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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
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1044手間

 ドワーフ二人がむさ苦しく見守るなか、ワシは言葉を紡ぐために大きく息を吸いカッと目を見開く。


「断るのじゃ!」


「それは当然の選択だとは思うが、一応何故ダメなのか聞いても良いだろうか?」


「んむ、おぬしら喰う物の確保も含め、鉱脈かその近くに住むしかなかろう?」


「あ、あぁ」


「しかしじゃ、鉱脈が見つかっておるということは、既にそこは掘り出しておる」


「当たり前だな」


「掘り出しておるということは、それを為す者が必要じゃ、採掘を生業にしておる者がおるわけじゃな。そこにおぬしらが行ってみよ、たちまちそ奴らは廃業じゃ」


 ドワーフといえどタダ働きなぞさせず雇うならば当然給金は払う、ならば元居た人も一緒にやればいいじゃないかと思うがそうもいかない。

 ドワーフとヒューマン、同じ時間だけ同じ内容の採掘をやらせたら、恐らく効率が数十倍から数百倍くらい違う筈だ。

 雇用する側から見たら同じ給料で、いや、多少高くドワーフに給料を払おうともドワーフの方が圧倒的に安く上がるのだ。

 当然そうなればヒューマンの鉱夫は早晩解雇されるのが目に見えている。


「新しい鉱脈を見つければいいのではないか?」


「全く見ず知らずの土地じゃぞ、土地勘云々の前に環境の変化でおぬしらが死にかねん」


「ち、地上はそんなに過酷な土地なのか」


「人里近くはそうでもないがの、新たな鉱脈求めて未開の地へとなれば、過酷と言わざるを得んじゃろうのぉ」


 ドワーフが環境の変化に弱いという訳では無い、むしろヒューマンよりも丈夫で変化に強いだろう。

 しかし、それでも未開の地へとなれば魔物への注意も必要であるし、雪深い中をひたすら進むこともあるだろう。

 それは常日頃から鍛え、雪に慣れている者であろうとも過酷な道中となる。

 そこへかなり体が丈夫だろうと、雪どころか天候という概念そのものが無いドワーフが行うとなれば、その過酷さは筆舌に尽くしがたい。

 下手をせずとも、あたら命を散らすことになりかねない。


「確かに、前々から居る者を故意ではないとはいえ、追い出すのは本意ではない。新たな鉱脈を探すのも、そも地上で我らのやり方が通用するかどうかすら分からん、地上に逃げたとて恩を返すどころか仇となりかねないか……。なればここで滅びを待つが、我らの定めか」


 長老が手を組み天を仰ぎ、諦観を多分に含んだ呟きを溢す。


「何を言うておるんじゃ? 地上に逃すのを断っただけで、誰もおぬしらを見捨てるとは言うておらんじゃろう?」


 ワシの言葉にどういうことだと瞠目するドワーフ二人に、ワシはニヤリと笑いかけるのだった…… 

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