クッション
「何がそんなに不安なんだい?」
リビングのソファーに座りながら、水色のカバーの大きめのクッションを抱きしめていると、クッションが話しかけてきた。
私「えっ何が?何でそんなこと聞くの?」
クッション「だって、こんなに強く抱きしめられたらねぇ・・・。」
私「あぁ、そうだよね・・・。」
私は少し、クッションを抱きしめる手をゆるめた。
クッション「で?」
私「うん・・・。なんか、苦しいの。」
クッション「どんな風に苦しいんだい?」
私「うん・・・。息が苦しいの。」
クッション「息が?それは辛いだろうね・・・。病院には行ったのかい?」
私「うん。でも、原因が分からないの。」
クッション「そうか・・・。」
私「どうしたらいいのかな。」
クッション「そういうときは、自分の心を見詰めるんだよ。」
私「心を?」
クッション「そうさ。身体の調子が悪いってことは、自分で病気を引き込んでいるんだよ。その根本的な原因を直さなければ、病気も治らない仕組みなんだ。」
私「仕組みって、人間はそういう仕組みだってこと?」
クッション「そうさ。人間はそういう風に仕組まれているんだよ。」
私「じゃあ、心の中の根本原因を見つければ、私の息が苦しいのも治るんだ・・・。」
クッション「ああそうさ。でも、見つけるだけじゃダメだよ。見つけてそれを直そうと努力しないと。」
私「うん・・・。分かった。」
私は、なぜ息が苦しいのか、考えてみた。クッションが言うように、心を見詰めてみた。
どうして息が苦しいんだろう?ゆっくり考えてみると、そういえば、息が苦しい苦しいって、その事ばかりに集中して、不安でいっぱいになってしまっていた。息が吸えなくなって、苦しくて死んでしまったらどうしよう・・・と、パニックになっていた。
クッション「何か見えてきたかい?」
私「うん・・・。私、考え過ぎて、不安になっちゃってたみたい。」
クッション「そうかい。いつもそうなんじゃないかい?」
私「うん、私いつもそうだ・・・。」
クッション「そうだろう。それは君の心の癖なんだよ。」
私「心の癖?」
クッション「そう、みんな心には癖があるんだ。そいつがなんとも厄介なんだよな〜。」
すると、クッションから手が伸びてきて、その手が私をギュッと抱きしめてくれた。
私は少し驚いたけど、なんだかホッとした。
クッション「大丈夫。君は心の癖に気がついたんだから、あとは直せばいいだけさ。」
私「うん・・・。でも、どうやって直したらいいの?」
クッション「簡単さ。心の中で、まず願えばいい。こういう心の癖が出てしまいました。もっとこういう心になれますようにって。」
私「そうすればすぐに直るの?」
クッション「もちろんすぐには直らないさ。なんせ今までに積み重ねてきた心の癖だからね。だから、何度も何度も、出てくる度に願うんだよ。そうすると、少しずつ直ってくるんだよ。」
私「そうなのか・・・。分かった。やってみるね。」
クッション「おっと!もう一つ大事な事を言い忘れていた!」
私「えっ、なぁに?」
クッション「家族に何でも話してみて!」
私「何でも?全部?話すの?」
クッション「そう。心配な事も、気になる事も、嬉しい事も悲しかった事も、とにかくぜーんぶさ!それが健康の秘訣さ!元気になりたければ、家族と仲良くすること!」
私「家族とは仲良くできてるんだけどな・・・。」
クッション「本当に?心配をかけないようにとか、我慢したり遠慮したりしてないかい?」
私「あ・・・してるかも・・・。」
クッション「やっぱりね。それじゃ、応援してるよ!」
そう言うとクッションは、私の背中を優しくポンポンと叩いてくれた。




