宇宙文明
宇宙文明を語るために必要な物は、ただひとつ。始まりの神と呼ばれ、全ての神々の頂点に君臨する神だった。その名は"ホムンクルス"。
いかなる方法をもってして生まれたか分からないこの神は、初期の信仰の対象となっていた。彼ら、宇宙文明を構成するもの全ては、この神を頂点とするピラミッド状の身分制社会であった。しかし、神は一人でする事に疲れ、新たな神を次々と作り出した。それらは、オメトルのあちこちに神々の信仰の対象として生まれていった。今で言う、八百万の神々に近い形態だった。しかし、彼らはホムンクルス神の下した決定に逆らいだした。
その後起こったものが、ホムンクルスによる粛清だった。宇宙文明の血筋なら、ガラスに尖った針などを押し付けて出すあの音が嫌いだろう。あの音は、ホムンクルス神が出す声にとても良く似ている。さらに、それに類似する音は、ホムンクルス神に忠実な部下達が発する音であった。
神々の粛清のさなか、宇宙文明で栄えていたオメトルは、死が支配する世界と化した。生き残っていたもの達は、神々の戦争に巻き込まれないように、逃げ出した。これこそが、あちこちに神々が生まれるきっかけであり、宇宙文明が他宇宙に飛散したと言う説明である。
一方で、宇宙文明の末裔として、オメトルの中に残った民族もいた。
オメトル神族と呼ばれる血筋であり、ホムンクルス神の神官であった彼らは、ホムンクルス神の部下の一団として、神々の粛清の時、類稀なる戦績をあげた。しかし、彼らといえどもホムンクルス神のもとで動いていたのは変わりなく、彼らもまた、オメトルの中に閉め込まれた。
ホムンクルス神やその一派が他宇宙へ出てこようとすることに他の神々は恐れ、オメトルの空間の周囲に結界を張り、出入りをしないようにした。
こうして、長き時の影響によってか、はたまた、世界がそれらを忘れていくように仕組んだのか、それらは定かではないが、ホムンクルス神は、忘れられていった。