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83話 どうにかなりそう!(4)

「兄上達何してんの?!馬鹿じゃない!」


離宮ホテル内に転移してバフォア公爵とエイリーン兄上の取った部屋に突撃して一言浴びせかけた。

サイナムがソファでお昼を食べてる二人に背を向け庭を警戒中だ。


「遅かったな!ケイトス。ここの食事は美味しいな」


「……フェン様、一息に殺されますか?1時間なぶり殺しがいいですか?」


「お前と私の仲ではないか!なぶり殺しにしてくれ!一分一秒長く生きたいからな!」


「では、遠慮なく殺らせていただきます!」


剣をスラリと抜いてバフォア公爵=フェン様の前髪を落とすとエイリーン兄上がフェン様に覆い被さった。

ようやく私が本気だと気付いたらしい。


「わ、悪かった!話を聞いてくれないか!ケイトス」


「最初から、そう言えばいいのですよ!」


剣を収めて向かい合うソファに腰を下ろすと、サイナムが切り落とした髪を掃除している。


「で、何の用ですか?」


フェン様は眉をへにょりと下げて呟く。


「冷たいな、ケイトス。お前と私の仲では「それはいいから、用を言う!!」……わかった。リオラの市場から人が居なくなった!助けてくれ!」


あらら~。でも、まだ1週間も経ってないでしょ!


「職人の露店がないのだ!綺麗さっぱりと!」


「そりゃ、大切にしてなかったからじゃない?はい、お終い!」


「このままでは、リオラが廃れてしまう!頼むから知恵を貸してくれ!」


「知恵ねぇ~?職人さんの生活を楽にしてあげたらぁ?」


「グッ、それは予算の関係で却下された!」


「一応考えたんだ。…だったら、フェン様に協力してあげるよ」


可哀想だしね。フェン様のお立場が。


「ホントか?!」


「うん、仕方ないから私がバフォア公爵領の職人さんを囲わせて貰います!」


「そ、それは困る!」


「もう、決まりなの。ようは、リオラの市場が盛り上がれば良いんですよね?公的機関が出来ないなら、何処かのお金持ちが、やるしかないでしょ?それが私だっただけです。つべこべ言わないの!ちゃんとリオラの市場の事も考えてあげるから黙って2週間待ってて下さい」


私は資金調達に10日に1度の幻惑森林通いを決めた。

……人助けって、お金かかるね!


「さぁ、食べたら送って行きますよ!エイリーン兄上はどうするんですか?」


「リオラの街での護衛の仕事がないか探してみる」


「虹証出して。お小遣いあげるから!」


出された虹証は橙証にランクアップしていたので、金貨1億枚譲渡した。


「エイリーン兄上、これでクランを作ってリオラの街中に作る職人村の警備をして下さい。

フェン様は職人村の許可を下さい」


「土地はこちらで用意させてくれないか!」


「いえ、スラムに建てる許可を下さい。あと、孤児院的な物の運営はしてくれませんか?」


「スラムに住むのはならず者ばかりだ。スラムに作るのだけはやめておけ!」


多分スラムは赤証に堕とされた職人達のたまり場になってると思う。商人達もいるんじゃないかな?


「意外といい仕事してくれるかもしれないよ?食べたね、帰ろうね!」


「まだ、幻想回廊を見てない!」


「ハイハイ!わがまま言ってんなよ?フェン様の騎士達がどれほど探していると思ってんの!外出してんなよ!」


まず、厩に行き馬に乗らせてバフォア公爵城まで送り騎士達が見つけるまで、こっそり木蔭から見てると、大捜索されてたみたいで、あっさり見つかって連れて行かれたフェン様はまるで罪人みたいな扱いをされていた。

私の隣でエイリーン兄上が唇を噛む。


「じゃ、とりあえず空き家をバンバン買うよ!エイリーン兄上護衛して!」


リオラの市場で爆買いして、市場の主に紹介してもらってそのコネで、2~3軒の緑証の不動産屋さんに工房だった建物を買って欲しいと言って前金で金貨1億枚づつ渡したら1時間経たない内に大小合わせて30軒の物件を探してきた転移もできるヨーグ青年は、肩で息をしていた。

その夜はリオラの紫証の宿白銀亭で、ひたすら物件の購入をしてだいたい金貨5億枚で、60軒の工房を手に入れた。

翌朝、大きな鍋いっぱいにロックさんに豚汁を作ってもらってリオラのスラムで炊き出ししたら、1000人くらいの難民が住んでいる事がわかった!

