支配域の王
時間がありませんでしたので、今日はいつもの3分の1くらいです。
すみません。今日から暫くそんな感じになります。ご了承ください。
晴臣は叫ぶ。
「ふざっ……けるなァッ!」
意思の燐光、赤の衝動。五瓜の呪いの言葉は、しかし、晴臣には届かない。
「私の正義が、貴様の改変を受け入れるわけが、」
晴臣の体から、排斥する境界線が広がる。
「――ないだろうがッ!」
押し出す力が、呪いの言葉ごと排斥する。
五瓜は驚きの声を上げる。
「馬鹿なッ!」
「私の正義は、悪を排斥する正義だ!」
晴臣は排斥の力で、一瞬で五瓜に肉薄する。
「お前が悪ならば、その祝福も、排斥できて当然だろう!」
お互いに祝福を排斥しあう。それは一種の矛盾のようにも思えるが、その結果は全く矛盾しない。
なぜならば。
「意思の強いほうが、勝つ」
そう、それは永久不可侵の中の絶対事項。それは五瓜の祝福であっても捻じ曲げることの出来ない「絶対」だ。
そして、意思の強いほうが勝つのならば。
「勝つのは僕だ!」
「勝つのは私だ!」
もはや勝負の行方は分からない。
排斥の力で縦横無尽に動き回り、排斥の力で敵を穿つ晴臣。
位置を操作し瞬時に立ち回り、破壊の一撃で敵を穿つ五瓜。
瞬時にその位置が立ち代わる高速戦闘であった。もはや本人たち以外に、この戦闘を理解できるものなど居まい。
そしてその戦闘も、お互いがお互いの祝福を削り合うことで、徐々に速度を失っていく。
「弾けとべ、五瓜!」
「吹きとべ、晴臣!」
そんな叫び声とともに放たれる拳には、もはや祝福は乗らない。
お互いの祝福を削りきった両者の戦闘は、拳と、拳のぶつかり合いだった。
お互いの拳が、お互いの頭を撃ち抜く。
「「まだだッ!」」
二人は絶対に倒れない。
ただひたすらに、殴りあう。
◆◆◆
「なんだ、急に獣の統制がとれなくなったぞ」
「タケさんがやってくれたのかしら。どちらにせよ、今のうちに!」
「おっしゃあ、分かった!」
譲と美夜の二人は獣たちの渦中に飛び込む。統制のとれていない獣をさばくのは楽だ。何せ、仲間が数匹傷つけば、すぐに逃げてくれる。完全に殺す必要もない。
みるみるうちに敵は数を減らしていく。譲は言う。
「よっしゃあ、これなら楽勝だな」
「ええ。そうね。譲はもう下がっていいわ。銃でさばける程度なら、そんなに痛い思いしなくてもいいもの」
「ああ、すまねえ」
二人は交代する。今までは譲が主力だったが、少ない敵を相手にするならば、嬢の祝福は少々オーバー過ぎる。
その時だった。
「何だ、あの数は――」
そう言ったのは、譲。
見上げる空には、それを埋め尽くす量の鳥、鳥、鳥。
そして地上には、さっきの倍はあろうかという獣、獣、獣。
「何だこの数は! タケさんが何とかしてくれたんじゃないのか!」
「どうやらまだ、休憩は出来ないみたいね!」
戦いは続く。




