第2話
キャラクター紹介
尾田 有斗(HN.玉蜀黍缶) 自称世界一のオタクを目指す男。
オタク的願望を叶えるOTA-USBを手に入れその夢を現実に近づけ
今日も自分の理想のために、尽力を尽くす。
マジシャン・ソルト 童貞魔法使いで、魔法使いの世界からやってきた。
OTA-USBの持ち主で、尾田の行動を傍観している。
第2話
「見ろよ!このサイトのアクセス数!
先月の20倍だ!」
ディスプレイに映し出されたアクセス数の表示数は
先月尾田の心を揺さぶっていたアクセス数に桁が数個追加され
尾田は非常に興奮した様子でソルトに自慢を始めた。
コメントにはネ申、裏山、すげぇー等の一言からレビューに対する賞賛や質問、たまに反論が書き込まれており。
尾田が数ヶ月前に始めたオタクグッズのレビューサイトサイト名は「二次元王国」であり
そのサイトはたった1ヶ月で人気サイトと化していた。
理由は勿論ソルトの渡したOTA-USBの力により欲の限りを尽くした結果である。
限定生産品からありとあらゆる商品のレビューをした結果話題になりアクセス数が急増した期間としては半月ほどであった。
「ソルトこれで俺は世界一のオタクヘの夢に一歩近づいたな......うん?」
普段は一件も来ない管理人への直接連絡用のメールBOXに一通のメールが来ていたので
尾田は少し不信に思いおそるおそる開くとそこにはこう書かれていた。
「玉蜀黍缶様、何時もサイトのレビューを楽しみにしているセワシ2号と言う者です。
この度当サイトで紹介のあった18禁ゲームの初回限定版ナツイロエガオの特典の結子の抱き枕カバー
問題があり初日に回収され次の日から代わりの特典に変えられてしまったのですが
どこを探してもオークションではたちの悪い偽者の粗悪品しか見つからなかったのですが
画像を見る限り貴方の紹介している商品は本物であると確信しました。
突然ですが私にその商品を50万円で譲って貰えないでしょうか?」
「またUSBで作ればもう一個できるがこんなの信じる気か?
50万円払うとは俺は思えないんだが」
ソルトは胡散臭そうにしていたが尾田は少し物思いに耽り数分が過ぎるとUSBを起動し
その商品を召喚し返信を出し尾田から商品の受け取りと支払いについて説明した。
「ソルト、俺もあの時あのゲームを買おうと思って予約して
そして限定版の特典を非常に楽しみにしていたのに初日に行くことができず涙を流したんだ.....
あいつは俺と同じ思いをしたんだろう見捨てる事はできない........
もし騙されたとしたらその時はその時で復讐するし、俺にはあいつの本気を感じたしそんな事にはならないと信じている」
尾田は目頭に多少の涙を浮かべながら熱く語った。
尾田の熱いトークにソルトはおまえが良いなら良いけどと言い受け流した。
オタク的願望を全て適えるオタクのためだけの魔法のアイテムOTA-USB。
それはソルトを始めとする魔法使いの世界からやって来た童貞魔法使いの所有物であり。
童貞魔法使いは何故かそのアイテムを使用することができず人間でも一部の人間しか使用できないものである。
魔法使いの世界に退屈した童貞魔法使いの一部がこのアイテムを人間に使わせる事を考えた。
目的は主に傍観して暇つぶしにすると言う事と自分が使えない分人間に願いを少しだけ叶えて貰うという汚い魂胆である。
ソルトによれば今魔法使いの世界から人間の世界にやってくる魔法使いはもう数人いて
一人はソルトが来る少し前に既に使用できる人間を見つけたようだ。
ソルトの知る限り尾田はOTA-USBを使える2人目の人間である。
「なぁソルト前にそのOTA-USBの存在が知れれば奪い合いが起きるのは必然と言っていたが
こんなUSBが存在している事を知っているのはそのUSBを拾って使えた本人だけだろうし
もしもOTA-USBって言う物理法則を無視してオタクに都合の良い願いを叶える魔法のアイテムがあるとネットで書いたとして
こいつ頭おかしいってなるだけだし、それなのに何故奪い合いが起きると思うんだ」
尾田はふと思った疑問をソルトにぶつけると良い所に目をつけたなと言い
クククと意味深な笑いをして尾田の質問に答えた。
「OTA-USBは童貞魔法使いに一人一つ支給される
しかしOTA-USBは一つでは完全な力が使えないんだよ」
一つで完全ではないと言うソルトの言葉に対し尾田は更に興味を持ち
尾田はソルトの言葉を一句も落とさないよう耳を傾けた。
「OTA-USBは2つ、拡張のハブを使い4つ、6つ確か10個集めれば完全な力を発揮できると言われている。
その力は今でも十分オタクの願望を満たしていると言える品物だが次元が変わるんだ。
例えば発売していない商品を未来から召喚することも可能になる。
グッズとして発売してはいない商品を頭で想像する事でそれをそのまま作り出す事ができる。
そして全オタクの夢とも言える二次元の世界への旅、又は二次元の女の子をこの現実に召喚する事.......
