バラムの一生一度のお願い
まず、ルメリーさんとメリエレさんを連れて帝都に転移した。
もちろん、小麦粉とチーズとベーコンの仕入れはバッチリだ。
冒険者ギルドに行きサウスさん宛てに買い物とお釣りを受け付けで預ける。
帰ろうとしたらバラムさんにギルマス部屋に転移させられた。
「頼みがある。結構深刻な奴だ」
「うん、何?」
「銀冠山脈の中腹に潜伏してる【強欲のアルザム】含む山賊一味を1人残らず殺してくれ」
「何人いて、どういう洞窟に住んでるの?」
「いいのか?聞かなくて」
「バラムさんがそんなこと言うのよほどだってわかるから、言わなくていいし、聞かない」
頭を撫でられた。そして地図と詳細情報を渡された。
「こいつらは、切って捨てても問題無いくらい悪党だ」
「わかった任せて!明日行ってくるね」
「!スマン!帰ったばかりだったな!ゆっくり休んでくれ」
バラムさん、何か隠してる?急ぎなのかな?…そうかも。父上に魔力譲渡してもらおう!
屋敷にメリエレさんを連れて転移して事情を話すと父上もメリエレさんも行くと言って話を聞かない。
「私への指名依頼なの!お手当が減るからメッ!」
2人を振り払うとサレタ村に転移して銀冠山脈の地図を見る。
「ここから近いね。行くか」
山賊以外の人が居ることも考えて見張り番は、ウインドカッターで首を落とし首はアイテムボックスの中に体は埋めて中に入った。
ん?魔力封じの魔法陣か。ま、問題無いし。
曲がり角に1人づつ立ってる見張り役を声も上げさせず殺して行く作業に没頭していると、それは聞こえた。
「いやぁああああ!お父様!お母様!ナンシーを助けて!」
こっちか!
身体強化を掛けてグングン洞窟の奥へとスピードを上げて行く。ん?魔力封じの魔法陣?
私の魔力量に勝てる訳ないから、無意味。
洞窟の奥へと探査を伸ばして死にそうになってる女性の周りにいる山賊共の頭に水を被せて窒息させた。
「お前?!魔法が使えたのか?!」
「ちが、うわ!私じゃ無い!」
飛び込んだ大きな部屋では服を着せて無い女の子たちが、身を寄せ合って裸の男達から、なんとか逃れようとしている。
加速して女性たちに近い山賊から首を落とす。
「お頭!コイツはヤバいです!白王子って言うBランクの冒険者です!逃げやしょ「死ね」」
顔が怖いお頭も大したことなかった。1分経たずに頭と体が泣き別れした。メリエレさんの方がよっぽど強い!
後は残党処理に1時間程かかった。首を計数魔法で数える。236人。間違いない。
小さなレディー達は震えている。死にかけてたナンシーさんには、ポーションで耐えてもらった。
全員を屋敷のゲストルームに転移させた。
父上にナンシーさんの治療を任せて、キャサリンを起こす。
キャサリンにお風呂に入れてあげるように言って服をどうしようかと考える。
私の服では小さいのでメリエレさんに言ってドレスを用立ててもらい、ゲンコツももらった。
冒険者ギルドにバラムさんを訪ねると今から行くのと勘違いしてるのでぎゅっとして、笑って報告した。
「少女達9名、ナンシーさん、無事です!」
バラムさんの殺気と威圧が部屋を揺らす。
「どうどう、落ち着いて。私の屋敷で身なりを整えてるからもう、無事ですから!」
「何で9人もいるんだ?!アルザムのクソめ!首はどうした?」
「解体場で出しますよ」
「イエールに俺が怒られるだろうが!ここに出せ!」
全部出したら眠くなった。
「おやすみ~」
「ん!良くやった!げっ、魔縛のレイヴンじゃねぇか!こっちのコイツは下衆のヨーゼフ。……賞金首だらけだな」
起きたら昼で、憲兵隊事務局にバラムさんと一緒にいた。
洞窟まで移動しての立ち入り検査。バラムさんと私はウンザリしていた。
