金仙瓜を狙え!
私の転移で幻惑森林前にやって来た一行は異常耐性ポーションを飲み干し、気合いを入れた。
私が一番最初に入って安全確保をする。
ブラッディウルフが群れで襲って来たが良い運動になったな。魔法は使わず剣のみで倒した。アイテムボックスに入れてメリエレさんと愉快な仲間達とサウスさんのクラン【ドラゴンハント】の7人を招き入れる。
「二手に分かれます!メリエレさん、ファインさんの採取チームはこの前魔蜜を採った場所で【ドラゴンハント】の皆さまと魔蜜採りに私とキャラさん率いるメリエレ友の会Aランカーの皆さまは、魔蜜探しに森に入ります。信号弾で呼ぶのでメリエレさんがあの新種の花を採ってた辺りに来て下さい。それまでに討伐を終えます!」
「わかった!気をつけてな!」
「メリエレさん達こそ、股間腫らしてひっくり返ってないでよ?」
「野郎、言うじゃねぇか!サウス、ラック、トリン、油断するなよ」
「おう!任せとけ!また後でな、ケイトス」
確か芋虫を避けて行ったからこの道だった。あの宝石みたいな花が咲いてる。
「キャラさん、この中に採取専門の人いる?」
「では、私が。ユーリです。どれを採りますか?」
「採ったら直ぐ香るから、魔ミツバチ来るよ!他の皆は警戒して!」
「「「「「「採らなきゃダメか?」」」」」」」
「魔蜜の場所わかんないからダメ~!」
ユーリさんは、小さな瓶の蓋を開けスタンバイしている。
「始め!」
採取し始めたユーリさんの手際は悪くないが、やっぱり香るのは押さえられなかった!
無数の魔ミツバチが視界を埋め尽くす。
「スミマセン!隊長!魔法で焼き払って下さい!さすがにこれはムリです!」
「ファイアウォール!」
集まって来た昆虫という昆虫魔獣全部すっきり燃やし尽くしてやったら、催涙効果があったみたいで皆泣いてた。
異常耐性ポーションを飲んで周りを見てたメリエレ友の会のメンバーの一人が大木を指差して固まっている。
私とキャラさんはその近くに転移したら、木を囲むように魔ミツバチの巣があり、それが巨木に見えてたのだ。
キャラさんは直ぐに信号弾をあげた。1時間後、怒ってるメリエレさんとサウスさんがやって来て私にゲンコツした。
「大変だったんだぞ!何処ぞの魔法使いが魔法使うから!ヘブンズマンティスの大群をブチ殺しつつ進んで来たんだからな!」
ファインさんはもう仕事を始めている。
「皆!ありったけの容器出しとけ!」
メイプルシロップの樹液を採る如く木の幹化してる巣に幾つか穴を開け受け口を作りそこに壺やガラス瓶を置く。
すごい勢いで貯まる魔蜜に容器取り替えの使命を負った26名のプレッシャーたるや、生半可な物じゃない。
「おい!もう容器ないぞ!どうすんだこれ!」
私はジャムの大瓶ぐらいのガラス瓶を30個出した。
「隊長!容器が小さいです!勘弁して下さい!ふた開けて、渡して下さい!」
マグさんと協力して30個ビン詰したら葉っぱで穴を塞いだ。
ファインさんがそれを見て布で塞ぎ始めて無事13個の穴は塞がれた。それぞれ魔蜜をアイテムボックスに入れて帰り支度。
異常耐性ポーションを使い切ってしまったらしい。一旦、幻惑森林の前に転移して、そこから、カルトラの冒険者ギルドに転移した。
そこからはバラムさんが手配した運び屋に依頼者のお家へと運ばせた。後の残った魔蜜は、ミストオークションギルドに任せた。
バラムさんに謝ったら、冒険者ギルドの指名依頼を達成したから、鼻が高いと、ご機嫌だった。
ファインさんが手招きしてるので、そちらに行くとアドバイスを受けた。
「パフュームバタフライ、場所を移ったんじゃないか?幼生体は確認できたから、探してみろよ」
「ありがとう!ファインさん!今度奢るね!」
「またパーティーしてくれ」
再び幻惑森林へ来たら、魔蜜採りした木の幹にたくさんのいろんな蝶が集ってる。
私は張り切って集めた!1時間程経った頃、見覚えのある黄色い蝶が目の前をよぎった。
私は、必死で追いかけた。すると何と金毛猿の縄張りの近くの木が黄色い葉っぱに見える程いる。私は、大瓶5つ分素早くパフュームバタフライを詰めるとカルトラの冒険者ギルドまで転移して倒れた。懲りない私。
翌朝、指名依頼を受けた香水工房さんに無事パフュームバタフライを受け渡し出来ました!
