表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
間章
181/3471

あれから・・・

 兄さんと結婚した義姉のお腹が大きくなるのを見て子供ができるとはそういう事なのだろうと思っていたのだが、彼女の場合はまるで何かが彼女を食い尽くすかの様に大きくなっていくお腹を見て心配しました。


 その大きすぎるお腹は双子のせいだと聞いて少し安心したのも束の間、また新たな心配に悩まされる日々…。

 双子は吉兆と言われているけどそれは無事産まれたらの話、それほどに双子の出産というのは悲しい結果になることが多い。

 けれど彼女は無事、本当に何事もなく無事産んでくれて、自分の子供が産まれたという事よりも彼女が無事だった事に喜んだほどだった。


 その双子も産まれて随分と経ち、彼女に似て聡明で元気に育ってくれた。そんな自分は彼女と一緒に旅をしていた時とは違う意味で忙しくしている。

 つい先程まで上二人の兄さんと共に領内の町を巡る旅に出ていた所だった。領内を西から東へと周る旅程だったので数ヶ月かかってしまった。


 出かける際、一番上の兄さんは義姉に随分と浮気はどうのこうのと言い詰められ、出かける前から随分と草臥れていた。

 一方彼女は数ヶ月会えないと分かると、まるで今から死にに行く人を見送るかの様に泣きそうになり、僕の無事を何度も何度も祈ってくれていた。


 兄さんが浮気なんかするような人では無いのを知っているものの、自分はそんなこと一切疑われていないと思うとちょっと誇らしくなった。勿論こんなカワイイお嫁さんが居るのに浮気なんてするわけがない。


 領内を巡り他の貴族の人達にも会ったりする中、何度か獣人を嫁にされて羨ましいと言われた。確かに彼女は飛び切りの美人でどうだと自慢したくなるほどだが、どうも彼らは獣人の嫁(・・・・)という事自体を羨ましがっているようだった。

 そんな疑問は意外と直ぐに解けることとなった、主要な街道から外れた町や村などでは「嫁にするなら獣人が良い」そう言われているらしい。

 その話をなぜ貴族が?と思ったがそんな彼らを治めているのだから当然といえば当然か。彼ら曰く。


「獣人の女は一度番を作ると一途で愛情深く良い嫁になる。だが嫉妬深くなるので絶対に浮気はするな」


 他にも色々言っていたが下世話な話だった…だけどまぁ…あの耳を触った時の反応と尻尾の手触りの良さは同意せざるを得ない。

 下の兄さんも早く相手を見つければいいのに、ちょっと理想が高すぎるのが悪いのでは…。確かに義姉や彼女は文句なしに美人だし賢いが、それを基準にするのは流石に世の女性に失礼なんではないだろうか。


 そんなわけで今回も下の兄さんのいい人も見つかること無く、無事旅を終えれた訳だが運の悪いことに父さんの指示で、彼女はしばらく別の街に出かけてしまっていた…。

 しかも子供達も連れて行ったようで、折角の我が家だと言うのにまるで別の家のように寂しく感じる。


 帰ってからも暫くは仕事で忙しく、家に帰るのも日が落ちる直前くらいだったのだが、その日は違った…家に帰ってきて扉を開けた途端一体どうやって帰ってきたのを知ったのか、腰に何かが飛びついてきた。

 良く彼女に飛びついているのを見るので一瞬双子の娘の方かと思ったが、髪の毛の色が違うので飛びついてきたのはすぐに彼女だとわかった。


 僕は大分背も伸びて顔つきも大人びたのだが、彼女は出会った時から全く容姿が変わっていない。なので今や彼女の顔は僕の胸の下辺りまでしか届かない。

 お腹の辺りに嬉しそうに顔を埋める彼女に少し悪戯心が湧き、彼女を横抱きにして家の中に入っていく。当初恥ずかしそうにしていた彼女もしばらくすると嬉しそうに首に手をまわして肩に頭を預けてきた。


 その後、数ヶ月離れていた間を埋めるかのように、彼女は事ある毎に横抱きをせがんで来るようになった。まぁ…こんな日々もいいのかな…。

短いですがこのお話で閑章は終了、次回から新章突入です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