バラムさんも私もツキがあるらしく入った部屋に財宝があったり、結構な装備品があったりするので、山賊と結託してたんじゃないかとか、余計なことを探られてバラムさんがキレてた。
「だったらわざわざウチの子攫うか?!ふざけるなよ!憲兵共!!」
ああ、バラムさんの娘さんだったんだ。助けに行きたかったんだろうな。
「バラムさん、娘さん待ってるんじゃ?」
「お前の屋敷ならいつでも行ける。それにあの屋敷には武神が2~3人いるから安心だ!」
父上、メリエレさん、サイナムさん、確かに手強い。
「あのね、結託してたら殺したりしないでしょ?女の子たちの身元を聞いてあげなくて良いの?」
「そうだったな!今度はそなたの屋敷に転移してくれ」
嫌だったけど転移したら、父上が走り出て来た。
「大丈夫だったか!?ルークシード!憲兵隊に何かされなかったか?!」
「今の所は大丈夫だけど、あの、山賊と仲間だったんじゃないかと疑われてます」
メリエレさんがそこに来た。
「チョーザじゃねぇか!何、ウチの若様疑ってんだよ?」
「お前のような者に名前を呼ぶ事を許した覚えは無い!」
「メリエレさん!この人達何の思惑があって、私を疑ってるの?!」
「め、メリエレ、だと?!」
メリエレさんは、獲物を見つけたデススパイラルスネークになった。
「チョーザ、どうせお宝見つけたから差し出させようとしているんだろ?」
「何だ!そんなことか、要らないからあげる!ただし、女の子たちの持ち物は返してあげて」
メリエレさんがチョーザ隊長を下から上までじっくり見てゾッとするような声で呟いた。
「よかったな、助かって」
メリエレさんがチョーザ隊長の肩を叩くと生きてるのが不思議なくらい青くなった。
書記官に私は言った。
「ご飯早く食べたいから、お宝譲渡の契約書作って!」
バラムさんが噴き出したらメリエレさんも笑う。使用人達は噴き出すのを堪えている。
「せっかく我が家までいらしたんですから、食事でもいかがですか?」
……父上、笑顔の圧がすごいです!
「少女達への聞き取りが終わったら、帰ります!」
チョーザ隊長!見てるのが気の毒になってきた。そこに少女達とナンシーさんが連れて来られた。
「あの者が手引き役です!間違いありません!」
何と、書記官をナンシーさんは指差していて、書記官はメリエレさんが取り押さえた。バラムさんに猿ぐつわされて逃亡を諦めたらしい。観念して目を伏せていた。
「おい、チョーザ?お前らの方が怪しいな?」
「と、と、とんでもない!私も知らなかったのだ!!も、もちろんキチンと取り調べるとも!!」
「手伝ってやろうか?」
「だ、大丈夫であります!!ベベル2等書記官を直ちに更迭せよ!」
「お父様!」
「サリナ!ケガはないか?」
「ケイトス君が助けてくれたから、大丈夫だけどお父様との約束守れなかった…」
「生きてたらそれでいい。サリナ。お母様の所に帰ろう!」
転移してバラムさんはすぐに戻ってきたが背中にサーベルタイガーの幻影を背負ってらっしゃる。
私に一歩づつ威圧を放ちながら、近寄って来て両肩を押さえられた。
「見つけたときこの子達は、どういう格好だった?」
バラムさんだけに聞こえるように耳元で囁く。
「何も着ていない状態でした」
「コロス!」
書記官へと向かって仕込み杖を一閃させるバラムさんの首へ一撃加えて意識を落とすと、バラムさんの屋敷に転移し、じいやに押し付けた。
戻ってきたら、少女達が泣いている。
もう家に帰れないと号泣している。
「話したらどこでどうなるか、お判り頂けますか?」
ルメリーさんがその日一番ヒンヤリする魔法を皆に掛けた。
男達も女達も無言で腰を折った。
後で、飴と鞭を使った口止めが関係者にされたらしく、誘拐事件は表に出ることは無かった。