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「有理亜様。」
「?・・・どうか致しましたか?」
学校にも慣れてきました。
皆さん、鬼とも言われる試験の受かってきたのでとても頭のよい方です。
此処ではお嬢様の話し方をしなくちゃいけないのが大変ですけど、
元々敬語だったので少し治せばいいだけです。と開き直りました。
「これを受け取ってくださいまし!!」
顔を真っ赤にさせて何処かへ行ってしまった上級生らしき方。
・・・・・どうしましょう。
「どうしたんだ、有理亜。」
「あ、伊織さん。
多分上級生の方にこれをいただいたのですが・・・・」
「・・・なるほど、侮れないな。」
「わたしも驚きました。」
と言うか、今の上級生の事が心配になりましたね。
将来的な意味で、ですが。
「伊織、なに人の妹を口説いてるの?」
過保護になった気がしますが・・・
まぁ放っときましょう。
「口説くって・・・お前は妹溺愛者か?」
「伊織さん、何を今更・・・おっしゃっているんですか。」
架音がシスコンだというのは大分前からです。
「有理亜も何気に酷いね。」
「そうでしょうか。」
「満面の笑みで言われてもね・・・
と言うか、学園でそれは辞めたほうがいいよ。」
「自由に笑うことも許されないなんて・・・酷いです。」
「よく言うよ。実際に周りの人顔真っ赤だから。」
知っていますけどね。
楽しいことがあれば笑う、人間として当たり前なのでは?
「それは申し訳ありませんでした。」
「君たちは・・・本当に中がいいな。」
「そうですか?」
「他の家は誰が継ぐとかで争う事もあるのにな。」
そう言えば、伊織さんって御兄様がお二人いらっしゃいましたね。
「伊織の家もあの2人の御兄さん同士が凄いからね。」
「そうなんですか?」
「伊織は三男だし、年が離れているからいいけど・・・
あの2人は双子で数分の差だから余計に酷いんだよね。」
伊織の方が優秀だろうにと言う架音。
それは前世がありますからね。
「そう言えばあの事だけどね。」
「あの事?
架音と伊織さんはまた・・・変なことでも考えていますか?」
「変なことというね・・・。」
「此方としては巻き添えを食らっただけだ。」
ということは架音が何かしているんですか。
「なにをしているんですか?」
「んー・・・秘密。」
「・・・・伊織さん?」
「知らないほうが良い。」
ますます気になってきました。
有理亜に目をつけている男子を片付けていることを知るのはもう少し先の話。