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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
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3215手間

 まず技術者たちは必死に致命的な欠陥は見つかりはしたが、すぐに対処してこの欠陥は無くなったと弁明する。

 

「対処するための設計はすぐに出来て、実際に効果もあると実証できたのですが、現物に実装する時間がなく」


「なればそも、この試験を延期すべきだったのではないかえ」


「既にこちらの王様から許可を頂き、出発の準備を整えた段でのことでしたので、事ここに至って中止はゴーレム開発そのものの凍結に繋がりかねませんでしたから」


「別に臣民を守るためなのじゃから、ゴーレムの開発を止めさせられることはないのではないかの」


「いえ、実は帝国内ではゴーレム開発はかなり冷遇されておりまして」


「帝国の軍国主義の象徴であるとか、侵略戦争の象徴であるとか、有り体に言えば先の戦の遠因だという声が大きく」


「分かりやすいというのは、何とも損な役回りじゃのぉ」


 目立つ存在というのは、実際には何かの直接的な原因とは全く関係なかったとしても、それに間接的にでも係わっているとその原因だとやり玉にあげられ易い。

 今回の件では戦争の原因は往々にしてその国の上層部のせいではあるが、戦争をしたのは兵だから、兵が悪いとそう言われているに等しいだろう。

 

「ですが帝国の広大な大地を守るためには生身の人間だけでは手が足りません、ですのでゴーレムは必要不可欠」


「なので見た目も全く別物に、ある程度小型化して威圧感も減らしと、更に彼の設計はそれでも性能の低下を抑えた素晴らしいものなのです」


「まぁよい、しかし門番のような仕事であれば、あのように繋がったままでも大丈夫なのではないかえ」


「確かに装備型よりも設置型の方がマナの貯蔵量は多いですが、マナケーブルは激しい動きでは破損してしまいますし、何より外れた場合は即座とは言いませんが直ぐに動けなくなってしまいますので」


「格好が悪いからと考えていなかったけれども、そうか兼用すれば装備型のさらなる小型軽量化が……」


「のう、アレはどうするのじゃ」


 ワシの言葉に何やら若い技術者がぶつぶつと呟きはじめ、完全に心ここにあらずと言った様子になってしまった。


「あいつは一度ああなってしまいますと、地震があってもあのままですから」


「マナケーブルをもっと細くすれば恰好はつくが、それでは容量が、いや、どうせあまり動けないんだ、待機状態ならばさほど容量も必要は」


「確かにその様じゃな」


 あの状態でゴーレムの説明は無理だが、後の説明はゴーレムが起動するまで出来ないからと、少し休憩に入りワシは魔晶石でテーブルとイスを創り出し、ぶつぶつと呟く若い技術者を横目に近侍の子らが用意した茶を楽しむのだった……

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