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7話 農場全力開発「牛」①

「次は牛だな」

 大丈夫、穴を掘りすぎたところは結局マホが掘ったし、シャベルも作ってもらったし。もう怖くない!

 一応移植は見送った。木が根付かない限りはね。

 てことで次の日、今度のターゲットは……

「牛? あれは馬――」

「マホ、俺はあれを馬とは認めんぞーッ!」

 常識が完全に打ち壊されたあの食材め……。

「じゃ、見に行くぞ」

「はーい」


 牛がいるところは草原だった。

 地理としては農場予定地よりも北、ちょうど森と隣接した場所か。

 膝丈ほどの草が茫々と生えている原を歩いていた。

 ……猛スピードで。

 歩くというより駆ける、駆けるというより猛々しく走っている。あぁ恐ろしや。

 ……というか。

「本当に馬だったんだな」

「だからまえからそう言ってる」

 頬を膨らませている、ように見えなくもない無表情なマホの隣で絶句している俺。ファンシーな世界観だなまったく。

 それにしても移動スピードがありえない。

 馬のように体が軽い訳でもないだろうにあのスピード、腿肉がおいしそう……ハッ、いつの間にかマホ目線で生物を見ているッ!?

 主食はそこの草で、寝るところには拘らないようだが……これはちゃんと走らせる場所が必要だな。

 そうだ。

「マホ、方向性が決まってきたぞ」

「どーゆーの?」

「ここから農場まで小道を作って、あっちの原まで直通させます」

「うん」

「で、あっちの原にも柵を立てて入場制限する」

「で?」

「寝るときは農場を経由、日中はそこの原に放牧って感じだな」

「分かった」

 てことで移動して、原の方向に向けてマホが魔法を放つ。

切断カット

 ガッ!!!!、と直線状に木が折れていく。

 ある意味これ超効率的伐採機器だよなぁ……ただでさえ多大なエネルギーを使って稼動してる地球に魔法要素があったらとか考えると怖いなぁ……。

 で、その後は浮かせて集めて加工して地面整地しての一連の流れを魔法でパッパとこなしていく。

 これ地球だったら工期数ヶ月のプロジェクトだよなぁ。

 改めて、異世界の規格外さを感じてしまった。


 柵を立てる。切り倒した分の木だけで足りそうだ。

「あ、ロープ作ろう」

「ロープ?」

「ロープというのは糸より太い紐を編みこませて作るもの。それで牛の首を引っ張って移動方向を決めたりとかなんだ、つまり自在に生き物を操れるものだな」

「……ちょっとかわいそう?」

「おれもそれは考えた……。人間って自分のためなら他の生き物つかうのも厭わないからな。でも、自分が生き残るために他の生物の心配をしてられるかって言うとそうでもない。マホは自分が耐えられないほど腹ペコの時に食べられる生き物がいて、でも殺さずに可愛そうだからって食べないなんてことがあるかと言われれば?」

「無理」

「即答ッスね……。まぁそういうことだ。俺らは飢え死にしないように自分の食い扶持を確保する、ただし。あいつ等にとっても天敵から食われる可能性を俺たちが減らすから生き残る率が上がる。うんウィンウィンな関係でいいな!」

「なる……、ほど……?」

 結局うまく丸め込んでしまった。こうして人類は頭を悪事に使って知能発展とともに繁栄したのだろう。なんとも皮肉らしいというか……。それによって今日に俺という存在があるから一概に悪いとは言えないとか。

 いち高校生が達観したように何を言うかというような内容を考えてしまったが、いい経験だったのかもしれない。

 そうやって俺は、高校の「倫理」で習うようなこと自己肯定して、自らを丸め込んだ。


「じゃあ、蔦を使って編もう。編むのは俺がやるからマホは蔓性の植物を集めてくれるか?」

「ん、りょーかーい」

 農場前でちょっとでも貢献しようと原っぱまでの道を踏み固めておいた。まぁマホがある程度加圧していたので効果は焼け石に水というか雀の涙というかといった程度だが。

「持ってきたー」

 そういってマホが持ってきたのは蔓だ。ちょうどこの手の物を探していた。太さ申し分なし、強度申し分なし……というかこれ、

「所謂、マニラアサってやつ……?」

 天然物を使ったロープの金字塔、マニラロープってやつだ。たしかそんなことが電子辞書内のコンテンツとして書いてあった気がする。

「この素材、もっとあるか?」

「うん」

「じゃあできるだけ多く!」

「ん、がんばる」

 それからはずっと編み込みの作業だ。やり方は三つ網、の4つ番、硬く絞めて途中に固結びを入れ込んで伸びないようにする。

 高校家庭科のレベルでどこまでいけるだろうか……。

「よし……完成!」

「ぱちぱち」

 俺の手には長さ数メートル、約3メートル程にしておいた。

 牛の広すぎる体幅にも対応する超スーパーいい感じな綱の出来上がりだ。

「じゃ、早速練習がてらあっちの草原で牛を捕まえますか」

「うん」

 マホと農場に行くまでの道を歩く、編み込みに夢中で日は暮れかかっている。

「なんか、ありがとうな」

「なんで?」

「毎度毎度我侭言っていろんないろんな事しようとする俺に付き合ってくれて」

「ん、別にいいの。たのしいから」

「そっか」

 そして農場に着く、さて目当ての牛は……。

 牛は、既にいなかった。囲ったはずの牛が、いない。

 いや、正確に言おう。

 牛だったモノ(・・)が転がっている……ッッッ!!!???

 全身に鳥肌が立つ。この光景は、衝撃的過ぎた。

「ぁ!? ……あ?」

 絶句する、意味のある言葉すら出せなかった。

 意味が分からない、どうして、どうやったらこうなった!?

 そして俺は、あの時マホに言った言葉を思い出した。

『生物には必ず、天敵がいる』

 その言葉が思い出されたとき、俺の斜め後ろから、大きな影が入り込む。

「あ、ぁぁ……!?」

 つまり……これは?

 天敵の襲来……?

さて……投稿がウルトラスーパーエクストリーム遅くなってごめんなさい。活動報告ばっかり書いててごめんなさい。実は最近パソコンにログインしていなくて(大嘘)

今回は「牛」……「馬」でした。一人称が物部正和視点なので未だに牛って呼んでますけどね。

次回は、マホが強すぎてバトルになるかどうかすら怪しいバトル回です。だって①って書いてありますもの。

次回もお楽しみにしていただけると幸いです。(ただし投稿ペースは不可思議)

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…さすがに怪しく見える言い方

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