ゴミ箱
むしゃむしゃむしゃ・・・
むしゃむしゃむしゃむしゃむしゃ・・・
何かを食べているような音が聞こえてきたので、音が聞こえる方へ行ってみると、そこにはゴミ箱があった。
銀色の、足でペダルを踏むと蓋が開くタイプのゴミ箱で、そこから音が聞こえてくるようだ。
ゴミ箱「あぁ、今日もオイラお腹がいっぱいだぁ!」
私「おいしいの?」
ゴミ箱「おいしいかって?いんや、美味しくはないさ。ただ、お腹がいっぱいなだけだね。」
私「そうなんだ。いつもゴミをいっぱい捨てちゃってごめんね。」
ゴミ箱「うんにゃ。何も謝るこたぁねえよ。オイラ、好きでやってるんさ。それに、オイラが食べてるのは、ゴミだなんて一度も思ったこたぁねえよ。」
私「ありがとう。」
ゴミ箱「礼を言われる程のこたぁねえよ!」
ゴミ箱「でもオイラ、毎日満腹で苦しいんだわ。」
私「・・・そうだよね。」
ゴミ箱「ほら、何事も腹八分目って言うだろ?」
私「うん。」
ゴミ箱「それがオイラは、毎日満腹ってぇわけよ。」
私「うん。」
ゴミ箱「分かるか?オイラの気持ち。」
私「うん。」
ゴミ箱「あんた、本当に分かってるんか?」
私「・・・。」
ゴミ箱「はぁ・・・。」
私「ごめん。ガッカリさせてしまって。私に何か出来ることある?」
ゴミ箱「うんにゃ、何かしてもらおうだなんて、思っちゃあいねえよ。ただ、分かって欲しかったんだ。」
私「君がいつも満腹だってことは分かった。なるべくゴミを少なくできるように頑張るよ!」
ゴミ箱「だから、ゴミじゃねぇんだよ!」
私「ごめん!じゃあ、何なの?」
ゴミ箱「みんなオイラの仲間なんだ!」
私「仲間?」
ゴミ箱「そうだ。オイラ、毎日仲間を食べてるんだ・・・。」
私「それは・・・複雑な気持ちだろうね・・・。」
ゴミ箱「そうなんだ・・・。捨てられた仲間たちも、みんな複雑な気持ちで、連れていかれる日を待っているんだ。」
私「そうだったんだ・・・。私、全然何も考えずに捨てちゃってたよ。」
ゴミ箱「それにオイラ、満腹だと何だかイライラするし、いっぱいいっぱいになっちまう。余裕がなくなっちまうんだよ・・・。」
私「うん・・・。分かった。」
ゴミ箱「分かってくれたのか?ありがとうよ。」
それから私は、少しでもゴミ箱の気持ちがゆったりできるように、なるべくゴミを減らすように心がけた。




