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先週は投稿出来ませんでした(><;
書き貯め無いと、色々厳しい感じはありますが、ある程度書き貯めてから投稿だと、それはそれで厳しい部分もあり・・・難しいところですね(^^;
雅章さんの話を聞けば、確かにその通りと思えた。
私達がこっちに飛ばされて来てから、未だ一ヶ月程。それでも、これまでと比べて有り得ない程、戦う力は得たと思う。
けど・・・それは敵として獣や魔獣、盗賊と言った、想定出来る対象に対してだけ。
裏売りと呼ばれる連中は、盗賊とかと違って対象が私達自身だから、まともに戦える状態、抵抗出来る状態で対応出来るとは限らない。
「でもさ、それって運が悪ければ、って言うだけでしょ?
そこまで気にしないと、こっちでは生きて行けないないのかな」
「そんな事は無かったのう。
ただ、この半年程、おかしいくらいに来訪者が多い。それは、突然金の成る木が現れた様なものじゃからのう」
金の成る木って・・・。
「三百人程が確認されている様じゃと言ったが、それは確認されているだけの数じゃ。それだけの狙い目が現れた事で、実際には四百に届くかも知れん、とも言われておる。
加えて百人程が、既に行方不明という事はじゃ、単純に二百人近く、消息不明という状態になっている訳じゃな」
「二百って、ほぼ半分じゃないの」
「無論、これも先刻言った通り、来訪者登録をしていない者や、悪さをして姿を隠しとる者、魔獣や盗賊にやられてしまった者、事故に遭った者、等々居るじゃろうから、全てが身売りされたわけでは無いじゃろうがな」
実際のところ、総数を四百人と想定して、悪さをしている連中は最近で五十人を少し超える程度らしい。その内、来訪者登録していて名前とかが分かっているのが四十人程らしいから、人相とかで確認されてるだけで言えば、身元不明なのはたったの十人程。
未登録者の推定が百人程だから、残りの九十人程は、推定行方不明者らしい。
行方が把握出来ている二百人位の中には、葛西の馬鹿みたいに悪さして、捕縛されたのも居て、それが六十人位だって言うから、まともに生活してるのって、私達含めて百四十人位って事だから、1/3位しか居ないじゃないの。
「脅す訳では無いんじゃが、実際のところ、来訪者の死も当然、確認されておる。
その中には、あまり言いたくは無いが、所謂特殊な性癖対象にされた痕跡を持つ遺体もそれなりに居るんじゃよ」
「う・・・本当に、あんまり聞きたく無い話しね」
「言っておくが、確認されている来訪者の死自体、この半年に限ってだけで既に五十人程じゃ」
「え? そんなに!」
それだと、まともに生活してるのって、百人を切るの? いえ、中には未登録の人の死も確認されてるだろうから、そこまでじゃないのかも知れないけど。
「いや、未登録者の死は、そもそもそれが来訪者かどうかさえ確認が難しいからのう。ほとんど数に入っておらんぞ」
・・・そうなると、もっと多くの人達が、既に死んでておかしくない。
ダメだ、私達が思っていた以上に、状況は悪いらしい。確かに私達は経験不足過ぎるみたい。
確かに、私達はあっちで暮らしてた時点で戦いとかほとんど知らないし、関係無い生活をして来たから、いくらゲーム補正で身体能力が上がったり、戦う術を持ったとしても、十分に対処出来るとは限らない。
加えて私達みたいに女ならば、その分狙われるだけの価値は上がるって訳か。
「成る程ね。だから結構しつこく、諄いくらいに私達の危機感を煽ってる訳ね」
「おや、分かった様じゃの」
「え? え~、何が?」
「ん。紗弓は分かってない」
「あれ? 私だけ?」
ま、紗弓にはそう言う部分は元々期待してないけどね。
「雅章さんが私達に、繰り返し私達が捕まったら悲惨な目に遭うって言ってたでしょ。
それは事実なんだけど、諄いくらいそこを突いて来たのは、私達の意識が未だ全然駄目な事を指摘してたわけよ。
見目良いとか、お嬢さんとかいう言い方も多分、それで私達がどう反応するか、見てた部分があるんでしょうね」
「ふむ、そこまで分かってたのか」
「ま、私はともかく、そういう部分に関しては紗弓と薫に問題は無いわよ」
「ほう、それはどういう事かのう」
「薫はあっちだと、魔族とのハーフだから、人目を避ける事や危機感を持った日常に、良くも悪くも慣れてるわ。
紗弓はほら、可愛いからね。あっちでも男どもとの間に色々あったわけよ。で、そうは見えないかもだけど、結構他人を信用してないから、薫より危機感察知や回避対応は早いし過激。実際のところ、この一ヶ月くらいお世話になってるベイセルさんすら、未だ警戒してるでしょ」
「ん、それはそれで問題。ベイセルは私の旦那になる」
「そう簡単には変われないから、そこは諦めなさい。むしろ、こっちに来た分、それはプラスに働く可能性高いしね。
それにしても、薫が結婚か」
「ん。
私、この旅が終わったら結婚するんだ」
何故に死亡フラグ?
わざとなのは分かるけど、目的が分からないわよ。
思わずじとりと目を向ける。
「ん~、魔族にとって、負の気はむしろプラス? みたいな」
「あんた半魔でしょうに。
何か意味あるの?」
「ん、特に無い。
ん~、お約束的なノリかも?」
何故疑問系? まあ良いわ。
「お嬢さん方は面白いのう」
「あー、もうネタバレしてるんだから、その『お嬢さん方』っての止めません? 正直、私達がそこにツッコミ入れなかったのは、当たり前すぎて受け入れてたんじゃなくて、反応に困ってスルーしてただけよ」
「スルーが何かは分からんが、まあ何となくは分かったわい。
とりあえず、最低限問題は無さそうじゃのう。あとは儂が付けば、ベイセルもある程度は納得するか」
雅章さんというお目付役は、薫への安全対策でしょうね。仙術の力は凄かったから断る理由も無いし、そもそも私達が此処を出ようというのは情報集めで、六賢者の内の一人である雅章さんはそこら辺にも明るい。
断る理由は無いどころか、こっちから望むところだけれど。
「一つ疑問があるのよ」
「何じゃ?」
「いくらベイセルさんからの頼みとは言え、雅章さんが私達みたいな若輩をフォローする必要性と言うか、利点が見えないのよね」
賢者の全てが所在不明という状況は、単純にそれぞれの探索や探求で動き回っているというだけでも十分だろう。
であれば、雅章さんにとっては私達に関わるより、自分の行動に自由度を持った方が都合が良い筈なのよね。