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デュアル・クロニクル other story  作者: 不破 一色
第一章
4/10

1-1

この第一章から、2,500字前後を前提に変更しました。

流石に本編もある上で、週1書き下ろし投稿は厳しいと判明したというオチです(^^;

 こっちに飛ばされてから一ヶ月ちょっと。お世話になった町、黒竜郷に、深淵の賢者と称される雅章さんが来てから未だ三日。

 何故かわけが分からないまま、私と紗弓、薫の三人が案内役に就けられた。

 状況に流されている間に、雅章さんに私達の紹介をしたり、この地の主である黒龍と白龍夫妻の所に案内したり、お試し戦闘訓練をしたりと、何だかバタバタと日が過ぎて行った。

 それまでは葛西が、また何かやらかすかも知れないと、姿を見せれば警戒する様な日々だった分、今回葛西が禁固刑になった事で町も落ち着いて、それほど騒ぎも無い日々。衛士衆も手が空く事が多くなった。

 そう言う意味では私達にとって、仕事が開く訳でも無ければ、忙しい訳でもない、丁度良い感じで助かった部分はあったかも知れない。

 でも、そんな事を考えてる余裕は、初日に消え去っていた。

 午後、衛士衆の演習場を借りて、とりあえずそれぞれの戦い方を雅章さんに見せたところ、『そういう建前はいらないから』と切られた。

 確かに、紗弓の無手技と、薫の符術は、あまり目立たない為のものだけれど、通常はそれで大抵通用するし、私の鉄扇を使う事自体は、何の誤魔化しもないんだけれど・・・。


「お嬢さん方は、町の外に出て回ると聞いたが、儂もベイセルに請われた以上、見定めさせて貰わんとな」

「今のでは、町から離れるには不足と?」

「通常は平気じゃろうな。

 ただ、最近じゃ色々物騒な事もあるし、安全性から言えば不足、じゃろうな」


 ふむ。やっぱり衛士衆として動くのと違って、数押し出来ないから厳しいか。


「お嬢さん方みたいなのは、狙われるからのう。

 身売りでもされたら、悲惨じゃよ?」

「身売りって・・・」

「公に認められた奴婢どひなら、この国ではそれなりに保護されてはおるが、それでも売られ方次第じゃし、裏買いされればそれこそじゃな」


 以前どこかで奴婢ぬひって聞いたけれど、それは大陸での読みらしくて、ここ日之本では奴婢どひらしい。まぁ、どっちにしろ“奴隷”を指す言葉なのは変わらない。

 こっちには奴隷制が未だにあるらしいけれど、ベイセルさんに教えて貰った分には、犯罪者に対しての罰則労働や、借金返済代わりの身売りがほとんどだって聞いてる。

 罰則労働は労働奴隷と言われ、罰則分の強制労働期間を過ぎれば解放されるし、借金の形の場合は奉仕奴隷と言われ、借金分の奉仕を買い手先で稼げば解放されるらしい。

 ただ、奉仕奴隷の場合、特に若い女だと、文字通りの身売りって場合も、買い手によってはあるらしいから注意だって言われた。

 もっとも、買い手は当然、それなりにお金を持っているから、あえて自分を売って身籠もったりして、玉の輿を狙うのも居るらしいから、何とも言えないんだけど。

 ただ、裏買いと言う、つまりは違法売買された奴隷は、私達がイメージする奴隷みたいな感じに、人権て何? な扱いをされるらしい。


「裏売りする様な連中は、相応に力を持つ。

 そうじゃ無ければ、違法行為なんて出来んからな。

 そういう連中に捕まれば、お嬢さん方みたいなのは特に、悲惨じゃろうな」

「悲惨って・・・」

「いわゆる性婢ってやつじゃな」


 ハッキリ言わんで良いわ。

 奴婢になった場合、逆らったり、逃げ出したりしない様に、術で縛られるらしいから、抵抗も出来ないのは分かる。

 その術自体は、葛西もこの前捕縛して、禁固刑が決まった時点でかけられてたから、別に奴婢にのみ使われるってわけじゃない、ありふれた術だしね。

 ただ、悪用されるとどうしようも無い。


「ベイセルは、表側を重んじるエルフじゃから、どういう話を聞いてるかは知らんが、実際に若い女が売れるのは事実じゃよ。

 男は、いくら屈強でも消耗費扱いがほとんどじゃし、容姿に優れていても買い手は少ないからのぅ」


 嫌な話しだな・・・。


「実際のところ、お嬢さん方の様にゲームとか言うので最近来た来訪者の中には、実際に裏売りされたのも居るらしいからのぅ」

「ちょ、待って。それ本当?」

「実際に見た訳では無いがな。

 ただ、違法鉱山を取り締まった時に救助された中や、言い方はあれじゃが、使い捨てられたであろう不明遺体の中には、そうした来訪者も混ざっていたとか聞くしな」

「私達みたいなデュアル・クロニクルのユーザーに、被害者が出てるって事?」

「表沙汰にはなっていないが、お嬢さん方の様な来訪者は、把握出来ているだけで三百人は居るらしい。その内既に、百人程は行方が分かっておらんよ。

 中には町を出て、徒党を組んで悪さしてる連中も居るじゃろうし、魔獣にやられて命を落とした連中も居るじゃろうが、来訪者登録をそもそもしていないのも居るしのう。

 人数的にどうかは分からんが、裏売りされているのは事実じゃな」


 そう言われれば、そうかも知れない。

 衛士衆情報として、既に三百人くらいこっちに飛ばされて来てるらしい事は聞いていた事実だし、私達もそうだけれど、こっちの事は分かっていない上に、あっちでさえ平和ボケしてると言われた日本人だ。

 裏売りとか言う、いわば非合法な人身売買をやってるのが居るんだから、言い方は悪いけど、都合の良い売り物になるのは分かる。

 葛西みたいに逃避に走って、突然町とかから姿を消すのも居るから、それが浚われたのか、自主的に消えたのかさえ把握し難い。

 来訪者登録する前に捕まれば、それこそ把握出来ないだろうしね。

 人身売買する様な連中からすれば、本当に都合良いわよね。

 いくら無事に保護されて、一ヶ月くらいそれなりに平穏に暮らせたからって、そこに気付かなかった私達は、本当に平和ボケしてたのね。

 死んだらそれまでっていうのは、あっちでも同じだから気を付けよう、力を付けようとは思ってたけど、想定していた危険の見込みが甘すぎたわ。


「危険性があるわけじゃし、相応に対応出来るというのを見せてもらえんと、儂としてはベイセルに、そう知らせるしか無い」

「ん・・・それは困る」

「じゃろうな。

 特に加藤嬢は特に、ベイセルが許可を出さんじゃろうしな」

「ん。じゃ、本気出す」


 そう言って薫は、ちらっと私と紗弓の方を見た。

メイン三人の裏事情が?

果たして、女の裏事情をバラして良いのか。キャラとは言え、何かリスクは無いか。そこまでして書くものは、果たして複線なのか、それとも何も無いのか・・・全て未定(マテ

書き下ろしなんてノリと勢いか、そう書いているだけの振りなのかは、いずれ分かる時が・・・来ると良いよね~

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