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第1回:光

第1回:光


 天の川銀河に地球によく似た惑星グローボがある。グローボは21世紀の地球よりも地表に占める海の割合が高くその表面の80パーセントが海だ。このグローボの最も大きな大陸から約180キロメートル離れたところにキューショという島があり、この島にフークオーコという都市国家がある。フークオーコは東西と南を山に囲まれ北には海があり、もともと守るに易く攻めるに難しい土地だが、さらに二重の城壁が市街地を囲んでおり、優秀な治安部隊が守っているので、フークオーコの防衛体制は鉄壁だと思われている。


フークオーコの治安部隊は通常は犯罪を取り締まる警察の役目を果たしているが、外敵がフークオーコを脅かす事態が発生したら軍隊として行動することになっている。このような治安部隊にゴーキ・フクライという男がいた。ゴーキは35歳、身長はおよそ180センチで、がっちりとした体型をしている。髪は黒くて短めに刈られており、目の虹彩は茶色、顔は日に焼けていて褐色に近い黄土色で、口の周りとあごにはうっすらとひげが生えている。


ある夜ゴーキは同期の男と一緒に繁華街を歩いていた。2人とも濃紺の治安部隊の制服を着ている。横に並んで歩いていた2人の側を黒いサングラスを掛け黒いフード付きのコートを着た男が通り過ぎた。その男は寒い日でもないのにフードをかぶっていた。ゴーキは方向転換してその男の後を追い始めた。同期の男が「どうした?」と問いかけると、ゴーキは「悪の匂いがするんだ」と答えて、追跡を続けた。


しばらくすると、その男は地下街へ通じる階段を下りた。ゴーキも続いて階段を下りた。男は地下街の通りを歩き、「649」という数字が書かれているドアの前で立ち止まると周囲をうかがってからそのドアを開けて中に入った。ゴーキも閉まっていたそのドアを開けて中に入った。


ゴーキが中に入ると、そこは何もない部屋で、あの黒いコートを着た男がさらに奥にあるドアを開けようとしているところだった。男はゴーキに気づき、「お前はなぜここに来た?」と強い口調で言った。ゴーキも「お前こそ何をしている?」と強い口調で言った。男は「お前に話す必要はない」と言うと、右手を水平に挙げて、指先から稲妻のような光線をゴーキに向かって放った。ゴーキは光線を浴びると気を失ってその場に崩れ落ちた。男は奥のドアを開けて中に入った。


気絶しているところを同期の男に発見されたゴーキは直ちに救命救急センターに搬送され、そこの集中治療室に収容された。ゴーキは感電により心臓の機能が極度に低下しており危篤状態だった。ゴーキは目をつぶってベッドに横たわり医師と看護師には意識はないと見られていた。しかし、ゴーキは自分のすぐそばに光り輝く人間のような者がいるのに気づいた。医師と看護師はその者の存在に気づいた様子はない。その者は落ち着いた男の声でゴーキに語りかけた。

「ゴーキ・フクライ、わたしはタオ、宇宙の真理を体現する者。君の命はもうすぐ終わる。このまま人間として死ぬか、それとも、超人に生まれ変わってこの世界を守るか、どちらかを選べ。ただし、後者の道は意義深くはあるが孤独で困難なもの、このまま死ぬほうが楽だ」

「俺はまだ死にたくない。この国を守りたいんだ」とゴーキは心の中で叫んだ。

「わかった」とタオが言うと、ゴーキの体全体が金色の光に包まれた。そして、タオとゴーキの姿が消えた。

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