1046手間
攻めてくる相手を倒すことは容易い、しかし問題はいつ攻めてくるのかということだ。
時間があるのならば多少待つくらい吝かでは無いのだが、クリスを待たせている今はそうも言っていられない。
だが奴らは地上にまで手を伸ばすつもりでいるのだ、地上を制するなど妄言を吐いているに等しいが、それ即ち聖ヴェルギリウス神国に侵攻すると宣言しているようなものだ、いや、事実そうなのだ。
妄言と言えど看過は出来ない、何しろ奴らは銃を持っているのだ、それがどれ程まで効率的な兵器かワシは良く知っている。
性能次第ではあるがはっきり言って勝ち目はない、魔法がある以上はそれほど激烈な効果はないであろうが、誰でも使えるというのはそれだけで脅威だ。
「一度、その魔導銃とやらを見てみたいのぉ」
「あぁ、構わない、流石に室内で取り出す訳にはいかないからな、こっちだ」
ワシが長老に聞けば彼はあっさりと頷き、のっそりと立ち上がるとついて来るよう手招きする。
長老の後にワシが続くと、部屋に一人残されるのは嫌だとばかりに、ドノヴァンが慌てて追いかけてくる。
「して、魔導銃とはどの様な兵器なのじゃ?」
「どのようなって、さっき言った通りのモンだが?」
「言い方を間違えたの、どの程度の威力を持っておるのじゃ?」
「そうだな、簡単な鎧ならば撃ち抜く能力はある、流石に分厚い鉄板なんかになると無理だがな」
「ふむ」
歩きながら答える長老の後に続きながら、ワシは顎に手を当て考える。
話からしてそう突飛な能力を持った銃では無いだろう、まぁ、魔導具の力を利用した銃という時点で十分突飛だが。
「そういえば、誰でも扱えるというておったが、魔導具ならば使えぬ者もおるのではないかえ?」
「流石になかなか上手く撃てない不器用な奴は居るが、そもそも使えんような奴は居ないな」
「ふむ、それもそうか」
ヒューマンと違いドワーフは皆マナの量が多い、魔導具の起動に関しては何の問題も無いのだろう。
「あぁ、あと上手く的に当てれない奴もいるな、アレは仕方ない」
「ふむ、弓より撃つのが簡単とはいえ、確かに当てるとなれば弓も銃もさして変わらんじゃろうしな」
とは言え逃げ場のない狭い洞窟内であれば、さほど当てる腕前というのも問題にはならないのかもしれない。
ワシ一人ならばどこであろうと対処は容易い、だが人を引き連れてる時はどうするかとつらつらと考えている内に、銃を撃つ為の射撃場らしき場所に到着するのだった……




