2 架音
「という訳で頼むぞ。」
頭まで下げて頼んでくる父。
それはわかる。でも、なんで僕がやらなくちゃいけないんだ?
「父さん、いいけど・・・父さんが言えばいいこと何じゃないの?」
「お前は子どもっぽくないな。
質問の答えはNoだ。有理亜に嫌われたくないし、お前に一番なついてるだろ。」
それは父が仕事の忙しさで家に帰ってこなかっただけだろ!
そう言うのを我慢して、部屋で寝ているであろう妹の部屋に向かった。
「有理亜、体調は大丈夫?」
寝ていると思い、起こさないようにノックをしないで入ったのだが起きていたようだ。
本当に昨日倒れた人間か? その事を隠すように質問をすることにした。
「と言うか寝てたんじゃないの?」
「暇でしたから。」
成る程・・・死んだ母もそうだったな。
身体が弱いのに無茶をする人だったなぁ・・・遺伝かな?
「何の本を読んでたの?」
「経済学の本。」
単純に同じ歳の女の子がどのような本を読んでいたのか気になっていただけなのだけど、
返答に驚いてしまった。
「5歳児が読む内容なの、それ?」
「・・・・さぁ?」
絶対に読むべき内容ではない。
「そういう架音も・・・そうじゃないですか。」
・・・僕は5歳児じゃない。
「まぁ・・・・ね。」
此処はLe contraireと言うゲームの世界、フランス語で真逆と言う意味。
ジャンルとしては恋愛シュミレーションゲームだけど、やっていた人たちは全員ギャクだろ!と言う反応をするよくわからないもの。
話は悪役を主人公にして攻略キャラを攻略していく、バットエンドは悪い人だってばれてしまう事。それで家も破産したりいろんな不幸が起きる。それを見るのが面白くてやっていた。実際男の方がやる人が多かったとか。
何時死んだか覚えていないけれど攻略キャラに転生したのは分かった。
「なにか用事があったのでは?」
「そうだった、父がパーティーに出てほしいんだってさ。」
「お父さまが・・・?」
「そう。」
「でも・・・何故?」
「あー・・・・」
ついつい口ごもってしまう。
「?」
きょとんとした様子でいる有理亜、可愛い。
このゲームは悪役キャラをヒロインとするので有理亜はライバルキャラだ。
ライバルキャラは逆に性格がいいし、可愛いし、良い子だ。
「架音?」
綺麗なブロンドの髪が蛍光灯の光を反射してキラキラ光っている。
此方を見ている瞳もブルーで本当に日本人ではないみたいだ。
っと心配をかけちゃいけないね。
「有理亜が社交界で余り知られていないのを知っている?」
「ええ・・・まぁ知っています。」
「それで・・・めんどくせー」
あ、やばい・・・素が出ちゃった。
これ、あいつが知ったら爆笑すんだろなー
「か、架音?」
「どうかした?
それで、どっかから漏れたらしくてね・・・出してくれって大騒ぎ」
「成る程・・・分かりました。」
「でも、体調とか大丈夫?」
「最近は調子はいいですしね。」
おい、つい最近倒れたやつが言う言葉じゃないよ。
とは言え、気を使わせてしまっているし・・・なぁ。
「・・・・それならいいかな。
来週だから整えられるようにね、無茶しないように。」
「分かりました。」
はい、初のお兄ちゃんsideでした。
お互いが転生者とは知らないで話しているので通じるような通じないような会話を普段からしていると思います。
因みに有理亜→ゲームの事を知らない転生者
架音 →ゲームの事を知っている転生者
です!!