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「有理亜」
「お疲れ様です、架音。」
今日は初等部の体育祭の練習中です。
体育は基本的駄目だと言われておりますので暇で仕方がありません。
因みに前世では体操と新体操を習っていましたので、運動はそれなりに好きです。
「駄目だよ、昨日練習中に倒れたんだからね。」
「・・・暑かったので。」
今年は猛暑です。
なので、昨日はわたし以外にも倒れた人はいました。
「軽い熱中症だったからよかったけど、
重かったら死ぬ可能性もあるんだからね、特に有理亜は。」
酷いですね。
「有理亜様、架音様の言うとおりですわ。
何でもできるのは素晴らしいことですけど・・・」
「北條様、先日はご迷惑をお掛け致しましたわ。」
昨日、北條様と一緒にいた時(架音は居ない)倒れてしまいましたからね・・・
あの後・・・何回も頭を下げたら北條様が恐縮してしまいましたね。
やはり神宮路家の名前は凄いです。
「いいえ、よく考えればわかることでしたわ」
幼稚部は行かなかったとは仰らなかったのは気を使って頂けたのでしょう。
北條様は空気が読めるお方ですから。
「それでは、わたくしは失礼致しますわ。
架音様もきちんと有理亜様の事を見張っていてくださいね。」
「そうだね。また倒れられたら此方側の心臓が持たないし。」
「はい。では。」
「僕達も戻ろうか。」
「そうですね。」
歩いていると伊織さんがいた。
「伊織さん。」
「ああ、有理亜に架音か。」
「次は体育?」
「そうだ。君たちは前の授業だったのか?」
「そうだよ。
僕達もそろそろ遅れそうだから行くね。」
「ああ。」
そう言って教室に戻った。