家族連れが多い。


「よかったら、去年迄の虹証のランクと職業を書いて下さい!職人さんと大工さんは仕事がありますよ」


「アンタ、ルークシード=クロスディアだろ?!何しに来た!」


ざわめきが広がる。

でも、拒否反応じゃなくて、ホントに様子をうかがう感じだったので正直に言った。


「銀細工職人さんを探してます。腕に覚えのある方は是非とも名乗り出て下さい!支援します。服職人さんや、革細工職人さんも募集してますから、お願いします!また、お昼に来ますね」


髪を引っ張られて後ろを振り返ると2才くらいの女の子だった。


「なあに?」


「触らないで!うちの子に!」


ああ、怖いんだ。私が。

震える母親の方へその少女を追いやると、私とエイリーン兄上は不動産屋の青年ヨーグに物件の案内をしてもらった。


小さな工房でも、普通の民家よりは大きい。

金髪をうなじでどうでもいい布で結んでいるヨーグ青年にエイリーン兄上が銀管をプレゼントしてあげてた。


エイリーン兄上が例え同性が好きでも受け入れるよ!

ゲンコツされた。

何故?


「ロクでもないこと考えてないで、ちゃんとヨーグさんの説明を聞いて、質問しなさい!」


「はーい!」


ヨーグさんは、革細工職人さんのお家をご案内してくれるが、表情が暗い。


「最近は、バフォア公爵領の魔獣達が狩り尽くされて閉鎖される革細工工房が、多いんです。購入していただき申し訳ないのですが、他の工房にリフォームした方が良いでしょう」


「大丈夫!ある所から持って来るから!」


帝都の初心者森林でガツンと狩って貰いますよ!


革細工工房は家族経営が多くて、比較的綺麗な状態で保存されてたが、大きな銀細工工房は店舗部分のショーウィンドウが割られて、店も工房も何者かに略奪を受けた後だった。


「兄上、護衛2人づつよろしくね!」


「裏口にも立たせて置いた方が良いですね。小さな工房もこうなのですか?」


「いえ、店舗部分がある工房だけです。……バフォア公爵になられてから、警備兵の巡回が無くなって皆が暴徒になり、めぼしい工房を襲って備品を持って行くのです。今まで購入者もいなかったのでハンターを雇う事も出来ずに、今日に至ります」


フェン様に告げ口しよう!

エイリーン兄上はまた唇を噛んでいる。

エイリーン兄上の手を握ると頭を撫でられた。

んー。子供扱いだなぁ。

早く大人になってエイリーン兄上達が相談してくれるようにしてあげられたらいいのに!


転移して次々めぐって行くと中規模から大規模の工房は床や壁も直さないと仕事が出来ない荒らされ方だった。

必要な備品を便せんに書いて行くと結構な予算になる。頭が痛い。

計算してるとエイリーン兄上とヨーグさんが上から覗いていた。


「大丈夫ですか?ケイトス」


「んー、何とかなります!お昼ですから、炊き出ししますね!」


幻想回廊の厨房でロックさんにホットドッグを大量に貰う。足りないのでチーズとハムをヤコフ商会で買い占め、カンパーニュみたいな大きな保存用の田舎パンを並びの店全部で大人買いする。


リオラのスラムに転移すると、エイリーン兄上が住民達と揉めていた。


「どうしたんですか?皆さん」


皆が黙ってエイリーン兄上から離れて行く。

私ははぎ合わせたフォレストウルフの皮の上にチーズとハム、田舎パンを出して一家族にパンを2つとチーズとハムを一塊づつ配った。

だいたい、5人くらいの家族が多いので200組に渡すと終わりだった。

小さい子供を手招きしてホットドッグを渡すと、ちょっと余るくらいでエイリーン兄上と私が食べて終わりだった。


痩せているが頑丈そうな体つきの男たちが、私たちに近づいて来た。


「話がある!こっちへ来い」


「イヤです!こっちは2人何です!ここで言いなさい!」


「屋根付きの住み家が今欲しい!」


「んー、難しい。直すまでなら使っても構わないけど、入って女の人と子供たちだけだね」


大きな工房に分散したら、700人くらいしか収容出来ない。

説明すると、エイリーン兄上を指差す。


「家族で住める家もあるって、コイツが言ってたのに、嘘つくな!」


兄上ぇー!ウカツ何だから!


