表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
1009/3482

981手間

 クリス側の泉の晶石も創り出し渡しまたひと騒動起こったが、先ほど焼き直しのようなものだったので、今度は軽く流しさっとその後の予定を消化する。

 完全に自分のせいではあるが、ようやく解放されるとゆっくりと部屋でくつろいでからベッドで横になる。

 ぐっすりと眠っていた夜半過ぎ、遠くから絹を裂くような悲鳴が聞こえ、パチリとワシは目を覚ましベッドから飛び起きる。

 寝間着のまま部屋を飛び出すと、悲鳴がした方へと灯りが消された廊下を駆けてゆく。


「どうした、何があったのじゃ」


「ひっ、ざ、座下でしたか」


 廊下で手持ちの燭台を持ち腰を抜かした女性を見つけ近寄れば、一瞬また悲鳴をあげそうになったが、ワシだと分かるとほっとしたように彼女は息を吐く。

 確かに燭台の灯りの外は真っ暗なのに、その中からぬっと何かが現れれば驚きもするかと反省しつつも彼女の手を取り立たせてやる。


「して、何があったのじゃ?」


「は、はい、それが、ひっ」


 ワシの質問に答えようと何かがあった方向へ彼女が顔を向けた途端、今度は明らかに恐怖に怯えた声をあげ、顔を引きつらせる。

 ワシもつられて彼女の向いた方向へと視線を向け、ワシも思わず「ぴゅい」っと変な声が喉から搾り出る。


「あ、あれはなんじゃ」


「わかりません、廊下を巡回してましたら暗がりから突然……」


 声も何もしなかったから気付かなかったが、そこに居たのは顔だけでなく全身がぐずぐずに崩れた人。

 土気色どころか腐った泥のような見た目のソレが、床をズルズルと這ってこちらへとゆっくりと近付いていた。

 確かにこんなものに暗闇で遭えば誰だって悲鳴をあげる。


「何がありました」


「あ、あれが……」


 ワシから遅れることしばし、ワシが見つけた女性よりやや年嵩の者がやってきて、やはりワシと同様指差されたモノをみて悲鳴をあげる。


「なんですかあれは!」


「わかりません」


「何にせよこんな人? とにかく侵入者です、座下を安全な場所へ!」


「何を言うかえ、ワシの居る所こそ最も安全な場所じゃて」


 年嵩の者が手持ちの燭台と一体化した鐘を鳴らすと人が起き始めたのだろう、ざわざわと建物全体がにわかに慌ただしくなるのだった……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