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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
第一章 女神の願いを叶えよう?
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22手間

女神さまのお願いに関連しそうなものが、世界樹のダンジョンに存在するかもしれないと判った。

そこに必要なものはまず何より年齢、この世界は巡りの初めに歳を取る数え年の様なもの、だからワシが十五歳になるには、あと二巡り半といったところで、これは時間が解決するしかない。


次に条件だけども、これが実は良く分からない。アレックスらに聞いても詳しくは知らないらしい。

火と水のダンジョンは年齢と三等級のハンターであれば問題なく入れるが、世界樹のダンジョンは条件が公開されてない。


噂によれば一等級になるだとか、火と水のダンジョンで証を取ってくるとか、実は他にも条件があるとか。

超巨大遺構であるダンジョン、地上二十階の火のダンジョン、地下三十五階の水のダンジョン。

この二つのダンジョンの最奥には遺構を稼働させる核たる特殊な魔石や晶石があり、その部屋に存在する特殊な欠片を持ち帰ることが踏破の証になるらしい。


このダンジョン、百何年も前は周辺の雪原や砂漠が拡大し続けており、なんとか止めようと躍起になっていたみたい。

ここ数十年は拡大が止まっているため、遺物のとれる危険な鉱山扱いになっていて、ハンターギルドや北と南の領主が共同で管理してるとの事。


色々話しながら洞窟の奥へ進んでいくと、段々マナ苔の緑色が鮮やかに、壁や天井に生える晶石は数が増え大きくなっていく。


「これはすごいのぉ、灯りいらずじゃのぉ」


「えぇ、これほどの晶石が密集してるのはかなり珍しいわね、よっぽど地脈に近いのかしら」


すでに灯りの魔術無しでも十分な明るさの洞窟に、女性二人で感心していると。


「あー…お嬢さん方、感動してるとこ悪いがお客さんだ、ついでにひらけた場所に出そうだ」


ジョーンズの言葉に前を見ると、晶石エリアに入ってから見たスライムよりもさらに一回り大きなスライムが開けた場所に数匹たむろしていた。


「おぉ、よく肥えたスライムじゃのぉ、よっぽどエサがええのかの?」


森や最初の広場であったのが小型犬、晶石エリア入口であったのが中型犬とすれば大型犬ほどの大きさである。


「しかし!幾ら大きくなろうと所詮はスライム!ワシの敵ではないのじゃ。『ファントムエッジ!』」


丁度よいことに、このエリアはスライム達に食い荒らされてるのか、地面に苔はほとんど無いのでお披露目とばかりに技を発動する。


爪で袈裟懸けに切り裂けば、スライムの後ろの地面ごと五つの爪痕を残し抉れる。

その一撃で致命傷となったか、スライムは塵となり消えていく。周りを見ればすでに他のメンバーもトドメを刺したようだった。


最初の拠点から半刻ほど奥に行った地点にあるこの広場からは、今まで一本道であったのが、急に三又に分かれた通路が繋がっていた。


「とりあえず一度ここで切り上げて、拠点に戻ってこちらに拠点を移そう。後続のハンターが来ているようであれば手分けして三つの通路の先を、来てないようであればどれか一つに進んで残りを後続に任せようと思う。意見はあるか?」


アレックスのその言葉に否は無いと全員頷き、早速とばかりに今来た道を引き返し始める。


「そう言えば、ここまで休憩なしで来てるはずじゃのに、全くと言って良いほど疲れておらんのぉ」


「それはねセルカちゃん、こういうマナが豊富なところだと、宝珠持ちの人はマナをよく吸収して疲れにくいのよ。ハンターが何日もダンジョンの中で元気に活動できるのは、そういう理由があるからなの」


「なるほどのぉ、マナがすごく濃い所だと常に元気になるということかのぉ?」


「う~ん、程度にもよるけどね、肉体的には元気でも精神的な疲れは取れないから、やっぱり限界はあるかなぁ、それにマナが濃すぎると逆にマナ中毒になって気分が悪くなったり、酷いと気絶したり最悪死んじゃう場合もあるから、急に頭痛や目眩がし始めたら気を付けてね」


「それは怖いのぉ、重々注意しておくのじゃ。しかしそれらを防ぐ手立てはないのかえ?」


「マナを逸らす魔具なんかである程度防いだりもできるけど、マナ中毒になるマナの量って体質に左右されるから、自分はどこまで耐えられるのかって知るのはハンターにとっては結構重要よ」


その後も暫く話したところによると、マナ中毒へ対しての耐性、所謂マナ耐性はピンキリらしい。

ハイエルフやエルフ、獣人はかなり耐性が高い傾向があり高濃度でも大丈夫だが、ヒューマンは宝珠持ちでも一般人と大差ない人からエルフ並みに耐性が高い人まで居るらしい。


先程話していた世界樹のダンジョンへ行くための条件の一つは、これじゃないかという話もあるらしい。

世界樹には世界をめぐるマナの始発点であり、この世界で最もマナが濃いと言っても過言ではない場所だからこれはほぼ確実だろうとはアレックスの言。


半刻かけ拠点へと戻るとそこには待機班だけでなく、送られてきた後続のハンター十数名もいた。

アレックスが待機班改め、拠点班のリーダーと拠点の移動などで話しあっている間に休憩する事にした。


肉体的には確かに疲れを感じないが、なるほど精神的には疲れているということか、腰を下ろすとすぐに眠気が襲ってきて尻尾を枕にすやすやと寝息を立て始めた。








拠点をだんだん前に進めるのは登山での前進キャンプみたいなイメージ。

現実でも水晶洞窟ってあるらしいですがものすごい高温らしいですね、見てみたいけど蒸し暑いのは苦手。


この洞窟編もあと数話で終わらせれるといいな。


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