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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
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3203手間

 過ぎたことをこれ以上とやかく言っても仕方がない、それよりも今後や実情について話そうかとゆったりと座りなおす。


「武闘大会を開催してから治安が向上したと聞いておるのじゃが、それは本当かの」


「あぁ、特に暴力関係の事件がかなり減っている。偶然こういった結果になっている訳ではなく、武闘大会が人気になればなるほど、特に騎士や兵士間での問題がね」


「ふむ。良い発散の場が出来たということかの」


「ただまぁ、訓練中の怪我が増えたのはちょっとね」


「ふぅむ、訓練を熱心にしておるということじゃろうが、訓練に手を抜くよりは、まぁ良いじゃろう」


「怪我が増えたことに伴う医療費の増加も、武闘大会関連の寄付などで十分に賄えているから、こちらとしても問題はないのだけれどね」


 怪我による動けないなどはともかく、運営する側としてはメリットがデメリットを上回っているので何ら問題はない。

 医療費の増加も必要経費であるし、その増えた経費も寄付などによる収入で過不足なく埋めれているとは文官の言だ。


「それにしても、随分と寄付や出資されておるの」


「パトロンのような気分なのだろうね。芸術関連ではやっている者も多いが、娯楽関連ではやる者というよりも、出資先がないと言っても過言ではないからね」


 パトロンをしているというのは貴族たちにとっては一つのステータスで、誰にどれだけやっているというのは重要だ。

 とはいえ金出せばいいという訳ではなく、出資した先が成功するか否かというのはまた重要な項目で、芸術分野では成功するか否かというのは完全に賭けなので、誰でもできるようなモノではないのだ。

 しかし、そこに武闘大会という新たな出資先が現れ、芸術に対する審美眼がなくともわかりやすい故に出資しやすいから、今までパトロンになれなかった貴族たちが挙って出資しているという。


「しかし、それほど出資されておるならば、色々と問題も出ておるんじゃないかえ」


「確かに贔屓の者を取り立てるようになどというような者も居るにはいたんだけれども、武闘大会だからね、そんなイカサマを許さない者が多いから、殆ど立ち消えしているよ」


「ふむ。しかしこういった大会こそ、そういった不正が横行しそうな気がするのじゃが」


「確かにそうだけれども、まだ初期の段階で出資を打診してきた貴族が、そういった不正を嫌う者たちだったのが大きいね」


「なるほど、利権をかぎ取った者が近寄って来た時には、良い席は埋まっておったということかえ」


「そうだね。あとセルカの存在が大きいよ」


「ふむ?」


「僕は興味ないと勘違いしていたけれど、貴族たちは貴族たちで、セルカはこういうのが好きだと思っていたらしくてね、それにこういった不正はセルカは好きでないだろうし、何より嘘をつけばわかるだろう?」


 だからワシの名を出すだけで、半端な者たちは怯えて何もできなくなってやりやすかったと、クリスと携わった文官たちはあっけらかんと笑うのだった……

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