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女神の願いを"片手ま"で  作者: 小原さわやか
女神の願いで…?
1002/3472

974手間

 しばらくして本を再びワゴンに載せて、傍付きの者が戻って来た。

 今度の本は先ほどの説教の本と同様に手入れされた古さではあるが、手引書であるからかしっかりと表題が残り、しっかりと表紙から内容が読み取れる。

 辞典のような分厚さの本が五冊、表題を見た限りでは細かくは違うであろうが、冠婚葬祭そして修行の五つに別れて書かれているようだ。

 

「それにしても分厚いのぉ」


「儀式を受けるもの執り行う者の身分や役職に合わせて儀式の内容が細かく決められておりますので、それでも各地での所縁の儀式や、口伝でのみ残されている儀式などは除かれております」


「ふむ」


 傍付きの者の答えに頷きながら、ワシに関係あるであろう婚の本を取り適当にページをめくる。

 開いたページに書いてあったのはある程度余裕のある家の者の儀式について書かれており、更にそこから親類縁者に聖職者が居るかどうか相手が聖職者かどうか、聖職者の親類縁者や相手がそうだった場合、その聖職者の位はどれくらいかなどで、大筋は変わら無いもののそこに付随する儀式の内容の差異が事細かに書かれていた。

 


「ここにクリスが今やっておる儀式やらも書かれておるのかえ?」


「いえ、殿下が為されていらっしゃるのは、こちらの本に書かれているものでございます」


 そう言って差し出されたのは、修行について書かれている本。


「これまた随分と分厚いのぉ」


「いえ、他の本のことを考えると少ないかと、これだけは一冊にまとめられておりますので」


 確かに、他は冠婚葬祭を四冊に分けているので、それを考えると薄いのか。

 それでも他の四冊よりも二割ほど厚いので、十分以上に分厚いと言って良いと思う。

 

「それにしても、死人が出そうなものもあるのじゃが、クリスは大丈夫なのじゃろうな?」


「ご安心ください、死人が出る程危険なものは、現在全て禁止されております」


「ほう」


 よくよく見れば危ないと思うような項目には、最後に行うことを禁ズと書かれている。

 禁ずるくらいならば書かなければいいと思うのだが、明文化しなければやる人でもいるのだろうか。

 それにしても、修行はそれなりにきついことをするか継続しなければ効果は見られ無いとはいえ、流石に死にかねないようなことを行うのはどうかと、禁じられている項目の多さにそんなモノを思い付いた奴は一体どんな狂人なのかと苦笑いをするのだった……

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