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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
第一章 女神の願いを叶えよう?
12/3457

12手間

 ギルドのお姉さん、フリーによると商店区画にある知り合いがやってる服屋がおすすめと

 この街は領主の館を中心にぐるっとその周りを居住区画が取り囲み、

 その外周を北から商店区画、工房区画、教会区画、娯楽区画、ギルド区画と分けられている。


 区画を仕切るように、馬車2台が余裕を持って並んで通れるほどの石畳の道があり、

 その交差点には文字が読めない人でもわかるように区画の象徴の絵を彫った看板が立っているので、

 それを目印に商店区画に向かっていく。


 ちなみに商店が金貨、工房がハンマー、教会が世界樹、娯楽がハープ、ギルドは剣と羽ペンが象徴になっている。

 そう教えてもらった時、商店工房娯楽はすぐ理解できるが、教会とギルドはなぜ?と訊けば、

 そっか、お里には教会ないもんね、とほほえましいものを見る目をされつつ教えてくれた。

 この世界には世界樹を信仰する宗教のみで、礼拝堂も世界樹を拝める方向に建っている。


 またこの区画は木々が多く植樹され、公園があり憩いの場にもなっているとのこと。

 生木を扱う職業は神聖なものとされ、木こりや木材屋の人たちは神官も兼ねてるらしい。

 生木は乾燥させると、マナは世界樹に還ったとされ一般人でも普通に取り扱える。


 ギルド区画はハンターギルドや衛兵の本部の象徴として剣。

 工房や商店などの元締めである工商ギルドの象徴として羽ペン。

 ギルド宿などもこの区画にあるらしい。


 そうこうしてるうちに商店区画の大通りにつき、どこだろうときょろきょろしてると、

 ギルドの近くと違い、ちらほらと親子連れなどの街の人たちが多いのがわかる。

 人の多さに合わせるように、じろじろと胸やお尻への視線も増えるけど…。


 それに比べて、ちっちゃい子のキラキラした視線のかわいいことよ。

 きつねさんだーなんて言ってぶんぶん手を振ってくるものだから、

 思わず笑顔で手を振り返してると、突然後ろから。


「よう、こんなところで何探してるんだ」


 びっくりして声こそあげなかったものの、耳と尻尾がピンと立ちちょっと恥ずかしい。

 後ろを振り向けば、すまんすまんと手を軽く上げてるアレックスがいた。

 こやつは後ろに立たねば気がすまないのじゃろうか…。


「う…うむ、ワシはフリーに教えてもろうた服屋を探しておっての」


 そう言いつつも歩きつつ周りを見渡せばちょうど言われておった針とワンピースの看板を見つける。


「おぉ、あったあったここじゃ。んむ、ではの」


 別れを告げ、さて入るかと店の戸に手をかけかけたところで

 アレックスがまだついてくる気配を見せるので、なんじゃ?と問いかければ、


「今日案内する約束だったろ。だから付き合うぜ」


 なんてついてくる気満々だったので、彼の名誉や面子の為にも教えておく。


「ここは女性用の服飾店で下着もあるのじゃが・・・ついてくるのかえ?」


 そう言えば面白いように狼狽え、「すすすまん」なんて、まるで下着姿でも見たかのように後ろを向いた。

 その狼狽え様が面白く、もうちょっとからかいたくなったが「ではの」と別れを告げ今度こそ店に入った。

 カランカランと鐘が鳴り、店の奥からパタパタと足音が聞こえ、成人した直後ぐらいの少女が出てきた。


「いらっしゃ~い、あら、かわいらしいきつね…さん?」


「んむ、そうじゃ狐さんじゃ」


「あらあら、ごめんなさいね。尻尾がいっぱいある獣人なんて初めて見たから」


「そうなのかえ?」


「少なくとも私はね」


 とウィンク交じりに教えてくれる。


「それで今日は何をお探しかな?」


「ローライズのパンツと袖のない上じゃの、あと寝間着にあれば丈の長い靴下が欲しいの」


 スカートとか要らないの?と聞かれるが、ハンターであるし動きやすいパンツがいい。

