1346手間
散々に法術を撃ちこんだ魔物の群れであったが、なるほど大群というだけあってまだまだ在庫は有り余っているらしい。
爆発や爆風、直撃を受け消し飛んだ魔物が開けた穴を、周囲の魔物が傷を塞ぐかの如く即座に埋めてゆく。
ならば根競べと行こうかと、ワシは流星雨を地上に顕現すべく、ただひたすらに魔物の群れへと法術を撃ちこんでゆく。
「なるほど、これだけ潰しても尽きぬということは、何やら元があるんじゃろうなぁ」
いつぞやの噴水の様に、魔物が湧きだしている大元があるのだろう。
そこを叩かない限り、穢れたマナが尽きるまで滾々と、魔物が文字通り湧き続ける。
もちろん穢れたマナが尽きればそこで噴出は止まるが、それがいつになるかは分からない。
ワシは一昼夜どころかひと月だろうとふた巡りだろうと、ここで法術を撃ち続けようとも平気だが、ワシに魔物が尽きるまでここで手をこまねく趣味は無い。
「ここらに、何ぞ町や遺跡やらはあるかえ」
「な、ないはずです!」
吹き飛んでも消し飛んでも尽きぬ魔物に、のんびりとしたワシの質問にも切羽詰まったような声で返される。
町や遺跡があるのならば、そこにある晶石を利用した魔導具などを依り代に湧いて出ているのかと思っていた。
しかし、ここらにその様なモノが無いとすれば、一体何から魔物は湧き出ているのか。
「ふむ……。それならば、いや、おぬしは巡回任務をしたことある者、その全てをここに集めるのじゃ」
「は、はい?」
「ほれ、今すぐにじゃ」
今なぜそのようなことを? みたいな顔をする男に銃を突きつければ、裏返った声の返事ともに側防塔から転がるように駆け出してゆく。
もちろんそんなことをしている間にも、ワシは法術の雨を降らすことを欠かしはしない。
そして待つことしばし、側防塔の上にみっしりと兵士たちがぎゅうぎゅう詰めにされて集められた。
「さて早速本題じゃ。おぬしらが巡回任務中に何ぞ町や遺跡やらを見かけたことはあるかえ、はっきりとでなくともよい、廃墟でも何でも不自然なモノはあったかえ?」
ワシの言葉に、肩寄せ合って立つ兵士たちは皆お互いの顔を見ながら首を傾げる。
「では、最近地震でも何でもよい、変わったことなどなかったかえ」
地震などで地面に埋まっていたなにがしが露出してとも考えたのだが、そういう地形が変わりそうなことは起きていないと、幹部連中からも証言が出てきた。
となれば一体何が原因なのか……。
「そういえば、今回の件と関係あるかは分かりませんが、目撃や撃破の報告の無い魔物の死体が最近たまに転がっていることが」
「ほう、それはどの方角やらと決まっておったりするかの?」
「まるで食べこぼしの様に広範囲でしたが。多かったのは……あぁ、そうだ丁度奴らが来てる方向だった、ような」
一人の兵士が手をあげ、恐縮しながらそんなことがあったという。
それに合わせ自分たちも同じモノを見たと他の兵士たちも頷き合い、ワシがその場所は何処かと聞けば、兵士たちを押しのけ最初に手をあげた者がワシの前に出てくると、丁度魔物の大群がやって来る方角を指差すのだった……




