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銀山荒らし

銀山へ踏み込んだら早速斥候のゼンが異常を感知した。


「今日はガスが出てます。辞めましょう!」


「ガスって、どんなの?」


「幻覚見たり、聞いたりしてるうちに、穴に落ちて死ぬんです」


「メリエレさん、ポーション配って。支払いは後で」


「わかった。今から配るのは、幻覚などの異常耐性ポーションで2時間は利く。サッサと飲んでくれ」


「へぇ、俺にも作ってくれよ!」


「いいが、一本公用金貨100枚するぜ」


メリエレさんが楽しそうです!

ガリアさん達は黙って飲んで銀が埋蔵してそうな場所に案内してくれたが、案内だけで45分もかかってる。探知してだいたいの場所はわかったから、銀床の近くの岩を砂にして銀をアイテムボックスに転移させたら、容量オーバーで目眩がした。


「手、つないで、転移するよ」


銀山事務局前に転移した私は、何とか採った銀塊を全部アイテムボックスから出した。


「何だ?!これは!どこから採掘した?!」


屋敷1軒分入る私のアイテムボックスにギリギリ入った銀塊。これで、祭りが出来る!


◆○◆○◆sideルメリー


「終わったわよ!」


そこら中の男が私に頭を下げる。


「神様!」


「もっと計算が速い子を雇いなさい!情けない!」


「いや、その通りだ。助かった!ウチで働かないか?」


「私、商会長なの。ムリ」


でも、すごく面白いのよね。ケイトスくんのやる事なす事いろいろ。

あ、これ、メリエレさんからの伝達だわ。


【ルメリー嬢、今すぐどんな手段を使ってもいいからクレイビー男爵領のシロッコのカフェに来てくれ!】


伝達で返す。


【わかったわ。2時間待って】


ナジムさんがこちらを見てる。


「銀山で何か起きたみたいで助けを求めてるの。転移魔法使いか、ドラゴンライダー知りませんか?」


「銀山まで行けるかどうか、解らないが確かロトムの所の料理人が」


「ムリですわ。飛行艇はありませんの?」


「あるにはあるが、緊急時用だ」


「今が緊急時です!魔石でもお金でも払うことが出来ます!貸して下さいませ」


貸さないと許さない!

にらみ合っているとリチャード司令官が来た。


「銀塊が山ほど採れたから取りに来るようメリエレさんから連絡をいただきました!ルメリー嬢といって参ります!」


リチャード司令官はナジムさんに有無を言わさず私を中級クラスの飛行艇に乗せた。


「それがどうも部が悪い見てえで、銀塊盗られそう何だと!掘った本人はぶっ倒れて意識不明の重体。今ラフネ司祭呼んだ所」


全然大丈夫じゃないじゃないない!


「30分で着きますから、それまで休んで下さい」


「そうしたいけど、お腹が減ったわ」


「着いたらカフェですから何かあるだろう。とりあえず寝とけ!」


「寝るわ!」


交渉は相手が疲れてる時が攻め時。体調を万全にして挑むのよ!ルメリー!


着陸の揺れで目が覚める。

カバンから櫛を出して髪を整える。

顔を洗いたいけどケイトスくんの無事を確認してから、だ。


カフェに入ると治療を受けてる最中だった。ラフネ司祭が疲れた顔で治療を終えた。


「帝都から転移して来た日に、キャパいっぱいの荷物をムリに入れたせいでしょう。治療費はいただきません!私の部下たちがヒドい目に合わせましたからね。シロッコさん、申し訳ないのですが、お腹が空いたので何か食べられませんか?」


「はい!私も!」


「俺にも頼む。シロッコさん」


憔悴したメリエレさんに膝枕されて眠っているケイトスくんの額をデコピンして顔を覗き込むと目蓋が開いた。


「あ、ルメリーさんだ。……お久しぶりですラフネ枢機卿様。治していただきありがとうございます。メリエレさん、銀塊もらった?」


「あれはどこの鉱床の銀塊だとか言ってちっとも渡そうとしねえんだよ!誰かさんはぶっ倒れるし、説明出来なくてルメリー嬢呼んだんだよ!」


「とりあえずホットミルク飲んでて。パンケーキ作ってくる」


シロッコさんが、人数分のホットミルクを机の上に置いて、すぐ去る。


「ところで何で銀の採掘に?」


ラフネ司祭が、不思議そうにケイトスくんに聞くとケイトスくんの職人さんを育てたい気持ちが溢れたお話にラフネ司祭がそれなら、ヘキサゴナル全土から銀細工を集めて評価したら面白いんじゃないかとデカい話になった。


「バフォア公爵領の職人村に入る職人さんを選ぶ催し物だから、そういう大きな話は王都でやって下さい。虹証は不便です。ラフネ枢機卿様、神官証を」


「良いんだよ」


「ダメ!銀山事務局の人達に知られてるし、公用金貨10億枚くらい、私にとっては、鼻くそだから!」


あらあら、すっかり私が乗り移っちゃって!


「鼻くそ……ホントに?」


「本当です。ラフネ枢機卿様。魔蜜で儲けたんですよ」


メリエレさんがミルクを飲みつつフォローする。


「……わかった。もうこんな無理はせぬように」


あら、神官証って、綺麗ね!水晶かしら?

メリエレさんがケイトスくんの虹証を襟元から出して神官証に触れ合わせると、神官証が淡く光って支払いは終わった。

 銀山事務局の説得をラフネ枢機卿が手伝ってくれるというので、会議ははかどった。

銀細工職人に対するケイトスくんの尊敬と愛を前面に押し出して話を進めたら、強欲商人路線は消えたが銀に精製するのに手間がかかるだのどうだのこうだの言い始めた。


「ひと月公用金貨100枚もらって、採掘したら半分もいただくのに、まだ、何かを欲しがるのですか!痴れ者らめ!」


現役枢機卿様の本気の説教は、欲張りさん達によく効いたらしい。

朝には銀の延べ棒が大人がようやく抱えられる木箱に何十箱と出来ていた。

計数魔法で数えたら、107万本あった。

1本の原価大銅貨1枚の銀の延べ棒。

参加者には作品と引き換えに無料で配るらしい。ホント面白い子。


まだ、自分で動けないケイトスくんの手足になって職人村に赴いたり、雑貨屋の商品と売り値を考えたり、やる事がたくさんあって楽しい!

 アジャスト料理人派遣商会はやる事がある程度決まっててつまんないのよね。差配なら左文字君がいるし、私も一歩踏み出そうかしら?


翌日の夕方、やっと起きてきたケイトスくんに、冗談めかして聞いてみた。


「もし、私が幻想庭園の事務局に勤めるとしたら、1年で幾ら出す?」


「あんまり出せないけど…」


そっか。ダメか。


「公用金貨120億枚でどうかな?」


私の中で喜びが泡になって弾ける。

 ケイトスくんをギュッと抱きしめて、いつもの文句を言う。


「金銭感覚おかしいから!」

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