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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
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3231手間

 少し経って落ち着いてきたのか、技術者たちは冷静に自分たちの機器が出した情報などを照らし合わせて、またもやああだこうだと言い合いを始めてしまった。


「私の計測器だと、魔導具や魔法が使われた形跡はなさそうだが」


「こっちも同じだ、多少は反応があったが、この程度では魔導具を使った証拠にはならなそうだ」


「反応の規模を見るならば、これは障壁が壊れた時のモノだろうな」


「だがやはり、障壁を魔導具や魔法なしで破壊できるか?」


「いやいや、目の前で見ただろう」


「けれども、個人でゴーレムを上回る力を出せるものか?」


「莫大なマナで肉体強化すれば、要はゴーレムが動くのと同じ原理であるから、机上の空論ではあるが最低限でもゴーレム並みの力は発揮できる」


「あぁ、その論文は見たことがある、だがそれには肉体が許容できる以上のマナが必要な上に、その力に耐えられる身体そのものも必要だろう。人の身でゴーレム並みの力を発揮すれば、当然体が壊れる」


「それもマナで補強すればいいと書かれていなかったか?」


 技術者たちはいまいち信じ切れていないようではあるが、ワシの身体の強さの秘密の一端は理解しているようだ。

 とはいえ彼らにとってそれは机上の空論であり、実際に出来る事はないと断じてはいるみたいであるが、これは神の御業であるしその考えは間違ってはいない。

 人の身でワシほどの膂力を持とうとなると、まず間違いなく分不相応なことをした者たちは悉く己が所業でもって滅びるだろう。

 

「しかし、実例が居るならば不可能ではないということだ」


「ゴーレムと同じ理路であるならば、ゴーレムの性能向上と同時に研究することで、ゴーレムの研究にも寄与できそうだと思うのだが」


「あぁ、帰ったらすぐに申請を――」


「おっと、それはダメじゃぞ」


「ウワァッ!」


 彼らがその神の御業の研究をしようかなどと相談し始めたところで、ワシは再び縮地で彼らの下に跳び、否を許さぬ声音で研究をしないようにと釘を刺す。


「人には分不相応なモノであるからの、もし研究をしておると分かれば」


「分かれば……?」


「ワシがすべてを滅ぼしてくれよう」


 今度は帝国ごと全てをと言えば、絶対にそうする、そしてそれが出来ると感じ取ったのだろう、技術者たちは断頭台に首を載せられたかのような顔色で皆同じようにコクコクと頷くのだった……

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