アイドル
『ブスは嫌いなんだよね』
と、初めての告白はナイフのように突き刺さるような言葉に相手の酷い性格が見抜けなくてそんな私が恥ずかしくて屋上から飛び降りようとした。
「やめろ!死ぬな!」
と男の人がフェンスから引き離した。
お互いに尻もちついて、男の人が私をじーっと見て
「あんた綺麗な顔してるな」
としみじみと言われた。それに私は救われた。
「こんな綺麗な顔してるなら生きた方が得だぜ?俺なんてタレント見つけられなくて事務所が倒産しそうでも生きてるんだぞ」
と大笑いしていた。
「私、タレントになれますかね?」
私の言葉に男の人は目を丸くした。
これが社長との出会い。
数年後、音楽番組の4時間スペシャル特番が楽屋でメイクを直していた。
「大トリ出番です!」
私は血を滲むような努力をし、アイドルになった。
あの後、アイドルとして成功したあと振った男が寄ってきたが、
『性格ブスは無理です』
と断って暴れたのを助けを呼び、男はブラックリストになって胸がスッキリした。
さぁ、そんな話より、私のアイドルの物語は始まったばかりである。