3242手間
パトロンになるつもりはないとあしらったが、そもそも国外の権力者に金を求めるなという話だ。
とはいえ宗主国の者なので、帝国からすれば色んな意味で文句も言えない相手だが、それでも内心面白くはないであろうし、何より面倒になりそうなのでワシとしてはご免被る。
「お気持ちはわかりましたが、もし気が変わりましたら是非」
「それはないから安心せよ。おぬしらに渡すより前に、まず我が国の者に渡すわ」
引き下がりはしたものの、やはり王太子妃という立場からの献金は魅力的なのか、最後にもう一度食い下がってきたので、今度ははっきりとお前たちに金を渡すつもりはないと素気無く断る。
「おぬしらが神国に来るというのならば別じゃがの」
「流石にそれは、国外に出て研究することは禁じられてますので」
「まぁ、そうじゃろうな」
当然と言えば当然だが、彼らが他国に渡るのは禁じているようだ。
とはいえ今回のように国外に出れている辺り、そこまで厳格ではないか神国に対する忖度はあるのだろう。
「来たところで、帝国のような遺跡はないしの」
「分布的に神国にも遺跡はあると思うのですが、発掘などはされていないのですか?」
「おぬしらが発掘して使っておるような、兵器などがある遺跡はないがの」
「我が国の発掘隊を招いていただければ、有用な遺跡を発掘してご覧に入れることが出来ますが」
「いらぬいらぬ、まだ稼働して使っておるモノもあるし、壊されてはたまらぬからの」
「神国には未だに稼働し利用されてる遺跡が!」
「ただの揚水施設じゃから、おぬしらが期待しておるモノはないぞ」
神都の湖に水を引いている施設は、恐らく同じ時代のモノであろうが、彼らが期待しているような何かは無いだろう。
それよりも、ドワーフたちが居た場所にあった遺跡、一応破壊はしたがアレが密肩t里、あれと同様のものを見つけられては困る。
アレらはなかなかに非人道的な装置であり、もし見つけた場合は見つけた者たちを口封じせねばならない。
「ですが、未だに稼働している遺跡は貴重、いえ、唯一無二といっても過言ありません」
「じゃからこそ、下手に手を出されては困るのじゃよ」
ゴーレムなどを見る限り彼らの技術者としての腕は信頼に足るものであろうが、彼らの好奇心というモノは信用していない、だから国の重要な施設を壊されたりいじられるのは困るので発掘隊などというモノを入れることは決してないと断じるのだった……




