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物の声  作者: むく
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羽毛布団

羽毛布団「包み込んであげる。」

   私「笑」

羽毛布団「寒くなってきたわね。もうそんな季節なのね。」


羽毛布団の季節がやってきました。冬ですね。いいですね~。こないだまであんなに暑かったのに、あっという間に寒くなって、朝晩冷え込むようになりました。お父さんがしまい込んでいた羽毛布団を出してくれました。シーツもモコモコしたあったかいのに替えて、ふかふかの毛布に包まれて眠る。幸せです。


羽毛布団「やっと私の出番ね!」

   私「今年もお世話になります。」

羽毛布団「まかせといて♪毎晩包み込んであげる。」

   私「(笑)ありがとう。とっても助かる。」

羽毛布団「ところで、最近調子はどう?」

   私「うん、なかなかいい感じよ。浮腫みもとれてきたし、腰痛も良くなってきたよ。」

羽毛布団「そう、それは良かったわ。あなたが元気だと物達もとっても喜ぶの。」

   私「ありがとう。私は幸せ者ね。みんなに愛されて、包み込まれて。」

羽毛布団「包み込んであげてね」

   私「・・・?誰を?」

羽毛布団「世の中の人を」

   私「私に包み込めるのかな?」

羽毛布団「もちろん、包み込めるわ!あなたにしかできないことで、包み込んであげて。必ずあるから。」

   私「私にしかできないことか・・・。何だろうなぁ・・・。」


いつも考えてしまう。私にしかできなことって何だろう。物達はいつも私に言ってくれるけど・・・。やっぱりまだ見つけられない。

羽毛布団のように、包み込めるような存在になりたいな。心の底から人の幸せを願うことができる心が欲しい。どうしても、自分のことばっかりになってしまって、自分さえよければって、自己中心的な心になってしまうから。

ちょっとでいいから、人のために生きたい。人を包み込める人間になりたい。でも、できない自分が悔しくて、苦しい。


   私「何にもできないけどさ、いいかな?」

羽毛布団「いいんじゃない。それで。あなたにはそれができるってことなんじゃない。」


そっか。何にもできないのが私なのかもな。それが私にしかできないことなのかな。そんなんでいいのかな・・・。ただいるだけで、存在しているだけでいい。みんなそうなのかもね。

知らない間に、誰かは誰かを包み込んでる。存在しているだけで。だから、何かしなくてもいいよ。みんな存在してくれているだけでいいんだよ。


   私「世の中のみんな、お疲れ様です。」


ふかふかの羽毛布団に包まれながら、私は眠りにつきました。

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