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第21話『格闘家のジョブ』

 お風呂に入り、夕御飯を食べ終えると部屋に戻った。

 部屋に戻ると寝巻きに着替えてベッドで横になる。エリーパジャマに着替えていつでも寝られる格好になったいた。

 そもそもエリーは召喚獣なのに帰らないのか?


「ねえねえ、マリー。どうやってレッドオーガを倒したのか教えてよ」


 そんなことを考えていると、エリーから先延ばしにしていた質問をされた。


「そうだな」


 これ以上は冗談でやり過ごすのは面倒なので教えることにしよう。しかし合成士のスキルは秘密にしておく。ここで適当に見せるよりも、戦う時に見せた方がリアクションも良いはずだ。


「格闘家のスキルを覚えたんだよ」


 俺はメニューを開いてどんなスキルを覚えたのかを改めて確認した。


「どれどれ〜」


 エリーが近くに飛んで来て横から覗き込んでくる。


「あれ?エリーって俺のメニュー画面見れるのか?」

「うん。マリーの召喚獣はみんな見れるよ」

「へぇー」


 まあ仲間というか、召喚獣はスキルで召喚しているので俺の一部のようなものだし見れるのは当然か。


「めっちゃスキル覚えてるじゃん!なにこれ?!どうやってこんな覚えれたの?!」


 メニューを見たエリーが異様に驚いている。

 驚いて動くたびに、お風呂に入ったせいか良い匂いがする。


「そんなに凄いのか?」

「めちゃんこ凄いよ!例えるならスピカが急に話すくらい凄いよ」

「それは凄いな」

「この身体強化はレベル10以上離れたモンスターに無傷で百回攻撃を当てないと覚えないスキルなんだよ!」

「無傷で百回……がむしゃらに攻撃してたけど、俺って百回も攻撃してたのか」


 それだけしても倒せなかったレッドオーガの防御力の高さを考えると、本当によく勝てたと自分を褒めたくなる。


「エネルギーコントロールに舞空術まで覚えてるじゃん!なんでこんなレアなスキルまで覚えてるの?!」

「あ〜、そういえば一緒に貰ってたな」

「なんでそんなお菓子買ったらオマケでもう一個付いてきたみたいなリアクションしてるの!もっとビックリマーク三つくらい付けて驚くことだよ!」

「べつにビックリマークが何個とかはいいだろ」


 そこまでエリーが言うってことは、それだけ凄いスキルなのかもしれない。


「そんなに凄いのか?ならどれだけ凄いのか早く教えなさいよ」

「なんで教えてもらおうって立場なのに、そんな高飛車お嬢様みたいな態度なのさ!」


 怒りながらもエリーは、メニュー画面を操作して教えようと動いてくれる。


「いい!このエネルギーコントロールっていうのは、簡単に言うとスキルを使わずに体を強化したりできるの」

「つまり?」

「つまり……まあ口で言うよりも実際にした方が早いね。マリーそこに立って」


 エリーが床を指差すので、俺はベッドから降りてそこに立った。


「エネルギーコントロールは常時発動できるスキルなの。体の中のエネルギーを使うことで、百キロのバーベルをマリーみたいにプニョプニョでも持てるようになるの」

「だれがプニョプニョだ!どこがプニョプニョか言ってみろ?!」

「うわっ!めっちゃ怒ってる!……いや、でもお風呂で見たけど完全に腕とかお腹プニョプニョだったじゃん」

「全然プニョプニョじゃないわい!」


 さすがに自分の体型をプニョプニョだなんて言われるとムカっとくる。


「俺のお腹とか触ったことあるのか?!」

「触ったことないけど見たら分かるよ!」

「い、いや……触ったら中に筋肉がついてるんだよ!インナーマッスル的なのが凄くてな、触ったらカチカチだからな!」

「そんなわけないじゃん!絶対にプニョプニョだよ!」


 エリーが俺の二の腕を指差して言う。


「プニョプニョじゃないからな!目を瞑って俺の二の腕を触らせてみたいよ!触ったらバスケットボールかな?って言うからな!」

「それこそそんわけないでしょ!バスケットボールってザラザラじゃん!」

「わかった!この件は保留にしとくけど、2度と俺のことをプニョプニョって言うなよ!」

「なんでそんなにプニョプニョって言われたくないんだろ……」


 呆れながらエリーは、俺の胸を指差す。


「それじゃあエネルギーコントロールのやり方を教えるけど、先ず自分の体の中にあるエネルギーがあることを理解しないといけないの」

「俺の中にあるエネルギー?」

「集中して自分の体の中にあるモノを探してみて」


 エリーはどうしてこんなことを知っているのかという疑問が浮かんだが、知識を司る妖精だから分かるのかもしれない。

 俺は余計なことを考えるのをやめて、目を閉じて集中する。


「あれ?」


 わかった……。身体にエネルギーがある。


「大丈夫?難しいと思うけど集中して、きっとマリーなら分かるはずだから」

「いや……」


 難しいのか?もうわかってしまったぞ?これがそうだよな?目を凝らすと身体の中にゆらゆらと炎のようなもが見える。

 俺はその身体中に流れている炎に力を込める。


「できた」


 身体の中の炎が強く燃えて、力が込み上げてくる。


「え?そんなわけないでしょ。このエネルギーコントロールは本来は人にないモノを操ろうとしてるんだから」


 全く信じてくれないので、机の上に置いてあったゲームセンターのコインを手に取った。


「はああ!」


 俺はコインを親指と人差し指で二つに曲げた。


「ええええ!!本当にできてる!」


 俺は曲げたコインを机の上に置いた。

 それをエリーが元に戻そうとしているが、当然のように鉄製のコインは戻らない。


「本当にできてる……!でもどうしてこんなに簡単にできたんだろう?」

「身体の中にある温かいものみたいのが感じて、それに力を込めたらできたけどな」

「身体の中の温かいもの?ねえマリー、ステータスをもう一度見せて」

「おう」


 ステータスを開いて、エリーに見せる。


「これだよ!これで感じれたんだよ!」


 エリーが格闘家のスキルの一つを指差す。


 格闘家パッシブスキル《気量察知》

『自身と相手の気を感じ取る事ができる』


「あれ?こんなスキルあったか?」

「さっき集中して気を感じ取ったから覚えたんだと思うよ」

「にしてもアバウトな説明だな」


 パッシブスキルって常時その効果が出るんだったか?気を感じ取るか……。

 エリーをジッと見つめる。


「どうしたの、マリー?」


 するとエリーの周りにオーラが見えた。小さいが感じ取れる。


「よし、使い方もわかった」

「もしかしたら記憶を失くす前のマリーも気を使っていたのかもね。だからこんなにすんなり使えたのかも」

「なるほどな」


 記憶喪失前の俺か。一体どんな人間だったんだ?

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