久しぶりのオークション
ルメリーさんもオークションに行きたいと騒ぐので、ローザ工房でドレスを見繕い、ルティーナ様にゴージャスなネックレスを貸してもらい、ニコルさんの店で私もルメリーさんも靴を買っていざ、出陣じゃ!
今日は、ルメリーさんのエスコートなので、無様な真似は晒せないと、会場に着くまでは思ってました!
ちゃんとウィルソンさんがエスコートに来ました!
バラムさんに茶化される私。
「お財布代わりにされた挙げ句エスコートの権利もない。ウィルソン、何かケイトスに言うことあるだろう?」
「連れて来てくださってありがとうございます」
「いや、エスコートしてもらって助かりました!まだ私は、身長が足りないのでエスコートはキツいです!」
「何だ、つまらん。男の見栄の張り合いを見たかったな!」
「バラムさんに遊ばれてるヒマ無いから!私はバラムさんをエスコートしてあげるよ!」
「いらんわ!飲み物を取ってこい!4つだぞ!」
給仕の青年をそのまま席まで連れて行くと皆、好きな飲み物を取った。私は果実水。お酒の方が良かった。
バラムさんは私を膝の上に座らせてパンフレットをめくっている。
古代語が読める私の知識が借りたいのだろう。早速、間違った表記の論文みっけ!
「これ、都市開発計画じゃなくて、トイレの為の下水道整備計画」
「ブッ?!他には無いか?前みたいなのはごめんだぞ」
「あれはバラムさんが読んでって言ったんじゃない!あ、これ欲しい!昆虫魔獣の図鑑」
「どれ、俺が競り落としてやる。限度額は幾らだ?」
「幾らくらいが相場なの?」
「古代語の本は高い。安くて10億枚くらいだ」
うーん。ならいらない。
「やっぱりいい。無駄遣いダメ!」
「宿場町はどうなった?」
「先に職人村から作ってるから、明後日帰ってから、着手する」
あ、ローゲンツ公爵だ。こっちに来る。
また、3文芝居を見せられるのかな?
私の前に来たローゲンツ公爵は私に書類を渡すと去って行った。
皆、ア然としている。
「何だ、それ、読めよ」
「バースデートーチと魔蜜の採取依頼みたい。ファーー?!2000兆億枚?!」
「貸してみろ。煮出し液もみたいだぞ。バースデートーチは1千万個以上。魔蜜は壺で50個妥当だろう。期限は、今週末まで。ファイン達に伝達しておく。明日しか時間取れないんだろう?」
「お願いします。バラムさん」
「良いって事よ!そういえばケイトス気づいたか?お前Aランカーになったぞ」
「良いのかなあ?私はまだまだなのに」
バラムさんにチョップされた。
「お前の冒険者ギルドへの貢献は群を抜いてる。大人しく受け取っておけ!」
「はい!」
「そういえば褒章ナシだったな。よく暴れなかった」
ルメリーさんがコロコロと笑う。ウィルソンさんは咳払いで誤魔化している。バラムさんの手に噛み付くとバラムさんになぐさめられた。
「余分な所に金使ってるから、肝心な時に無いんだよ。お馬鹿さんを許してやってくれ。俺の手がつまみになるなら、しっかり食え」
つまらない反応だったから口から出す。ハンカチでルメリーさんが拭いていたから役得だろう。
果実水を飲み干すとトイレに行きたくなった。
「ご不浄に行って参ります!」
「大声で言うことか!行って来い!シッシッ」
「早く帰って来ないとオークション始まるわよ!」
「はぁい」
トイレに身体強化を使って移動したら、私を追いかけて来る誰かがいた。トイレの前で待ち伏せしている。
急いでトイレを終わらせて警戒しながら、トイレを出ると、そこにいたのはローゲンツ公爵閣下だった。
「私に何か用ですか?」
「魔蜜を50壺も採って来られるか?」
不安げに聞いたのでうなずく。
「あ、それは大丈夫です。50壺で足りますか?」
「幾ら採れる?」
「80壺は確実に」
「また、頼む」
「はい!ありがとうございます」
そのまま並んでオークション会場に帰るとバラムさんに心配された。
「指名依頼内容の確認だから」
「トイレで襲われてるのかと思ってた」
「そんな場所で襲わせるほど鈍くないよ!」
「さすがレベル60の冒険者は言うことが違うな!始まるぞ!」
木槌の音が響いて会場が静まり返る。
「本日最初の品は……」
ミストオークションギルドにはない、煌びやかな商品達。その中にそれは混じっていた。
「ほぉ、美麗な剣だな」
「美術品です。鞘から抜けません!7000から始めます」
「バラムさん!あれ、いくらでもいいから競り落として!私の剣なの!」
貴婦人!!絶対に競り落とす!
