表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
3258/3467

3232手間

 止められれば気になるのが人の性か、恐怖に顔を引きつらせながらも若い技術者が深海に沈められた後かのようにゆっくりと口を開く。


「なぜ、止められなければならないのですか」


「知る必要はない、と言いたいところじゃが。端的に言えば分不相応じゃからじゃ」


「なぜ、分不相応なのです、人が強くなれば長生きだって出来るでしょう」


「ほう? まずはなぜその方法で長生き出来るようになると思ったのじゃ?」


「寿命の長い生き物ほど、重量に対してのマナの保有量が多い傾向があるので、そうなのではないかというのが有識者の間での見解です」


「なるほどのぉ。その考え自体は間違いではないと言えるが、それこそが分不相応といえる」


 前にも帝国の別の者に言ったと思うのだが、誰もその情報を共有はしていなかったのだろう。

 とはいえそれを責めることはない、何せ知らなければ知ろうとは思わないのだから。


「理由も分からず、分不相応と言われるのは、流石に納得できません」


「ほう? 理由は分からずとも、その先に進めば滅びると言われても尚、求めるのかえ」


「私は、一方的に滅びるなどと言われても、全力で抗います」


「なるほどのぉ。なれば教えてやろう、それが神意じゃからじゃ」


 王の前で弑逆を叫ぶ者を前にしているかのように、ここにきてようやく周囲の者たちが若い技術者を止めるが、口から出た言葉を再び飲み込むことなぞ出来る訳もなく、場は剣呑な雰囲気にのまれる。


「神意なぞと言いたげな顔じゃの。なれば滅ぼされる理由を教えてやろうではないかえ。じゃが、その理由はおぬしらがよく知っておるのではないかの?」


「知るわけがありません」


「そうかえ? おぬしらのゴーレムやらの元はどこから来たのじゃ?」


「地下にある遺跡から発掘……」


 滅びた理由は既に手元にあると言えば、別に罪を犯したことはなどと言いたげな顔で技術者たちはそろって首を傾げるが、ワシの一言に一人の技術者が書かれていることを読み上げるかのようにぽつりとつぶやく。


「なぜ遺跡となっておるのか、しかも同様の遺跡は広い地域にあるが、なぜそこまで栄えた者たちが滅びたのか」


「それは、何か災害で?」


 まぁ確かに先ず思いつくのはそれだろうが、他の者たちより詳しく遺跡について知っているのか、壮年の技術者が何かに気付いたかのようにハッと顔を上げるのだった……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