてくれるので倒せずとも対処はそれなりに楽であろう。
「なるほど。強いは強いけれども体力が少ないと、そういったところか」
「そうじゃな、それに単純に装甲も弱そうじゃったの。でなければわざわざ障壁で守る必要はないのじゃからの」
「確かに、守る必要があるからこそ鎧で身を覆う訳だしね」
「んむ、身を守る必要がないのならば、ワシのように鎧など不要じゃからの」
守るということは、そこを攻撃されては困るということだ。
ワシも常時障壁で全身を覆ってはいるが、それは単純に服が破れては困るからであり、ワシ自身は如何なるものに打ち据えられようともかすり傷どころか、攻撃されたと思うことすらないだろう。
「それにしても、人為的にマナを濃い空間を作って寿命を延ばすか。その学者たちは随分と突飛な事を考えるものだね」
「実際、マナが濃いところに住んでおる者ほど寿命が長いからの、間違った考えではないのじゃが」
「何か問題でもあるのかい? 寿命が延びるのは悪い事ではないと思うのだけれど」
「逆のことを考えておらんのがの。マナが濃いところに住んでおる者は、マナが薄いところでは生きてゆけぬのじゃよ」
川の魚が海で生きれぬのと同じように、海の魚も川では生きれない。
もちろん魚ほど極端にということはないが、それでもハイエルフぐらいになるとクリスたちと同じ場所では長くは持たないだろう。
「なるほど。寿命が延びることに対するリスクがそんなところに」
「子々孫々、長く生きれるようになれるほどならば、世界樹を切り倒すような阿呆な事をせぬ限り、早々薄い場所に住む羽目になることはないじゃろうがの」
帝国に昔住んでいた阿保どもが滅んだ理由は女神さまの鉄槌もあるだろうが、マナが急激に薄くなったせいもあるだろうと、クリスに報告をあげながらワシは呆れたものじゃと呟くのだった……