それもOTA-USBを最大限まで活用することができたなら可能だ」
尾田はソルトの言葉に息を呑みあまりの事に言葉を発さないでいると。
ソルトはそのまままた口を開き。
「まぁ今でも十分夢のようなアイテムだし尾田にはそんな機能必要ないのかな.....」
すると尾田は異議あり!と言いソルトを指差し叫ぶと。
「おいおい!ソルトその話もっと先に言ってくれよ
そんな機能があるなら使わないわけがない!
良いかソルト!オタクを極めた人間の末路は2種類ある!
1つ目は二次嫁を愛しながらも三次の欲が捨てきれず三次で彼女を作りあまつさえ結婚してしまう
オタクの風上にも置けない奴らだ!二次の女の子可愛そうだとおもわねーのか浮気者!
2つ目は二次嫁を愛し続け理想を追い求め続け最期の瞬間を迎える事だ。
常に自分の理想を追い求め、来世に救いがあると信じ生き
或いは妄想、上級者なら明晰夢で夢を操るなどして自分の世界を作り出す
どんな生き方をしても自分の中にある本当の理想にどう頑張っても届く事がない事は誰だって分かっている!
勿論だからと言って求めることを止め三次に妥協する姿勢は俺にとっては理解しがたいものだ!
しかしこのOTA-USBは我々が常に感じている引っかかり目を逸らしていた届くことのない理想その考えを根本的に覆すものだ
その理想を勝ち取るためならどんな手段を使ってでも他人からUSBを奪い取って見せる!」
ソルトは尾田の持論に驚きながらもこう答えた。
「尾田よ.....今ならお前がOTA-USBを使えた理由が分かったかもしれない。
おまえは例え周りがどうであれ事実がどうであれ理想を追求することを諦めない
その姿勢がOTA-USBを使う条件なのかもしれないな」
「そうだ!俺は自分の理想を追求することを諦めない!
鈴美ちゃんとデートをする事!鈴美ちゃんと一緒に暮らすこと
鈴美ちゃんとお風呂にはいる事!鈴美ちゃんとあんなことやこんなことをする事.....
それができるんだとしたらどんな方法を使っても俺は絶対諦めないから!」
「なんだかなぁ....さっきまで割りとかっこいい事言ってたのに
いざ自分の理想を語ると...かっこ悪さしかないんだよなぁ....
んとじゃあ奪い方についても説明しておくか」
ソルトの悪口を聞いてなかったかのように奪い方の説明に再び耳を傾ける尾田であった。
この男は極度のポジティブ思考で自分の都合の悪いことは耳からシャットアウトされてるのではないかとソルトは思った。
「OTA-USBのもう一つの機能だ、それはなある人間の本名を書きそのある人間がもっとも興味を持っている
オタク趣味を書いてエンターキーを押すとそいつからその趣味への興味が消えるんだ!
例えば尾田 有斗、アニメ、ゲーム、グッズと書くと尾田はオタクコンテンツに興味を失う
自分の趣味をいきなり失うことは個人を失うことだ人間の場合発狂して自殺したり、重い鬱病になったりするらしいな
もしおまえが自分の理想を叶えるとしても間接的に人間を殺してしまう事もあるかもしれない.......
またはお前が死ぬこともあるかもしれない.......
それでもおまえは理想を追い求めるのか」
尾田はその言葉に少し心を打たれながらもしばらく胸に手を当てて考え
こう口を開いた。
「他のUSBを持っている人間だって同じ様に理想を求める人間だ!
しかし俺は他の誰よりも理想が高くその理想に懸ける想いは誰よりも強いと信じている
俺が勝ってUSBを10個集めるそれだけだ!負けた事を考えるなんて愚考だ!」
尾田は大きな声ソルトに自分の覚悟を示すと
その言葉にソルトは尾田の覚悟に納得しそうかなら俺は止めないとだけ告げた。
____________________________________
「ムーンよ....私の他にこの地球上に一人USBを授かった人間が存在しているんだな......」
一人の人間が地下室でムーンと言う童貞魔法使いに話しかけていた。
魔法使いのムーンは低い声でその人間に語りかける。
「それは間違いない....私の知っている限り一人一月程前に授かった人間がいる」
その言葉にその人間はニヤリと笑いこう言った。
「潰すしてUSBを奪い取るしかないな.....
やってやるさ......必ずな.........」
魔法のUSBを奪い合う戦いの火蓋が今切って落とされた。
続く