しかし、無情なもので公用金貨15000兆億枚で富豪に落札された。
蝶も出品されて盛り上がったが、貴婦人の落札価格には到底届かなかった。
バラムさんが大富豪と交渉して触れさせてくれるよう頼んだが、にべも無く断られた。
覚えてろよ!
「落ち込むな、金仙瓜見つけて迎えに行けばいい!アイツらはただ持ってるだけだからな!」
貴婦人、待ってて!時間がかかっても必ず迎えに行くよ!
翌朝一番にカケイ冒険者用品店に行って、壺をあるだけ買う。
「魔蜜採りかあ。1度でいいから食べてみたいな」
カケイ冒険者用品店の店長がそう言ったので、手頃なサイズをひと瓶あげた。
「内緒ね」
「…マジか。ありがとう!」
ファインさんたちが来て壺が無いと大騒ぎしてるので買い占めたと言ったらボコボコにされそうになった。
皆、今日は大瓶を買っている。バースデートーチ用だ。
メリエレさんがいないと思ってたら、異常耐性ポーションを作ってるらしい。
冒険者ギルドの酒場でハンバーガーを食べながらメリエレさんが来るのを待った。
2時間待っても来ないので、ファインさんが偵察に行った。
お昼前にやっと来た!
「ケイトスが夜行きたいと行ってたから異常耐性ポーションを一人20本づつ作ってた。許せ」
「メリエレさん、大好き!」
ぎゅっと抱きしめると頭を撫でられた。
「危険な時以外、魔法は使うな!サウス達も誘ってある。昼飯食ってから行くぞ」
「何食べようかなぁ。あ、奢るから、好きなの食べて」
公用金貨5枚マスターに支払って食事に来る人全員奢りにした。イエールさん達も食べさせてと伝える。
メリエレさんが私の分のトンカツ定食を頼んでくれていた。
ファインさんが私の頭を撫でる。
「儲けさせてもらってんな。オマケに飯まで奢られてありがとうな!」
「昨日オークションで儲けたから良いの!」
「へえ、いくらくらい?」
「公用金貨200兆億枚くらいだよ」
皆、ノドに食事を詰まらせていた。慌てて白ワインを持ってきて貰う。
「何出した?」
「蝶だよ!えーっと、森蝶の色違いと木の葉蝶とポイズンバタフライとミラージュバタフライと幻惑蝶ね!今日はパフュームバタフライを皆で取ろう!」
「パフュームバタフライくらいなら獲れねえことも無いか。ただなぁ、バースデートーチが数が数だろ?余所見してるヒマはねえ!」
「じゃ、私が蝶々担当で」
「ケイトスにしか獲れないから分けなくていい」
「やだ、わける!たまには、金仙瓜を手にしてよ!」
「ホントにいいのか?俺達お前にオンブに抱っこになるぞ」
「そんなに面倒なら最初から誘わないよ。チームメリエレは幻惑森林でも、稼げるプロのクランだよ!」
ファインさん、メリエレさん、キャラさんが私に略式礼する。
そこに、サウスさん達【ドラゴンハント】が来た。何か、今日は人数が多い。
「スマン!ウデは保証するから、俺の後輩も連れてって!Aランカーの【魔法知らず】。ホントに魔法使えないから皆さんの邪魔はしません」
「無理だっつうの!一度に転移出来る人数がギリギリ何だよ!」
ファインさんの頭脳プレイで断れた。余分なのが立ち去った後にメリエレさんがサウスさんにキツいお仕置きをしていた。