 忘れそうになるが…というか実際ほぼ忘れてるが、元男だから恥ずかしいとかでは断じてない。

 一言でいうなれば、スカートを穿くのが面倒なのだ。


 この世界、獣人も居るので、いわゆる尻尾穴付きのような獣人対応の服も勿論ある。

 細い尻尾の種族であれば、ヒューマン用の服に尻尾が通る穴を開ければいいだけだが、

 ワシのようにボリュームのある尻尾の種族はそうはいかない。

 ワンピースなどであれば、腰のあたりまでスリットが入っており

 そこに尻尾を通して、下のスリットを紐やベルトなどで固定するといった具合。


 獣人自体そこそこ珍しい事もあり、大きい服屋でもない限りは

 そういうモフモフ尻尾用の服は置いてないのが基本、現にこの店にもなかった。


 なんでそんな服の事情を知ってるかというと、女神さまに常識の一環として

 下着の着方も含めじっくりと教わった…そう教わった…。お金の事については教えてくれなかったのに…。

 あの何もない真っ白な空間で、姿が見えない女神さまの指示に従って下着を着け外しする…

 あの公開されてないけど公開処刑に等しいレッスンは二度と受けたくない。

 遠い目になりつつあるところに店員さんが戻ってきた。


 ホットパンツからガウチョパンツまでさまざまな種類のパンツと

 ベストやタートルネックなんかのトップス。

 中には袖のあるものもあったが、買ってくれたら取り外しもできるから後日取りに来てくればいいらしい。

 あまり動きが阻害されるようなものは除いて、寝間着としてネグリジェとワンピースを幾つか。


 下着はさすがにフリフリは恥ずかしかったので、すべてシンプルなものを。

 ゴムが無いため、商品はすべて紐パンだった。ブラも立体裁断なんてないので、胸を覆うだけの簡単なもの。

 コルセットタイプもあったがこっちは遠慮させてもらった。


 収入もあったためついつい両手で抱えきれないほど買ってしまったが、

 収納の腕輪のおかげで荷物も嵩張らない。ビバ異世界。


「ハンターさんだったのね」


 なんて腕輪に収納するのを驚いていたが、


「んむ、三等級じゃ!」


 と胸を張ればますます驚くさまがとてもかわいかった。

 では、またくるのじゃ!と店を出ると、道端の段差に座り込む、

 まるで娘の買い物を待つお父さんのように項垂れてるアレックスが居た。


「まさか待っておったのか?」


「あぁ…案内するって言ったろ…」


 若干草臥れた様子でそう答えるので、さすがに悪い気になってくる。


「うぅむ、では待たせた詫びに昼を奢るのじゃ」


「いや、さすがにそれは…」


 奢るのは男の甲斐性とでも考えてるのか言いよどむので。


「待たせた詫びじゃと言っておろう?その代りオススメのお店を教えるのじゃ。

 そこをワシが気に入らなければおぬしの奢りじゃ、それでよかろう」


「あ、あぁ分かった。それじゃあとびっきりのオススメの店に連れてくぜ」


 そういうや立ち上がりこっちだと歩き始め、さっさと先に行ってしまうので、

 奢りでどうのこうの考えるのなら、まず歩幅をワシに合わせいとひとりごちつつ、

 その背中を必死に追いかけることにした。









お買い物フェイズは終了、次回はお昼食べて腹ごなしに魔獣退治予定

予定は未定


元男といってもそういやそーだったなレベルなので下着如きでは動じない

かといってきゃっきゃと選ぶほどではないそんな感じ

武具に関してはすでに自前のものがあるので買いません


そしてこの世界の防具実は軽装以上のものは儀礼用のもの以外存在しません

その理由は次回以降で

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― 新着の感想 ―
[一言] 現代ならファスナーがあるので、上のスリットを腰まで降ろして穴代わりに出来るのに。 :ワンピースなどであれば、腰のあたりまでスリットが入っておりそこに尻尾を通して、下のスリットを紐やベルトなど…
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