6話 農場全力開発「鳥」
農場が発展した。
農場というか放牧なのだが、マホがジャガイモっぽい何かを持ってきたので傍らに植えて家庭菜園っぽくしたので農牧場というハイブリッドな感じの場所にしてみた。
マホが集めてきたのは、鶏っぽい丸鳥(どう見てもサイズがダチョウ)、牛っぽい馬(意味がわからない)、豚(確信)。
…もう牛については意味も分からない。
まぁ要するに、
マホが持ってきた牛は馬だった。
どう見ても牛だったがマホが「馬だ」というので馬なんだろう。
その証拠といっては何だが、馬刺しに使われている肉の部位はおいしかった。
…でも味が牛肉。
ちなみに、豚は丸ごと豚だった。豚以上でも以下でもなかった。見た目が豚。ロース、ヒレともに豚肉の味。おまけに鳴き方が豚だった。のでこれは豚であると宣言します。
てことで家の奥に牧場を作る。一応柵を3つに分けて、鳥、馬、豚。
匂い防止にジャガイモの壁を作ってみた。
「さて。場所は作ったし、生き物の視察に行くか。」
「視察?」
「生き物はその場その場で生きる最適な環境を探してそこに住み着くモンだから、農場でそれを再現しない限り農場経営はうまくいかんのです。」
「ふーん。」
「例えば餌の種類、例えば巣の作り方。巣の環境や、気候とかも大事。動物は繊細なんだぜ。」
「…もうわかった。とりあえず鳥さんのところまで、ごー。」
「俺も生命体だからちょっとは労ってくれるとうれしいですぅぅぅぅ!!」
話が長すぎて飛ばされた。さすが異世界。
第一ターゲット、鳥。
巣は木の下につくり木陰を使って雨風をしのぐようだ。
一本の木自体を縄張りとしており、その生活範囲はすべて一本の木に収まっている。
木の枝は巣のため、葉は断熱または蓄熱のため。木の皮は最終食料源。
木自体を吸い尽くすように使っている。頭のいい鳥だ。
「…じゃあさっき食料に使った鳥の木をこっちに移植するか。」
「わかった。掘削。」
ドゴッ、と木の周りの土が一気に持っていかれた。
「じゃあ、持ってく。」
「あ、ちょっと待って。」
今にも浮遊の魔法を唱えそうなマホに俺は懇願することにした。
「…シャベルがほしい。」
「やだ。」
「なんでじゃあああああ!」
あまりのもったいぶりに感情が爆発してしまった。
その行動に驚きもせず、マホが突然腰にシナを作った。
「だって…シャベルがあると、正和が私をひつようとしなくなっちゃうから…。」
…………。
「本音は?」
「正和、シャベルってなに?」
「…うん。教えてあげるから作ってくれ。」
マホはシャベルを知らなかった。
ってことで3分間メイキング。
まずはそこらへんの木から使い心地のよい木の棒を持ってきます。
「なッ…意外と硬い!?」
ここら辺の木は有能なことに俺の全体重を掛けてグイグイと加圧しても曲がらなかった。
とりあえず腰の辺りまである割とまっすぐな木の枝をマホにきれいに整形してもらい。
その先端に石をつける。この石もマホが作ったいい石で、削って整形して切れ味抜群。とまあそんなこんなでそれをくっつける。
最後に、そこらへんのツタを巻きつけて固定し、滑り止めにする。
「完成ッ!」
シャベルができた。
そして、そのシャベルに向かってマホが何か言っていた。
もしかして、シャベルと喋る不思議少女?
…ひどいギャグだ。
「…さて、はじめますか。」
ところ変わって放牧の地に来ていた。
とりあえず木を入れるための穴だな。マホが木を持って移動するまでの間にある程度掘っておかないと。
軽く土の上に1メートル程の円を描き、掘る幅を決めてから掘り始める。目標は約1メートル。
こういう土木作業みたいなものはあんまり経験がない。
しかし、なんだか楽しい…。うん、すごく楽しいな。
掘るだけの単純作業だがそれがなぜか楽しい。
単純作業ってたまに楽しくなったりする。
うーん、楽しい。
よっしゃ掘るぞ!
…あれ?
俺は…、何を…?
「正和、正和、正和。」
「あれ…マホか?」
隣にいるのはマホだった。
光が遠いような気がする。
「…マホ、ここはどこだ?」
「土のなか。」
「…あ、そう。」
…。
……。
………。
「あ、そう。じゃねええええよおおおおおおおお!」
俺の叫びが土壁に反響する。
なんじゃ…。
何があったんじゃ…。
「正和がずっと掘ってた。」
「…え?」
「私が1本目の木をもってきたらもうこんなかんじ。」
俺がそこまでの本気とは俺は相当ヤバイ奴だと思う。
どうしてこうなったとあれこれ思案していると
「あ。」
と言ってマホがポンと手を打った。
「私、そのシャベルに魔法を掛けたの。」
「そうだったのか。何を?」
「中毒。」
アディクション…?それって確か日本語で中毒の意味じゃ…。
「もしかしてマホ。」
「なぁに?」
「それで俺が掘削中毒になった?」
「うん。たぶん。」
…掘削中毒ってなんだよ。
「…とりあえず。新しいシャベルをつくろうか。」
「うん。」
てことであの穴はいつかのための遺産となった。
シャベルは家の裏に「使わずのシャベル」としておいておいた。
「禁断のシャベル」と命名に迷ったのはマホにはナイショだ。
ついでに、俺の腕が翌日筋肉痛になったのはいらぬ補足か。
2000文字を書くのって大変ですね。
てことで微妙にスランプになりながら6話です。あんまり上手くいかなかった様な気もしますが、これがおそらく自分の限界。なので今度書き直します。
意味がわからなかったら感想欄になんなりと。
では。
7話は牛かな…?