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「有理亜、体調は大丈夫?」
部屋にノックもしないで入って来たのは双子の兄の架音。
お母さまと同じで身体が生まれつき弱いから心配してくれたようです。
「と言うか、寝てたんじゃないの?」
「暇でしたから。」
「・・・」
深い溜息をついているカイン。
架音は父親似の黒髪とフランス人母の血を微妙に受け継いだのかダークブルーの瞳の美少年だと思います。
その髪は綺麗で同じ双子なのに劣等感を感じさせますね。
「何の本を読んでいたの?」
「経済学の本。」
「5歳児が読む内容なの、それ?」
「・・・・さぁ?」
ウソっぽいかもしれませんが、わたしには前世の記憶があります。
12歳の時に事故で死んだのをついこの間思い出しました。
「そういう架音も・・・じゃないですか?」
「まぁ・・・・ね。」
「?」
ちょっと様子がおかしいですね?
それより用事は何でしょう・・・・
「なにか用事があったのでは?」
「そうだった、父がパーティーに出てほしいんだってさ。」
「お父さまが・・・?」
「そう。」
わたし達の実家・・・神宮路家。
世界有数のお金持ちらしいです、架音曰く。
「でも・・・何故?」
まともに幼稚園にも通えていないわたしがパーティーに出ることなどなかった。
何時も架音だけでていたはず・・・。
「あー・・・・」
「?」
口ごもっているということは・・・言いにくいってこと?
「架音?」
「有理亜が社交界で余り知られていなかったの知ってる?」
「ええ・・・まぁ知っています。」
一度もでたことなかったからですよね?
「それで・・・・めんどくせー。」
あれ・・・?
架音、ですよね?
「か、架音?」
「どうかした?
それで、どっかから漏れたらしくてね・・・出してくれって大騒ぎ。」
「成る程・・・分かりました。」
「でも、体調とか大丈夫?」
確かに身体強くないですけどね、
こうやって相手をしてくれている架音の言うことを出来るだけ聞きたいんですよ。
「最近は調子はいいですしね。」
「・・・・それならいいかな。
来週だから整えられるようにね、無茶しないように。」
「分かりました。」
大幅に変えました。