屋敷に帰るとぐったりしたルメリーさんが焼き菓子相手に何か呟いている。
そっと、しとこう。
「あ!」
「やっと帰って来たのね!怖いからこれ返す!」
返って来たのは虹証だけではなかった。
オークションに掛けた幻惑蝶の内訳が付いていた。
※※※※※
☆☆☆☆☆オークション☆☆☆☆☆
帝都カルトラ冒険者ギルド所属
Aランク/ケイトス
【魔獣名/ランク/出品数/落札価格】
○幻惑蝶/X/5/公用金貨1200兆億枚
○幻惑蝶/X/1/公用金貨200兆億枚
○幻惑蝶/X/1/公用金貨10兆億枚
※手数料として1242兆億枚お支払いいただきます。
【合計※公用金貨4968兆億枚】
またのご利用をお待ちしております。
☆ミストオークションギルド☆☆☆☆☆☆
※※※※※
「ハハハ。ところで屋敷幾らで買った?」
「公用金貨1兆億枚お支払いしたわ。何と売り主が蝶々のお嬢様のご実家だったから。あの家令間違いないわ」
「ありがとう。ルメリーさんに頼んでよかった。私じゃわからなかっただろうから」
「うふふ!いいのよ、もっと褒めて!」
「はいはい。ルメリーさん、栞作家のテレーゼさんの家知らない?蝶々の注文頼まれたんだけどいろんな蝶捕まえたから見せたいと思って」
「知ってる!私も連れてきなさい!」
という訳で、馬車で移動中。
今日は着替えましょうとは言われなかったから、普通の格好でお邪魔する。
工房地区の住居地域に栞作家テレーゼさんの家はあった。普通のお宅で美人の奥さんと可愛い息子さんがいた。
作業部屋兼応接室に入るとテレーゼさんはもう職人さんの顔をしている。
「小さな蝶は6種類獲れたから使うかな?と思って一応全部持って来ました。こちらに出してよろしいですか?」
「お願いします」
6つの大人の手のひらサイズのビンを出すと幻惑蝶にルメリーさんもテレーゼさんも釘付けだった。
「なんて、美しいのかしら、大きかったらバレッタにしたのに!」
「11匹全部色が違うけど、私はこの2匹が欲しいです。支払いは本当に商品が売れた後でいいのですか?」
「うん!今お金持ちだし、いいよ。小花蝶とかはいらない?」
「欲しいです!全部買います!」
「こっちの深緑の蝶は?」
「栞にするには少し大きいです」
「ムム、難しい」
「これ、小花蝶の代金です」
公用金貨80枚を受け取る。他の物は地味過ぎて食指が動かないらしい。
メッチャ綺麗だと思うんだけどなぁ。
今度は馬車ごと転移で蝶々のお嬢様ことノイジーちゃんのお屋敷に。
家令さんが応対してくれて、無事、いろんな蝶を一つづつ渡すことが出来た。
幻惑蝶を見て「下さるのですか?」と呆然としてたので一つ選んでもらった。
別にノイジーちゃんに会えなくても問題ない。新しい屋敷に帰るとジェラルドさんが待ってた。
「今夜の冒険者ギルドのオークションに蝶々を出せ」
「はい、どうぞ!」
「うおっ、久しぶりに見た!森蝶の色違いじゃねえか。こりゃ今夜のオークションは楽しみだな!ミラージュバタフライまで……。よし!確かに預かった!今夜19:00からだから正装して来いよ!」