少年と家族
2話目投稿しました。シリアス目な話ですがここから明るくなると思います。
その時は急にきた。朝から体調が良くないと思っていたら急に意識を失ったのである。
今僕には他人の声しか聞こえない。
もう目を開くことができない。意識は回復したのに
「先生、なんとかしてください!!この子に動物を、犬を触らせることができる機会がやっとできたんです!」
「「「先生!!!」」」
ほら、もう、先生に一生懸命なんとかしてって言ってるお母さんの声、それに続いて先生に迫ってる
お父さん、お姉ちゃん、お兄ちゃんの声
お姉ちゃん、お兄ちゃんなんて就活中なのにごめんね…
「今朝意識を失ってから、目を覚まさないんです…ただ話しかけると少し手が動いているようですので、声は聞こえてると思われます。我々よりもご家族の方が話しかけた方が、星矢くんも喜ぶのではないでしょうか」
我々も全力を尽くします、そう言って先生は、一度部屋から出て行った。
先生は分かってるんだ、僕にもうどう治療を施してもダメなことを、きっと母さんたちだって分かってるだろうに、やっぱりどうしても諦めきれないのだと思う。
そんな気持ちがただただ僕は嬉しかった。でもやっぱり心残りはあるから、まだ死にたくないなぁ…前も思ったけど転生とかできないかなぁ、けど僕の人生とても満足だったな。
優しい家族に囲まれて、とても幸せだった。
え?病気になって学校に通えなかったことは幸せじゃないのかって?
お友達とか欲しかったけど、でも家族がその寂しさを埋めてくれたし、何より病室でも勉強はできたよ。顔も見たことないクラスメイトももちろん手紙をくれたし嬉しかったよ。だから僕は1人じゃないんだって、いつもそう思ってたよ。だから僕はとても幸せだったよ
最後に一言話したいけど、無理かなぁ…
あぁ、眠くなってきたなぁ……
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「星矢?星矢…?しっかりして、まだまだやり残したことあるでしょう??頑張ってお願いよ…」
そう言いながら母は手を握っている、しかし少年はもう徐々に少しずつ、あの世へと旅立とうとしていた。
「そうだよ星矢、父さんとも外でお犬さんを飼って散歩しに行こうと言ってただろう?ほら、この子とても可愛いだろう?」
そうやって父は犬の写真を見せているが、少年はもう目を開くことができない。ちなみに犬の写真はしば犬だ。
そうやって父親は必死であった。
父親らしいことを少年にはできていないと自分では思っているからだ。
少年はそんなことは全く思っていなかった。必死に治療代などを稼ぐために働いていたことも知っているし、仕事が休みの時には病室に顔を出してくれていたからだ。
「ね、星矢、お願い起きてちょうだい。お姉ちゃんの就職決まったら、1日だけお外に出れる話だったでしょう?お姉ちゃん楽しみにしてたんだから、ワンニャンランド行く話だったでしょ?ねぇ、星矢おきてよぉぉ…!!」
姉は就活中なのにほぼ毎週のように病室に来ていた。
その度に少年には、もうすぐ決まりそうだとか、この会社に入るのよと、報告していた。ちなみに就活中だと言ったが実は内定はほぼ決まっていたりする。
また、少年は姉からすると歳の離れた可愛い2番目の弟なので、とても溺愛していた。姉と仲の良い女性は弟のことを知っていたが、あまり話には出さなかった。話をすると悲しい雰囲氣になるのもそうだが、語り始めたら止まらないのである。
それを知らない男たちは姉に声をかけていたが、弟のことを貶されると、それはもうブチギレである。
宥めるのに3時間は掛かるのだとか
「なぁ星矢、お兄ちゃんとも約束しただろ?お兄ちゃんも就活終わったら、一緒にワンニャンカフェに行こうって
きっとその時には動物さんに触れるようになってるからってさ、お願いだよ星矢、目を覚ましてくれ…」
同じく兄も就活中なのにほぼほぼ毎週病室に来ていた。
姉とは違い、今の状況を知らせることはなかったが、彼もまたほとんど決まっているようなものである。
兄は自分の下にできた少年をとても可愛がっていたが、
少年と趣味が違っていたのである。
少年は動物と触れ合うとか料理とか、いわゆる家の中ででも出来るようなことが好きであったが、兄は外で遊ぶことがとても好きである。ただ少年に力説され、今でもすっかり動物好きである。
そのようにして、4人とも必死に語りかけているが、少年の意識は徐々に徐々に天へと昇っていった。
それは2時間後のことであった。
空にまた1つ綺麗な魂が昇ったのである。
家族の名前と年齢を書いておきます。
母…姫子 42歳
父…彦馬44歳
姉…乙女22歳
兄…獅子20歳
です。
この先、どんな会社に姉と兄が入ったか明らかになると思います。それをお楽しみに!
またここから転生後になると思いますので、ちょいちょいと家族は出てきます!
お待ちください!