「そこは職人さんが優先です!」


「何だとぉー!俺達はお前のせいで、職人じゃなくなったんだぞ!」


「私はマルカン公爵が侵攻してきたせいで1番大事な人を亡くしました。返して下さい!」


私は泣きそうになりながら言い返す。

すると、喚いた男の後ろにいたおじさんが私の前に片膝をおって座った。


「……すまない。明日から雨の月なんだ。何とかならないか?赤証でよかったら、職人もいるから」


「私が欲しいのは今は赤証でも去年迄の実績があれば、充分だと申し上げているんです。革細工職人さん一家からどうぞ!」


たった4家族しかいないので革細工職人工房4軒に突っ込んだ。

服飾職人はたった1人と1家族だけだったので、1軒に突っ込んだ。

銀細工職人はさすがに多かった!

500人くらいいたので、大規模の工房に子供も含めて800人を4つのグループに分けて突っ込んだ。

後100人程の正真正銘の無職の集団は、仮の宿だと言い聞かせて仕方なく中規模の工房と小さな工房に割り振ったら60軒全戸が塞がった。

気が付けばもう夕方だ。

エイリーン兄上に離宮ホテルの食堂から連れて来たコックさん2人を炊き出し係として預けた。

食材費も金貨1000枚程渡すと、王都の屋敷に転移した。

エルムさんとイフルさんの主従コンビが待っていた。


「遅うおす!……何や顔色悪いえ?夕食食べてから帰りますえ!」


「いえ、転移します!手を握って下さい!」


3人で数珠繋ぎになると、帝都の屋敷まで一気に転移して私はぶっ倒れた。

1000人余りの転移を近場だが続けていたせいで負担が掛かったのだ。

起きたのは翌日の夕方で一日ムダにしてしまった事を嘆くとダンはお客様達をシルーランホテルに泊まらせてツアーガイドを付けて今日は一日帝都を観光させたらしく、皆さんお土産を買いまくったようだ。

メリエレさんが、部屋に来た。


「ファイン達を3日間、指名依頼したから、依頼料はずんでくれ!」


「ハイハイ、その内の1日は幻惑森林に行くから、メリエレさんも付いて来て。バースデイトーチと冥府蝶狙いなんだ」


「…ということは、ケイトスは戦力として数えないのか。アイツらも指名依頼出しとくか…」


「あ、待って!メリエレさん!」


「なんだ?」


部屋を出かけたメリエレさんが私のいるベッドまで戻って来た。

そして文机の椅子を引き出して座った。


「幻惑森林の初心者が1人混じるんだけど?一応Aランカーみたいなんだけど、剣を使うより魔法が使えるみたい」


「厄介な奴連れて行くんだな!魔法使うなって忠告はしたか?」


「バースデイトーチ採りたいんだって!旦那様の為に」


「ふぅん、取引先関係か?」


「カラルフ商会のイフルさんの秘書兼護衛」


「わかった!任せろ!Aランカーなら、そんなに馬鹿しないだろ」


「だと、いいね。いつ行く?」


「薬草樹海に連れて行けって言われてるから、ケイトスも手伝え!明日、7:00玄関集合だ。それまでに朝食を食べておけ。クロウさんが満足行かなかったら、もう1日追加!3日目に幻惑森林に付き合う!」


「ありがとう!メリエレさん!」


「薬草樹海の魔獣達は襲ってくるのが普通だから、襲って来たら、躊躇いなく倒せ!1頭づつだが、四方八方から襲って来るぞ。よく観察させようとか、考えてないで、倒せ!それだけ魔獣だらけだからな!」


「わかった!頑張る!」


夕食では、シロッコさんが薬草樹海で採れる綺麗な花や草を採って来て欲しいと言うのでメリエレさんがリストを作っていた。

そして夕食の後はカケイ冒険者用品店でお買い物。

久しぶりに会ったメリエレさんファンクラブの冒険者達にベーコンとチーズのお礼を言われた。

皆がお土産食べられてよかった!


「薬草樹海って、入れないんじゃなかったの?メリエレさん」


「お前の荒らした所に入らなかったらいい、ってのになった。薬草樹海で稼いでる冒険者達に連日大量の抗議文送り付けられた、バラム様の根負けだな」


「あ!新しいガラス瓶入ってる!このサイズ1匹入れるのにちょうど良いな!」


「パフュームバタフライも、在庫切れしてる。大瓶も買え!」


メリエレさん達と私でガラス瓶は買い占められた。

店長さんがメリエレさんに文句を言っていた。

メリエレさんが店長さんをお仕置きして、ガラス瓶の在庫は無事足された。


薬草樹海に行くのに目が冴えて眠れない。

だって、以前は緊急事態だったから周りをよく見てないし、わくわくするよ!




皆様にお願いがあります。

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強欲なお願いで申し訳ございません!

さみしくなったのです。+゜(*ノ∀`)


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