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物の声  作者: むく
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兄のピンチを救え!の巻

兄がピンチです!

お義姉さんが入院して1週間程たったのですが、検査入院ということだったのですぐに退院できると思っていたのだけれど、体調不良の原因が分からず、追加検査をすることになったようで、さらに入院が長引く事になったらしい。

兄はお盆休みだったのでその間は息子くんのお迎えなどにも対応できていたんだけど、もうすぐお盆休みも終わるので、ピンチで死にそうだ、助けてくれい!という連絡がきた。笑。

兄からのこういう助けを求める連絡は人生初だったので、何とか助けてあげたいと、父も母も心配しており、1週間程兄の家に住み込みでお手伝いに行く事になりました。


兄の家は、とてもいい家。でも、とても散らかっており、片付け甲斐のある家です。私達に与えられた任務は、甥っ子の送り迎えのみ!あとはとくに何もやる必要はないとのこと。朝と夕方の送り迎えさえしてもらえればいいとのことで、昼間は暇!やるっきゃないっしょ!片付けを!


「お主!何奴!よそ者か!」


その声の持ち主は、キッチンにある冷蔵庫の声。


冷蔵庫「お主、さては泥棒だな!ママさんが入院中なのをいい事に、入り込んだんだな!」

  私「違う違う!大丈夫よ!怪しいものではございません!お邪魔してます!私達はママさんの家族で、お手伝いに来たのよ。安心して!」

冷蔵庫「ほう。ママさんのご家族であったか!これは大変なご無礼をお許しくだされ!」

  私「なあに、よいよい!気にするでない!」


私も慣れない土地に来ていつもと違うことをしているからか、変なテンションになって、冷蔵庫につられて変な喋り方になり始めた。笑。


冷蔵庫「この部屋は散らかっておるであろう。」

  私「そうですね。散らかっていますね。」

冷蔵庫「ふっ笑。お主は正直なお方だのう。この家に入ってこの散らかり具合を見たものは、皆驚く。だがご家族様方は何も驚くことなく、坦々と片付けをしてくださり、何とお礼を申したら良いものか。本にかたじけのうございます。」

  私「仕方がないよ。お義姉さんは入院しちゃってるし、兄は仕事でいつも忙しいし、片付けやってる暇なんてないんでしょ。」

 冷蔵庫「なんとお優しいお言葉。ありがたき幸せにござりまする。」

   私「ちょっと喉が渇いちゃった。何か飲み物をもらえるかな?」

 冷蔵庫「これはこれは気が利かずに申し訳無かった!どうぞ飲んでくだされ!」

   私「かたじけない!ありがたきしあわせ!笑」


私は冷蔵庫を開け、オロナミンCを取りだし、ひと休みすることにした。オロナミンCなんて飲むの、久しぶりだな。美味しい。なんか、こういうのいいな。誰かに助けを求められて、坦々と助けてあげられる。役に立っているという実感。働いてる時は、毎日一生懸命働いても、なんか満たされなくて、自分はここにいていいのだろうか、役に立っているのだろうかとか、同じことの繰り返しにモヤモヤしたり、周りの人達にどう見られているのかばかり気にして、馬鹿にされたくないとか、見下されたくないとか、いつも焦って生きてたっけ。見栄ばっかり張ってさ。



  私「見栄えなんてどうでもいいんだよね。」

冷蔵庫「?」

  私「私、人にどう見られているのかばっかり気にして生きてきたけど、この散らかった家を片付けてたら、いくら外側だけ綺麗に見せても、中身が散らかってたら意味がないんだなってことが分かった。大事なのは外側じゃなくて、内側だよね。内側が散らかってたら落ち着かないし、周りの人も中に入って来れないもんね!見せないように隠さないといけなくなるし。そんなの疲れるよね!」

冷蔵庫「それは、心のことを申しておるのか?」

  私「うん。心のこと。どうして人間は、人からよ良く見られたいって思っちゃうんだろうね・・・。疲れるし、生きづらいよね。」

冷蔵庫「それがお主の性質なのではないか?」

  私「性質?私が持ってる性格ってこと?」

冷蔵庫「いかにも。お主が生まれた時から持っている性格的なものよの。深く根付いてしまっているのかも知れぬな。心に。見栄の欲が。」

  私「見栄の欲か。確かに。私毎回これで悩んでたのかも。」

冷蔵庫「その深く根を張ってしまった見栄欲を取り去るのは、容易ではないぞ。」

  私「そうなの!?」

冷蔵庫「今までこの家の様子を見てきた私には見えるのだが、おそらくその性質はこの家に受け継がれてきた心の性質。お主だけの問題ではないとみうける。」

  私「えっ、そうなの!?じゃあ私だけが改善しようとしても駄目ってこと?家族でやらないとってこと?」

冷蔵庫「いかにも。家族で一緒に努力すれば、綺麗な心が受け継がれてゆくであろう。歴史なのだ。お主の家系に受け継がれてきた歴史。どうか皆さんで努力し、大切なご子孫に良きものを受け継いでくだされ。」


歴史か。そういえば、お父さんもお母さんも同じようなことで人間関係でいつも悩んでいるかも。


せっかくこうしてあげたのに。とか、上から目線の気持ちもそうだよね。やってあげてるっていう感覚は見栄の心からきてる気がする。押し付けないようにしないとね。役に立ちたくて、やりたくてやってるんだし。

気持ちよくできることをやろう。気持ちよくいられることだけをやろう。できないことはしない。見栄を張らない。よく見られようとしない。

この心に根付いた癖を取り去ろう。


そして、良い歴史を甥っ子くんに受け継いでいけるように、家族で頑張ろう!


あっ、まずはこの家の片付けを終わらせねば。笑。



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