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第7話『エリーの凄さ』

「そうだったんだね、事故で記憶が……」


 全て話を聞いてくれたエリーは、俺の境遇に同情してくれているのか、悲しそうな表情をした。

 その次に続く言葉に怯えながら、俺はエリーの反応を待った。


「マリーちゃん……って言うのは違和感があるよね?ならマリーって呼び捨てで呼んだ方が良い?」

「ああ。マリーで大丈夫だ」

「それならマリー、私から言えることは一つだけだよ。辛いし大変かもしれないけど、ゲームをして一緒に記憶を取り戻すの頑張ろうね!」

「え?それだけか?その……エリーは引いたらしないのか?俺と一緒に記憶を取り戻してくれるのか?」


 そんな質問をすると、エリーは優しく微笑んでくれた。


「もちろん!引いたりしないよ!召喚獣は召喚主を支えるのが仕事なんだもん!それにきっと私の、光の妖精の知識が必要になるはずだから、しっかりサポートしてあげるね!」

「ありがとう……!エリー」


 エリーの優しさが嬉しかった。

 召喚した召喚獣がエリーで良かったと、心の底から思う。

 俺がしみじみとそんなことを思っていると、エリーがパンっと手を叩く。


「こんなしんみりした、旅行中に財布落としたみたいな空気はやめよ!今後の冒険のために私のステータスを見ておこうか!見てみて!」

「エリーのステータス?どうやって見るんだ?」

「私に向かってステータスって念じれば見れるから、やってみて!」

「ステータス」


 エリーに向かって言うと、ステータス画面が表示された。


 ・シャインフェアリー

  『エリー』 信頼度10 Lv ー/ー 〈R8〉

 HP/400 STR/10 VIT/10 AGI/100

『この世界に7体しか存在しない妖精。王位を継承することで女王に進化出来る』

【スキル/ 妖精の愛。召喚士が召喚のスキルに必要なMPを消費せずに発動できる】

【アビリティ/光妖精の守護結界。召喚直後の召喚獣はダメージを受けない】

【アビリティ/通訳。召喚獣と会話ができる】


「へえ……」


 エリーのステータスを確認した。だが普通の召喚獣のステータスを知らないので、強いのか弱いのか分からない。


「どう凄いでしょ?良いんだよ、もっとビックリしても!」


 どこが凄いのかが全く分からない。だけどここで驚かないのもエリーに失礼というものだ。


「お、おおぉ!すげー、まじかよ!やばすぎるだろ!丸見えだよ!」

「いや絶対わかってないでしょ!丸見えってなに?!そりゃステータスは丸見えだけど!」


 あっさりと理解していないことがバレてしまった。

 正直にエリーにどこが凄いのかを聞いておこう。


「どこが凄いんだ?」

「先ずレアリティ!見て!」

「レアリティ?このR8ってやつか?」

「そうそう!それそれ!」


 R8はレアリティが8って意味か?それのどこが凄いのかが分からない。

 ここでも驚かないのもエリーに失礼というものだ。


「お、おおぉ!すげー、まじかよ!やばすぎるだろ!丸見えだよ!」

「さっきと全く同じこと言ってる!絶対にわかってないじゃん!」


 またしてもあっさりとエリーにバレてしまった。

 ここはもう一度素直に聞いておこう。


「レアリティが8だと、何が凄いんだ?」

「装備も装飾品もアイテムも何にでも全てレアリティがあって、その上限は10までなの!つまり私は超レア召喚獣だってこと!」


 たしかに、それはレアリティが高い。自分で超レア召喚獣と言うだけのことはあるな。

 でもゲームなどの知識がない俺としては、まだピンとこない。


「すまない、エリー。それだけ言われてもどれくらい凄いのかが分からない。何か身近な物で例えてほしいな。そうだな……文房具とかで例えると分かりやすいかも」

「文房具?!えーっと、文房具、文房具……万年筆とか、かな?」

「へ〜、なるほど。万年筆か」


 そんなに大したことないじゃないのか?文房具が売ってる専門の店に行けば、普通に買えるような気がする。


「ちょっと待って!私への評価が下がったよね?!なんだ万年筆くらいか、って思ってるよね?!」

「そんなことないって!まあまあ、エリっち!これからもシクヨロ!」

「やっぱり思ってるじゃん!私への接し方が完全に軽くなってるもん!」


 先ほど笑わされた時から思っていたけど、この妖精は面白いな。

 反応が面白いので思わずふざけてしまう。


「私のスキルも凄いんだから!もっと見て!」

「スキル?」


 ステータスをもう一度開いて、エリーのスキルを確認する。


「たしかに、言われてみれば。この妖精の愛っていうのは、よくよく考えれば凄いスキルだな」


 何でも召喚獣を召喚するのにMPをタダにできるというのは、強いのではないだろか。


「でしょ?やっと分かってくれた?この私の凄さに!」


 エリーが偉そうに胸を張る。身体は小さいのに胸はそれなりにあるのが判明した。

 服の上からでも綺麗に形が浮かび上がっているので、俺は思わず視線を下に逸らした。


「そういえば、ほかの召喚獣の子は?」

「ほかの召喚獣?ああ、エリーがまだ最初の一人目だよ」

「ええ!そうなの?!なんだかマリーの初めての召喚獣って嬉しいな!へへへ〜」


 嬉しそうにエリーは俺の周りを飛び回る。

 なんて可愛いやつだ。あとで甘い飴でも買ってあげよう。


「そういや信頼度ってのがあったけど、あれはどういう意味なんだ?」

「信頼度は簡単に言うとマリーへの懐き具合だね。信頼度が低いと言うことを聞かなかったりするんだよ。ちなみにMAX10だよ」

「へえ、エリーの信頼度はいくつだっけ?」

「恥ずかしいから、あんまり見ないでよ!信頼度下がるよ!」


 見ようとすると、エリーに止められた。

 嫌われたくないので、次の機会にエリーの信頼度は確認させてもらおう。


「私の信頼度は置いといて、次の召喚獣を召喚しようよ!」」

「おう!あと二回できるからな」


 メニューを開いてスキルを使おうとすると、エリーが横に飛んでくる。


「召喚をするのにメニュー画面を開いてする必要ないよ。使いたいスキルやアビリティがあれば強く念じれば使えるよ」

「そうなのか?」


 言われてみればモンスターとかの戦闘中に、メニュー画面を開いて戦う奴はいないよな。


「ほらほら、やってみて!使いたいスキルやアビリティを頭の中にイメージして強く念じて、自分なら使えるって信じながらね」

「契約召喚……契約召喚……」


 手を床に向けて、頭の中で召喚することを念じる。


「『契約召喚!』」


 床に召喚陣が描かれた。


「おお!成功だ!」


 描かれた召喚陣に光に包まれた丸い物が現れた。

 光が消えていくと、長い耳に赤い目。毛の白い小動物が居た。


「ウサギだよな……」

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